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2015年5月 8日 (金)

第1,921回 世界で一番強くなりたい

時に、西暦2094年

横浜のお嬢様プロレス団体、スーパースターズ・プロレスリング・ゼットは、名門のお嬢様・市ヶ谷レイカの1強が続いていた。驚天動地、問答無用のパワーと底知れぬ野獣のような闘志でSPZマットに君臨し続け、通算防衛回数は25にまで伸ばし、過去の大横綱クラスに並ぶ選手となった。

「このままではいけない。」

集客への影響を心配するセブン山本社長。結城千種が壊れてしまった今、対抗してくるのは遠藤亜美ということで衆目は一致していたが、彼女はレスリングが上手ではなく、殴る蹴る主体のため、市ヶ谷を正面からねじ伏せることは難しいというのが関係者の見方だった。

「やはり、セメントが強い選手をどこからか引っ張って来ないとダメやな」
夜の社長室、そう慨嘆するセブン山本社長だった。

帰ろうとしたところ、以前名刺交換をしたことのある取引先からメールが入った。SPZの後援者であり、関西経済にネットワークを持つイベント会社の専務から

「京都の山奥に、凄い才能を持つ子がいます。総合格闘技をやりたかったようですが、市ヶ谷選手のビデオを見せたらプロレス入りに傾き始めましたので、ぜひ近日中にご足労を賜りたく・・・」

「・・・やはり持つべきものはネットワークやな」

その翌々日、セブン山本社長はリニア新幹線に乗って、京都へ向かった。品川から京都までは一時間少々で着いたのだが、そこから迎えの車で3時間。山奥の集落、分校の隣に小さな体育館があった。

「はっ」「いやあっ」

数人の少年少女が空手や柔道の練習をしていた。体育館の隅、中年男性の師範代相手に打ち込みを行っていた一人の少女。

「あの娘です」

「ほう・・・・」
柔道着の上からでも分かる、15歳にしては身体ができている。鍛えこまれた肩幅、そしてがっしりとした足回り。幼少のころからそうとうな修練を積んでいたと思われる。

セブン山本社長は直感した。

この娘はプロレスを覚えさせれば大化けする。

ルックスもいいし、スタイルもなかなかのもの。会場人気も出そうだ。

そのあと体育館隅で、師範代、支援者を交えて面談

「窪川・・・希望さん。」

 「・・・はい。」
セブン山本、まず条件面の話から始めた。

「基本給は10万円ですが、1試合ごとに出場給4万円が加算されますので、月間8試合に出場された場合、給与は42万円となります。なお、出場給は試合内容に応じて、当社規定に応じた等級があり、その等級が上がるごとに・・・」

「細かいところの話は良く理解できませんが・・・」
そう切り出した少女

「私はプロレスの道は選択肢に入っていませんでした・・・・闘うだけならともかく、万単位の観衆の前でパフォーマンスはしたくありませんし、できません・・・しかし、市ヶ谷さんの映像を見て気が変わりました。」

「あの人の力がピークのうちに、あの人をねじ伏せて、マットに這わすことができれば、最強の存在に・・・限りなく近づけるのではないかと。」

 「プロレスを覚えたら・・・うちの市ヶ谷に、勝てますか?」

「絶対に勝って見せます。試合のビデオを見る限りでは、どうにもならない相手ではないと思います。あとは、実際に組みあってみて、対策を考えます」

こうして、京都の山奥で育っていた逸材、窪川希望は(くぼかわ・のぞみ)は、SPZに入門した。

****************************

二日後、上京してきた窪川、さっそく道場でスパーリング。なんといきなり相手に市ヶ谷を指名。若手選手どよめく。

市ヶ谷と窪川が組みあう。
(・・・・・そんなに大きい体つきでもないのに、なんて力!!)
市ヶ谷、少し瞠目した。

とはいえ女帝の貫録、いきなり首投げでたたきつける。
バァンッ!
「・・・・っ、まだまだ!」
(受け身も、一応は取ってる・・・・?)

けっきょく市ヶ谷と10分間スパーリングを行ったが、最後まで倒れることなく練習を終えた。たいていの新人は強烈な練習にネを上げ、気絶してしまうのだが・・・
「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

(すごい、体力・・・・)
かなりの汗をかいた窪川希望だが、目はまだ死んでいない。

(この子に、わたくしは近い将来、やられるかもしれませんわね・・・・)

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