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2018年4月 2日 (月)

新説ドラゴンクエスト3 第206日 対バラモス再戦

206日目 3月23日
「また会ったわね」
 「・・・そうだな、こんな夜中に何の用かね」
「あなたを殺しに来た。」
 「無駄なことを。せっかく逃げれたのにまた犯されに来たというわけか。愚か者めが」「ふざけないで、この極悪」
セメントは鋼の剣を構えた。
「人間はいつもこうだ。負けるとわかっておるのに余計なプライドで刃向ってきおる。まあいい。こんどは逃がしはせぬ。我が側女として地下牢獄で壊れるまで弄んでやろう」
「ウラァ」
セメントは手にした剣を投げた。バラモスは首を傾けてかわす。しかしそれはフェイント。セメントは隠し持っていた魔封じの杖を掲げた。まばゆい光がほとばしる。
「うくっ!何をしやがった!魔法が・・・使えぬ・・・きさま!」
(作戦その2、まず相手の脅威を減らす)
バラモスは急場しのぎに火炎を吐きつける。セメントは落ち着いてドラゴンの盾で防ぐ。そのあとセメントはジパングで手に入れた草薙の剣を構えた。青い光が地面を走る。まずバラモスの装甲を落とすのが先。
「うぐっ、小娘が、つまらぬ小細工を弄しおって!」
一回は外したが、落ち着いて草薙の剣を使い、青い光を2回当ててバラモスの堅い装甲を無効化した。
(ここまでは、予定通り・・・あとは稲妻の剣で斬っていくだけ)
セメントは最高回復魔法を唱えてから、稲妻の剣を取り出した。
「おらあっ!」
バラモスの肩口を狙って斬りかかる。手ごたえはあった。
「・・・少しは腕を上げたか。だが結果は前と変わらぬ。所詮は人間、上級魔族の前にひれ伏すのだあ!」
と言ってバラモスは殴りかかってきた。刃の鎧越しでも構わず強烈な拳がセメントを襲う!
(うげっ)
その力はトロルとは比較にならない。衝撃をこらえる。だがセメントは見た。
(血が流れている)
傷口が塞がっておらず赤い鮮血がほとばしっている。
ひるまず斬撃を入れる
ばしゅうっ!
バラモスも打撃と火焔で応戦。セメントは意識が砕けそうになると最強回復魔法を唱えた。3回斬撃を入れたら回復魔法。この流れが数回繰り返された。
(落ち着いて、落ち着いて・・・)
そのころには床が血だらけ、バラモスは全身から鮮血を噴出させていた。
「おのれ、きさまああああ」
バラモスは狼狽していた。3か月前は歯牙にもかけなかった人間の小娘の斬撃が威力を待ち、わが法力の回復が追いつかぬ。馬鹿な・・・
「わしは魔王バラモス!人間の小娘ごときに負けるはずがない!うおー」
とはいえ炎と殴る蹴るの単調な攻撃だけ。時折呪文を唱えるそぶりを見せるがまだ魔封じの杖の効果が続いている。
(やれる、このままいけば・・・)
3か月前よりはるかに威力を増した勇者セメントの斬撃が命中!また命中!
(ぬおおお、馬鹿なバカな・・・)
バラモスは力任せにセメントを殴りつづけたが、落ち着いてセメントは回復魔法を交えながらすくっと起き上がり斬撃を入れる。こういう泥臭い戦いはこの3か月トロルと何百回もやってきた。気が付けばバラモスの両こぶしは刃の鎧の影響で真っ赤に染まっていた。
(このわしが負ける!こんな小娘ひとりに、そんなことがあってたまるか・・・)
少数派の下級魔族から名をあげてゾーマに取り立ててもらい、魔王軍の中で地位を少しずつ上げていき、ついに方面軍総司令官にまでのし上がったのに・・・
「フゴーッ!殺してやる!」
バラモスは突進してセメントに抱き着いた。そして至近距離から火炎を吐きつけた!
しかし耐えきったセメントは抱きつかれたまま回復魔法を一度入れてから魔王の脇腹へ稲妻の剣をめり込ませた。
「フガーッ」
おびただしい鮮血が流れるのもかまわずバラモスは捕まえた両の手を離さず火炎を吐きつける。髪の焦げるにおい。
(うあっ・・・でも、まだ、やれる)
セメントはその体制のまま後方にゆっくり倒れて、すかさず体を入れ替え、上に乗る体勢となった。そしてバラモスの胸元へ稲妻の剣を突き立てた。
「ガハーッ!」
おびただしい鮮血。もうバラモスのローブはズタズタで朱に染まっていた。
「ガハーッ」
バラモスも最後の力を振り絞り、下からセメントの顔面を殴りつけ、炎を吐いた。しかしセメントは冷静に回復魔法で急場をしのぐと右手の剣をバラモスの胸板に何度もめり込ませた。
「アッガガーッ」
ついにバラモスは口元から大量に血を吐いた。
「お、おのれえ・・・人間のコムスメゴトキニ・・・、」
しかしバラモス勝負を捨てず倒れたまま最後の力を振り絞り、下からセメントの頭部めがけて大ぶりのパンチを入れる。セメントも砕けそうな意識をつなぎ止めながら稲妻の剣を突き立てる。凄絶な争いとなった。
ガン、ガク、ガキン、ベコン
オルテガの兜の装甲が悲鳴を上げる。
(お願い、父さん、私を護って・・・)
しかしセメントの頭を殴っていたバラモスの力は徐々に失われてゆき、力なく兜をカシンとたたくのみになった。
「うぁおー」
セメントは憤怒の形相でバラモスの胸元を稲妻の剣でえぐった。
「グボボボボボボ」
バラモスはついに動かなくなった。あたり一面はさながら血の海だ。
(やった、の?)
バリバリバリバリバリ
あたりを黒いバリアがつつむ。
「そこまでだ」
(何者)
「バラモスよ・・・何たる醜態か。人間の女一人にやられてしまうとは・・・・だがここで戦力としての貴様を失うわけにはいかん・・・女勇者よ・・・決着を付けたくばギアガの大穴より闇の世界に来い・・・魔族の精鋭の恐怖を味わわせてやる・・・・」

何者かがセメントの脳内に語りかけたその後
バシュッ!!
黒い光が瞬き、バラモスの姿は玉座の間から消えていた。大量の血痕を残して。

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