新説ドラゴンクエスト3 126日目
126日目 1月2日
夜が明けてレイアムランドに到着。神殿を再訪し、すべてのオーブを台座にセットする。あたりをまばゆい光が包み、神の鳥ラーミアが卵から蘇った。
(これで、バラモスの城に乗り込める・・・・)
ひとまずサンチャゴ号の3人とはここでお別れ。ジンク、クロファット、ファナースに礼を述べた。2か月と少しの間だったが、世界各地を回ってもらい冒険の大きな助けとなった。
・・・・さあて、バラモス。首を洗って待ってろ!
セメントはラーミアの背中に飛び乗るや、旅の最終目的地、バラモス城へ向けて飛び立った。
レイアムランドからバラモス城まではひとっ飛び。セメントは城内に潜入した。出会ってすぐのところで遭遇したエビルマージを倒して城内の地図を入手。探索よりバラモスのいるところを目指した。動く石像のタフさに苦戦したものの、スノードラゴンやライオンヘッドという既知の敵もいたのでなんとか進撃し、階段の上り下りを繰り返して強い妖気を感じる下り階段を見つけた。
(この先に多分、バラモスがいる)
地下室の玉座にバラモスが座っていた。背丈は人間と同じくらいだがローブに包まれたその身体からはとてつもない邪気を放っている。
「予想より早いなあ」
バラモスがボソッと言い放つ。
「ふがいない部下どもは何をやっておるのか・・・まあいい、我は魔王バラモス。この私を倒そうなどという身の程知らずが、まあかかってくるがよい。きさまに現実を教えてやる。人間に魔族は倒せぬということをなあ!」
バラモスの攻撃は苛烈を極めた。初めて受ける強烈な爆発呪文と火焔呪文、そして口から激しい火柱を吐きつけてくる。時折繰り出す素手での打撃も強烈。セメントは最高回復魔法をかけながら戦わざるを得なかった。
鋼の鞭を入れたがバラモスの皮膚が固く、効いたそぶりを見せない。ならばとジパングで手に入れた草薙の剣を使い、その青い光でバラモスの守備力を下げた後、切り札の稲妻の剣で斬りかかる。手ごたえはあったが、バラモスの傷口がたちまちのうちにふさがってゆく。こういう敵は初めてだ。
「だから言ったであろう、きさまの剣など上級魔族の前には何の意味もないのだ」
ヤマタノオロチもボストロールもしぶとかったが、バラモスは斬っても斬ってもさほど出血もなくすぐに傷跡が塞がってしまうのだ。回復魔法をかけているそぶりはないというのに。
逡巡していると強烈な火柱がおそいかかってくる。
「ぬわああ」
あわてて最高回復魔法を唱えるセメント。それでもあきらめず稲妻の剣をふるっていったが
「無駄なことを」
だんだん濃くなるセメントの焦りの色。そんな攻防が30分ほど続いたが、ついにセメントの魔力が尽きた。人間の身では魔法は無尽蔵に使えるものではない。激しい疲労感と大量の発汗。セメントはがくりと片膝をついた。
「ワハハハハハ、とうとう魔力が尽きたようだなあ」
バラモスの強烈な蹴りで吹っ飛ぶ。そして火柱。しかしもうセメントは回復魔法を唱えられない。破れかぶれで剣を振るっていったが、耐えきったバラモス、爆発魔法、火炎魔法の猛攻。
「この・・・っ」
虫の息となったセメント、それでも斬りかかっていったが、バラモスは平然と左の手で受け止め、
「無様だな、弱き人間よ」
セメントの側頭部に強烈な打撃を叩き込んだ。これでセメントの意識は闇に落ちた。
女勇者は10敗目を喫した。これまでと違って痛すぎる敗北。
セメント・スターリー・エスプレッシーボ(16)レベル38
身長159センチ、体重64.5キロ、空の神兵。
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