新説ドラゴンクエスト3 第18日~第20日
18日目 9月15日
女勇者セメントはカザーブへ向かおうとしたが、何組めかの魔物の群れを片付けた際に右ひじにピリッとした違和感を覚えた。剣を力任せに振るいすぎたか。大事を取ったセメントは村まで少しのところだったが引きかえし、夕方にロマリアへ戻りついた。いつもの宿屋に投宿し、水で冷やした布を巻きつけて安静にした。
19日目 9月16日
とりあえず右ひじに革を巻いてサポーター代わりにして旅立つ。それにしても魔法使いが多い。魔王軍も新手の軍勢を投入してきたか。集団で現れての炎の魔法は痛いが、厳密に言えば彼らは魔族ではないので、落ち着いて斬撃を入れていけば負けることはない。そして彼らは不利になれば概ね逃げるので、セメントは極力、致命傷を与えないように戦った。魔族に魅せられた者とはいえ死人は出したくない。出来る事なら更生して故郷へ帰ってもらいたい。そう思っていた。
「ぐぐ、このくそったれめが」
「命は助けてやる。無益な殺生は好まない」
この日もカザーブへの道中で魔法使いを数人撃退したが、ひとり諦めの悪そうなのがいたすでに火炎魔法を2回打っており魔力は尽きているはず。
「ぐぬぬ」
不利を悟った魔法使いの最後のひとりがセメントを睨み、捨て台詞を吐いて去る。
「覚えておれ!、わが名はカロヤン。いつか必ずこの屈辱を晴らしてやるうう」
そう言いながら魔法使いカロヤンは森の中に消えていった。
昼過ぎにカザーブの村に立ち寄り、市場で適当に昼を済ませてからなお北進する。ロマリアで聞いた情報によるとこの北にもう一つ、ノアニールという小さい村があるらしい。
途中、鎧の騎士とギズモ3体に遭遇。ギズモは下級妖魔で空中を漂いながら炎の呪文をぶっ放してくる嫌な敵。鎧の騎士はロマリアであったものとは別の部隊。かなり苦しんだが回復魔法を何回か使ってまず鎧の騎士を倒し、続いて3体のギズモを落ち着いて斬撃してそれぞれ一撃ずつで仕留めた。立て続けに炎の魔法を食らったのであちこちが痛い。
とはいえカザーブからノアニールまではさして距離もなく、たどり着いた。しかしそこで見たものは村人全員が眠っている異様な光景だった。
(これはいったい・・・)
村の中を歩き回ってみたが全員気持ちよさそうに眠っている。村の奥の家で老人が一人だけ起きていた。
「エルフの呪いじゃ・・・旅の方、助けてくだされ」
話を聞いた限りでは数週間前、村人がこの西にあるエルフ族の隠れ里で、夢見るルビーという秘宝を盗んでしまったらしい。怒ったエルフ族が報復として村人全員を術で眠らせたのが顛末のようだ。
カンダタ、金の冠の件も片付いていないのにまた難題を持ち込まれてしまった。とはいえこのあたりの魔物に大苦戦するようではエルフの里にたどり着くのは困難。そう考えたセメントはいったんカザーブに戻ることにした。
軍隊ガニや緑色の大カラスなどを倒しつつ、夜遅くにカザーブに戻ってきた。村の中心部にある宿屋に投宿。
20日目 9月17日
鎖帷子では相手の攻めをしのぎ切れないと考え、武器屋で鉄の鎧を購入。そのあと村でカンダタの情報を聞き込んでから、セメントは一度ロマリアへ戻ることにした。
(いまのボクの実力で、カンダタに勝てるだろうか)
聞き込みやロマリアの魔道士教会で調べた情報によると、魔族の跳梁とともに王家の権威が低下したのをいいことに、盗賊カンダタはカザーブの西、シャンパーニの塔を不法占拠し、そこを根城に各地の街で王家や富豪の家に盗みに入り、現金や宝飾品をかっさらっている。しかしロマリア城で金の冠を盗んだのは王家の権威を失墜させるためか、王家に法外な金額で買い戻させるためらしい。カンダタの実力のほどは、力が相当強いあらくれ男で、そこらの魔物より手ごわいという声と、猪突猛進型に見えるが常に鎧武者の子分数人を引き連れており、用心深いという声があった。
村を出ていきなりキラービーの3匹組と遭遇しひやりとしたが、鉄の鎧の効果か、麻痺毒をくらってしまう前に3体とも退治できた。あとはさして苦しむことなく、夕刻ころロマリアに戻りついた。いつもの宿屋に旅装を解く。
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