第2,098回 近くて遠い最後の一歩
93年目11月シリーズ最終戦 横スペ大会。
後半戦の模様。
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休憩中、瀬戸田光はリングコスチュームに着替えてアップを始めていた。
(マスコミ記者さんから自分のプロレスは猪突猛進型だとよく言われる・・・・だから技術のあるTMさんとの勝率は極端に悪い。となると、真田さんがベルトを持っている今が、悲願のベルト奪取の千載一遇のチャンス・・・・それに、自分も最近は腰痛の症状が出てきて、痛み止めを飲み始めた。コンディションのピークが過ぎたら、SPZではまずトップ戦線で使ってもらえなくなる・・・・だから、なんとしても、きょう、真田さんを潰して、自分のキャリアに「SPZ世界王者」の7文字を加えるんだ。真田さんの蹴りは危ないけど、受けきれば必ずものにできる。)
瀬戸田光、リストバンドを装着してふうっと息を吐いた。
いままで、トップグループに入った選手はたいてい、1回はSPZ世界王者のベルトを巻いている。瀬戸田光、悲願だったSPZ世界王者の座が、もう手の届くところまできている。
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外人同士のタッグマッチを挟んで、
第5試合はファンシー長沢、橘みずきVS我那覇愛、スーパーカムイのタッグマッチ。
入社2年目のファンシー長沢、最近はメインやセミに頻繁に起用されてきたが、まだまだ先輩相手に気後れする部分があるのか、ガーッという攻めができていない。この日も我那覇のレッグラリアートを食らってしまい、口元から流血に追い込まれる。
しかしその分は橘がカバー。ノーザンライトSHで我那覇を投げ切った。スーパーカムイはいつも通りの馬力にモノを言わせた凶暴ファイト。しかし橘もニールキックで応戦。スーパーカムイ、エメラルドフロートを狙うも丸め込みで返された。最後は4人が入り乱れる状況下、橘が2発目のニールキックでスーパーカムイから3カウントを奪った。勝負タイム28分43秒の好勝負だった。
セミはTMクローンズVSハチェマレ・ジニアス。次期SPZベルト挑戦者決定戦と銘打たれた。しかしここまで長い試合が続き、会場の雰囲気がだれていたのを察したTMが10分過ぎにいきなり仕掛けた。グラウンドの攻防からスッと腕を極めた。
「ヒギッ」
たまらずジニアスはギブアップ。TMにしかできない名人芸。勝負タイム12分30秒、TMが1月シリーズでのSPZベルトの挑戦権を獲得した。
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メインはSPZ戦、王者真田美幸に対するは、挑戦者瀬戸田光。
先月の新日本ドームで時間切れドローに終わったカードの再戦。
(タッグパートナーと思わず、蹴りつぶすしかない)
(ここで獲れないと、自分に次のチャンスはない)
序盤は互角の攻防。しかし真田が伸びのあるタックルでなぎ倒す。そしてエルボー。
「はああっ!!」
しかし瀬戸田も珍しく頭突きで反撃。ある程度目先を変えないといけないと判断したか。そして早めにタイガースープレックス。しかし真田も体をひねって肩を上げる。
瀬戸田ミサイルキックで追撃しかし真田もステップキック、裏拳で反撃。
ならばと瀬戸田サソリ固め、2発目のミサイルキック。しかし真田も
「潰れろお!!」
裏拳。エグイ当たり方。瀬戸田がぐらついたのを見て取るや頭をつかんでフェイスクラッシャー!瀬戸田返す。
しかし真田休まずブレンバスターで追い込む。瀬戸田返す。
しかし真田今度は強引にフロントスープレックス。瀬戸田返す、しかし
「これで終わりだ!!」
真田美幸の、ものすごいハイキック炸裂。瀬戸田は前のめりにダウン、真田ひっくり返してカバー、
ワン、トゥ、スリ。
勝負タイム28分3秒、王者が2度目の防衛に成功
「う、ううう・・・・」
敗れた瀬戸田光、ダメージが深く、セコンドの若手に背負われて引き揚げた。最後のけりがまともに入ってしまったらしい。
(タッグパートナー、それも一つ上の先輩を潰すのはほんとうに後味悪い・・・・でもこうでもしないとあの人からフォールを取ることはできないんだ・・・・・)
勝った真田美幸。複雑な表情でベルトを巻いた。
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