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2015年3月26日 (木)

第1,898.7回 逃走の果てに

時に西暦2093年

SPZのエース格選手、結城千種はライバルの高慢ちきヒールレスラー、市ヶ谷レイカに勝てなくなったのを悟るや、壊れてしまい、欠場するわ対戦を拒否するわ一躍SPZの問題児に成り下がってしまった。

フロントが脅し同然で対戦を組むも、市ヶ谷様の猛攻になすすべなく敗北を喫した結城千種は、自分を見つめなおす旅に出た・・・・・

ざばーーー

結城千種、行くあてもなかったので山梨県の山奥のひなびた温泉宿に潜伏していた。

とりあえず宿泊料は10万円分前払いして湯治・・・という体裁で、ゴロゴロして過ごす日々。

(もう、どうにでもなれ)

そのまま一週間が経過した。携帯電話は戸塚の社宅に置き去りにしてきた。

しかし十日目の夜

キキーッ

旅館前の通りに車が三台ほどとまった。ばらばらとSPZ運営の人や日本レスリングコミッションのスタッフが降りてきた

「結城千種さんですね」

 「ど、どうしてここが・・・」

「人の口に戸は立てられない。ましてやあなたは有名人」

 「く・・・・」

「さあ、みんな心配してますよ、戸塚へ帰りましょうね」

結城千種、半強制的にワンボックスカーに乗せられる仕儀になった・・・

*****************************

その3時間後、SPZ本社、役員会議室

「もう辞める!こんな会社!疲れた!やだ、もう!」

例によって荒れ狂う結城千種、もう錯乱状態。

「・・・・そうか・・・わかった、仕方ない。先生お願いします」

セブン山本社長が呼び入れたのは

「結城さん、プロレスを・・・辞めてみない?」

テレビバラエティーでおなじみの凄腕心理カウンセラー、佐伯あずみ先生。もう外見は人のいいおばさんそのものだが、SPZの興行に昔はよくゲスト出演していた。

「えっ」

「プロレスをやめるのだったら・・・結城さん、病院でしっかりした治療を受けて、第2の人生をやり直せると思うのよね」

「・・・・・・・・・」

結城千種、目を閉じて2分ほど沈思。

そして、よわよわしい表情ながらも口を開いた。

「このままじゃ・・・・終われないよ」

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