新説ドラゴンクエスト3 第32日 セメントVSカンダタ
32日目 9月29日
カザーブから西へ向かい、シャンパーニの塔に潜入。キラービーの4匹組に潜入したが麻痺毒を警戒し、逃走した。群がってくる魔物を撃退しつつ、シャンパーニの塔の上層部へ到着。
「おいっ おかしなやつがきたぞっ!おかしらに報告だ!」
などといって3人は上の階へ上がっていった。
(この上に、カンダタが・・・?)
セメントは上り階段を忍び足であがっていった。
古びた扉の向こうに殺気を感じる。セメントはドアを開けた。
目の前に立っているのは怪覆面、マント姿の盗賊の首領と、3人の鎧武者。
「ほう、女一人でここまで来るとはなあ」
首領が口走る。
「あなたがカンダタ?」
「いかにも。で、この俺に何の用だね」
「ロマリアから奪った金の冠を返して」
「それはちょっと無理な相談だな」
突然セメントのいる床下が開いた。セメントは下の階に落とされた。
「あつつつ・・・」痛みに悶えるセメント。大けがしなかったのは幸い。
「おい今のうちに逃げるぞ!」
カンダタとその手下3人が荷物をまとめて逃走しようとしている。セメントは後を追った。ところがカンダタの手下は盗品を多く持ち過ぎたせいか、動きが遅く、3階で追いついてしまった。
「金の冠を返して」
「ふん。ならば目障りなお前を消すしかないな、おいお前たち!やっちまえ!」
3体のカンダタ子分が剣を抜いた。
「てやあっ」
一体に狙いを定めて鎧の隙間めがけて剣を突く!
「このアマあ!」
3対1、いやカンダタを含めれば4対1の厳しい戦い。まず子分を片付けてカンダタとの1対1に持ち込まないと話にならない・・・そうセメントは考えた。
3体が反撃してくる。剣戟の重さはあの鎧の騎士と同じくらいで、ものすごく腕が立つほどでもない、が、兜に強烈な一撃が。カンダタが斧を振り回してきた。
「うおっ」
一瞬体勢を崩しかけたが傷ついた子分へ向けて剣で突いた。
「ぐわあっ!」カンダタ子分は大量の血を噴出してその場を逃げ出した。
「きさま!」
カンダタが斧を振り回してくるが、落ち着いていたセメントはもう一体の子分へ斬りかかる。悲鳴を上げる子分その2、そのあとも修羅の形相でセメントは剣を振るい、かなりのダメージを負ったものの3体目の子分も落ち着いて倒した。
「残りはあなた一人よ」
回復魔法をかけながら荒い息をつくセメント。
「そうみたいだなあ。でも嬢ちゃん一人に負けたとあっちゃあオレの評判が落ちるから、悪いけど全力でやらせてもらう。とりあえず、名を聞いておこうか」
「アリアハンのセメント」
「養成所育ちか」
「そうよ」
「おかしいなあ、俺の情報によるとあそこは実戦に強い選手は育たないはずなんだがなあ、まあいい。嬢ちゃんが勝ったら金の冠を返してやろう、そのかわり、俺が勝ったら」
「・・・・」
「やらせろ」
これだから男ってやつは・・・セメントの表情が歪む。
これは絶対に負けられなくなった。
「おりゃあああ!」
カンダタが力任せに斧を振るう。ぎりぎりでたでで受けるが重い。カンダタの露出した肌をめがけて斬りつけてゆくが、なかなかカンダタの動きは止まらない。なにじろ血をしたたらせながら斧で斬りかかってくる。
「死ねおらあ」
カンダタが右手の斧を繰り出した。盾で受け止めるセメント、しかしカンダタは左腕をぶんとふるってセメントの首筋を打ち抜いた。
「ぐわあああっ!」
恐ろしい衝撃にセメントは吹っ飛び、頭から床に落ちる。
「ざまあ見ろ、斧にばかり気を取られおって、この俺のラリアートを食らって起き上れるやつなど」
「げほっ・・・ううう・・ああ!」
セメントは口元から血をこぼしながら起き上り、回復魔法を唱えた。
「あたしは・・・負けるわけにはいかない!」
「おろかなやつよ、だがその根性気に入った。必ず俺の女にしてやる」
「ふざけないで!」
回復魔法は一回では足りなかったので2回唱えた。
そしてセメントが薙ぎ払う、手ごたえはあったのだがカンダタは鮮血が飛び散るのも構わす右手の斧を振り回すとみて左のパンチを撃ちこんでくる。鎧越しとはいえセメントは吹き飛ばされる。しかしセメントは勝負を捨てず、回復呪文でしのいだあと、剣で反撃。
(こいつ、なんて体力なの・・ぜんぜん倒れる気配がない!)
「ふっふっふ、いつまで我慢できるかな、嬢ちゃん。この後が楽しみじゃ」
「このやろう!」
剣を振り回すセメントだったがカンダタは斧で受けてその場でジャンプして飛び蹴り!
セメントは壁に叩きつけられる。回復呪文で体勢を立て直している間にカンダタが距離を詰めてきて斧で頭を痛打!鉄兜越しとはいえ目の前がぼうっとかすむ。
セメントは懸命に剣を振るうがカンダタは離れない。
げしっ
カンダタの強烈パンチ。セメントは鼻から大流血。
回復呪文を唱えようとしたがもう魔力が底をついた。セメントの精神力が尽きた。
(もうダメかもしれない)
「お前はこれで終わりだー」
カンダタが倒れたセメントにのしかかり顔面パンチ。しかしセメントも勝負を捨てず剣をカンダタの脇腹に突き入れた。しかし固い筋肉のせいか奥まで届かない。
「おらあっ!」
カンダタが強烈なひじ打ち。セメントの口元からおびただしい血が。
しかしセメントは剣を離さず
「うわあああー!」
最後の力でカンダタの肉体深くに剣を突きこんだ。大量の血しぶきが飛ぶ。カンダタの口元からも血が。」
(・・・・・・・・・・・)
不利を悟ったカンダタ、早く魔法医の治療を受けないと命に関わる。そう判断したのかカンダタは飛びのきつつ両腕で刺さった剣を抜き、マントを腹に巻いて止血を行った。
「ぐぬっ、ま、参ったよ。俺の負けだ。・・・セメント、金の冠は渡すから許してくれ」
セメントもこれ以上戦う力はなかった。ぎりぎりのところで勝ちを拾った。
「・・・じゃあな、セメント。あんたのことは忘れないよ」
カンダタは金の冠を置き、子分に支えられてその場を逃げるように去って行った。
「ううっ」
セメントは上がった息を整え、タオルで血まみれの顔を拭く。そのあと袋から体力回復ハーブを取り出して口にする。これでようやく持ち直し、剣を拾うと痛む体を引きずりながら塔の出口へ向かった。途中何度か魔物に襲われたがなんとか力を振り絞って剣を振るい撃退。なんとか塔を出てシャンパーニ近くの川で、汚れた顔を洗う。全身ボロボロだがなんとかカザーブまで辿り着かなければならない。
(ふー・・・ここからが正念場だ、心して行こう)
キャタピラーや軍隊ガニなどの魔物を打ち倒しつつ、日没迫る頃ようやくカザーブの街に到着。ほうほうのていで宿屋に投宿。
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