WASオールスターリーグ戦(6)
(6)
そして月日は流れ、いよいよリーグ戦の初日、8月12日横浜大会を迎えた。
朝9時頃から選手が続々と会場入り。
「ちょっと腰が痛いですけど・・・まあやるしかありません」
新日本女子プロレスの王者、マイティ祐希子は9時10分に会場入り。昨日の土曜日は自団体の有明大会でビューティ市ヶ谷の挑戦を受け、30分以上の死闘の末にバックドロップホールドでベルト防衛に成功したのである。よりによって今日1試合目ははメインで西の狂龍、サンダー龍子と激突する。2試合目は強力な打撃を持つSPZのコンバット斉藤とぶつかる。両方とも楽な相手ではない。
WARS軍団も昨夜は大阪でビッグマッチがあり、朝一の新幹線で横浜入り。
「ああ、眠ぃ」
サンダー龍子がキャリーケースを引きながら控室に消える。
SPZはこのために8月シリーズを8月下旬にずらしていたので休養十分。ソウルジャーは金曜日まで首都圏シリーズを開催し、1日のオフを置いて初戦に臨んだ。
開場前のリングを使った練習は9時半から、1団体20分ずつの割り当て。きょう使用されるリングは新女のリングなので、それ以外の3団体の選手はリングに上がってロープの感触や受け身の感覚を確かめた。
午前11時、開場。16興行ともチケットは前売り段階で完売し、それゆえパブリックビューイングも全国8か所で設けられた。
午前11時57分。第1試合を裁く新女の阪口レフェリーがリングに上がり一礼。リングアナも本部席に陣取り木槌を握る。
午前11時59分、リングアナがゴングを木づちで5回叩き、興行の開始を告げる。
オーロラビジョンでカウントダウンが流れ、自然発生的に観客が5,4、3,2とカウントダウンを数え、ゼロが唱和されるや否や2人の選手が走って入場してきた。
第1試合 ロイヤル北条(新女)VSマーメイド千秋(WARS)
リーグ戦の前に、セコンド選手による前座試合がどの会場でも3試合ずつ組まれる。
興行のオープニングを飾るのがこの2人。レフェリーチェックのすきをついていきなり北条に殴り掛かっていったマーメイド千秋だったが、打撃を受け切った北条が両腕で千秋の頭を押さえつけ頭突き、そのあと力任せにひねり倒した。
ならばと千秋は起き上がりミドルキックを撃ちこんで行ったが、北条も防御し、三発目の蹴り足をつかんで力任せになぎ倒した。
「このおっ」
力の差を見て取った千秋は、いったん間合いを取りダッシュして突っ込んで行ったが、やすやすと組み止めた北条はそのまま首根っこをつかんで早くも得意のDDTへ。
「ぐわあっ」
なんとこれで3カウントが入ってしまった。勝負タイム1分55秒。完勝を収めた北条は勝ち名乗りを受けるや一礼してリングを降り、引き揚げた。そのあと敗れた千秋も起き上がり、頭に手をやりながら引き揚げた。
第1試合の後リーグ戦の入場式。まずSPZの4人が御揃いの青いジャージで入場。リーグ戦の常で名前入りのたすきをかけている。そのあとWARSの4人が各々のトレーニングウェアで入場。そしてソウルジャーの4人がデザイナーズブランドのトレーニングウェアで入場。最後は新日本女子プロレス、団体ロゴの入った赤いジャージで入場。市ヶ谷だけはジャージではなく入場用ロングガウンを羽織っていた。
リング上に16人の選手が4列縦隊で並んだあと、実行委員会名誉代表の衆議院議員が開会宣言を読み上げ、優勝者には賞金1000万円と記念トロフィーが贈られますとのアナウンスで場内どよめき。16人の選手は緊張感をたたえつつ静かな表情。
« 20190216 | トップページ | 20190223 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント