第1962.5回 ある格闘家の日記
時に西暦2095年11月頭、
SPZホームページのニュース欄に以下のコンテンツが掲載され話題となった。
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『ある格闘家の日記』
2095.10.22
参戦のオファーが無くて困っていたところに、東京のアポカリプス病院というところから妙な仕事の依頼が来た。なんでも病院の地下にある秘密格闘練習場でスパーリングパートナーを1週間務めるだけで2000万円貰える。なんで病院の地下でそんなことやっているのかわからんが、飲み屋のつけも貯まっていたから受けることにした。これから新幹線で東京へ行くが、交通費滞在費も向こうもちらしい。ちょうどいい、久しぶりの東京だから稼いだ後で歌舞伎町で遊ぶか。
2095.10.23
紹介された対戦相手は華奢な体格の女だった。まったく俺も舐められたものだ。いまでこそ総合格闘技の大会で前座に呼ばれるか呼ばれないかというポジションだが、3年前までは諏訪湖の火炎龍と呼ばれていたのだ。それがこんなひよっこの相手をしろとは・・・組みあってみて少しは柔術とかをかじっているようだがパワーがない。ちょっとむかついたので遊んでから足首を砕いてやった。泣いて降参しなかった根性は認めてやらないでもないが俺らの業界ではそういうのをバカと呼ぶのだ。
2095.10.24
驚いたことに昨日の女の足は完治していた。どうしたのかとエージェントにきいてみたが救急スプレーを使ったらしい。便利な世の中になったものだ。で、きょうもスパーリングを行ったが、力が格段に上がっていた。わずか1日でここまで力をつけるとはいったい・・・気を付けないとこっちがやられちまう。けっきょく2時間たっぷり汗をかかされた。まあ明日こそはちょっと本気を出してあの薄気味悪い女を泣かせてやる。
2095.10.25
くそっ油断した。女だと思って甘く見たが膝関節を持っていかれた。ぐきっという嫌な音がしたのでスパーリング中止を求めたが、痛み止めの注射を打たれて続行を命じられた。そのあとのことは思い出したくもない。何度も投げられて意識が遠のき、最後は絞められて落とされ、気がついたらベッドの上だった。許せねえ。こうなったら少々手荒な手を使ってでもあのなめくさった・・・
2095.10.26
痛い、ひじが痛い、くびも痛い。
くそー、あー、くそー、あー、
全シン テーピングまみれ
ミイラおとこじゃない。くそー
いったいどうなって んだ
2095.10.27
ひぎぃ
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