新説ドラゴンクエスト3 128・129日目
128日目 1月4日
「ダークナイト、ここがあなたの部屋です」
地下牢を出されたセメントは、バラモス城内の一部屋をあてがわれた。肩書きはネクロゴンド守備隊長補佐。ようするに魔王軍も相当人手不足で、動物由来の怪物を除く、バラモス配下の手勢と呼べる人員は限られているようだ。しかしバラモスは抜け目がなく、監視役としてエビルマージをひとり、セメントに従者扱いでつけた。食事はそれなりのものが配膳されてきた。
(しばらくここで過ごして、チャンスを見計らって逃走するほかないか)
バラモス城内に宿泊。ボクはこの先どうなるのだろう。
129日目 1月5日
脱出のチャンスは案外早く訪れた。
「敵襲!!」
バラモス城の鐘が乱打される。
「東ネクロゴンド方面に人間の軍勢が!その数およそ1000!」
エビルマージマネージャーがダークナイトにも出動を指示。
「ダークナイト。人がいない。お前も迎撃に出ろ」
「武器を返して。でないと戦いづらい」
「・・・よかろう」
押収されていた袋ごと返してもらえた。そのあとスノードラゴンの背に乗って現場に急行。イシス・ダーマの連合軍がバラモス討伐隊を差し向けたらしい。魔王軍はセメントの他に数名のエビルマージ、そしてミニデーモンが数十体。あとは常駐しているトロルが数体。数的に不利は否めない。戦いは乱戦となった。数を頼みに攻めてくる連合軍。セメントも相手が死なない程度に鋼の鞭を振るい、イオラの爆発呪文を唱えて応戦した。しかし今回の討伐軍は戦意が旺盛で、監視役のエビルマージを捕まえて打撃を集中。あえなくエビルマージは倒されてしまった。あとはもう乱戦。このどさくさに紛れてセメントは緊急救難信号の呪文を唱えた。ほどなくセメントはネクロゴンドから離脱した。
次の瞬間、セメントの体はどこかの一室に横たえられていた。
「ここは」
「ポルトガの魔道士協会。緊急信号呪文を感知したのであなたをサルベージした」
当直らしい中年の女魔道士が説明する。
「悪いけど・・・これ請求書。10日以内にゴールド銀行の窓口で払っておいて」
先ほどの女魔道士が羊皮紙を手渡した。
「あまり無理を・・・しないでね」
これでセメントは捕らわれの身から解放された。
(このあと、どうする?)
今の自分ではバラモスにまず勝てない。それは戦った自分が一番よくわかっている。あの傷口をふさぐ能力をどうにかしない限り勝てない。
・・・それに、魔王軍の追手がポルトガに来る可能性もある。
裏切られたと感じたバラモスは追っ手をかけてくるだろう。最悪の場合ポルトガ市民に迷惑をかけてしまうかもしれない。
セメントはしばらく考え、鍛錬を兼ねてサマンオサに潜伏することにした。ラーミアに乗ってサマンオサへ向かった。夜に城下町に入り宿屋泊り。
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