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2019年9月 8日 (日)

WASオールスターリーグ戦(33)

(33)
仙台大会昼の部が終了。客だし、清掃を経て夜の部までしばしの休憩。試合を裁く4人のレフェリーも控室でぐったりとしていた。

しかしSPZの控室では異常事態が起こっていた。昼の部でグリズリー山本と激闘を繰り広げた伊達遙がなかなか起き上がれない。セコンド陣の小川、保科、沢崎、渡辺が心配そうな表情。
「これはもう駄目でしょう」
小川ひかるが断言。こんな状態と氷室紫月とやって勝てるわけが、いや、試合が成立するわけがない。しかし伊達遙はここまで14点とまだ優勝戦進出の可能性を残している。SPZの社長、杉浦美月コーチがあわてて運営と対応策の協議に出た。

午後6時、夜の部が開始。まず前座の3試合。

○藤島(1分37秒、回転エビ固め)ヴァイカー●
途中参戦の事務員兼業レスラー・ヴァイカーが初めてシングルマッチに挑んだが、あっさりと藤島に丸め込まれてしまった。

M千秋、石川、○真壁、辻(5分10秒、片エビ固め)金森、吉原、富沢●、成瀬
※エレガントブロー
WARSとソウルジャーの8人タッグ対決はWRASに軍配。真壁那月がエレガントブローを炸裂させた。

○B市ヶ谷、中江、R北条、菊池(6分55秒、エビ固め)沢崎●、小川、渡辺、保科
※ビューティボム
SPZ軍が奇襲を仕掛けてその流れで沢崎光がB市ヶ谷に真っ向勝負を挑んだが、沢崎のジャーマンを受け切った市ヶ谷が猛反撃。鋭い延髄斬り、タイガードライバーで大ダメージを負わせて最後はビューティボム炸裂で沢崎を沈めた。あとの6人は場外戦以外の出番なし。

(公式リーグ戦)
○B市ヶ谷(17点)(不戦勝)N白石●(4点)
この時点で暫定ながらビューティ市ヶ谷がトップのB来島に並んだ。しかし来島はすぐ次の試合に出る。

○B来島(19点)(29分47秒、エビ固め)R美冬(10点)●
ここまで力押しファイトが奏功し、まさかのトップできているボンバー来島。仙台夜の部はもう負け越しが決まっているR美冬なので手堅くとっておきたいところ。しかしライジン美冬のヘッドショットキック、ハイキックに大苦戦のボンバー来島。そして弱ったところをストレッチプラムで追い込まれる。しかし腰投げで切り返し、ナパームラリアットで反撃。しかし美冬も執念で起き上がり延髄斬り。そして引きずり起こしてのバックドロップ。しかしボンバー来島ギリギリでフォールを返し、押さえつけにきたところをベアハッグにとらえた。これで形勢逆転。腰の痛みに悶絶するR美冬。定石通り耳そぎチョップで抜けようとしたが有効打が打てずもがき苦しむ。
「さあ気持ちよく眠らせてやるぜ」
このシリーズで猛威を振るっている延髄ナパームラリアット、しかしR美冬返して、スリーパーで反撃。残り時間が3分、2分、1分とこのまま時間切れ引き分けになってしまうかと思われたが、ボンバー来島やっとの思いでロープに逃れ、技が解かれるやコーナー2段目から体当たり気味のタックルでR美冬を弾き飛ばす。そして引きずり起こして奥の手、ラストライドで叩きつけてタイムアップ間際に3カウントを奪った。ボンバー来島逆転勝利で勝ち点を19に伸ばし暫定単独首位に立ったが、ダメージが深く座り込んだまま勝ち名乗りを受けた。

ボンバー来島、控室に戻るやぶっ倒れたが、10分ほど横になって息を整えるとシャワーを浴び着替えを済ませて、迎えの車に乗り仙台駅へ向かい、新幹線で帰京し明日の最終日に備えた。

○氷室紫月(18点)(不戦勝)伊達遙(14点)●
伊達遙、本人的には試合をやるつもりだったが昼の部のG山本戦で頭を強打しており、歩行もままならない状態。それでも出番が近づくや本能だけで起き上がり、セコンドの沢崎、保科に手を引いてもらいながら、普段の3倍以上の時間をかけて、青コーナー通路奥にたどり着いた。しかしここで運営が用意したメディカルチェックに引っかかった。

「伊達遙、だいぶ疲れているし首が据わっていないようだが・・・やれるのか」
「・・・・やり・・・ます」
リングドクター氏が運営と電話で協議。あんな状態で試合に出したら不測の事故につながりかねないので止めるべきだとリングドクターが力説。
リングドクター氏は花道奥のパイプいすに座る伊達に問いかけた。
「72引く27は?」
 「・・・・・うう、わからない・・・」
「それじゃあ質問を変える。関ヶ原の戦いが起こったのは西暦何年だ?」
 「たいやき・・・・」

「だめだこりゃ。脳がおかしくなっている。今すぐ病院にいってこい!」
リングドクター氏が伊達の入場を止めた。

リング上、まず氷室紫月がいつものように黒と銀を基調にしたロングガウンで入場したが、伊達遙のテーマ曲はかかったものの、なかなか入場しない。本部席と花道の間を関係者がバタバタと走って往復する。ざわめく場内。ほどなく伊達のテーマ曲が鳴りやみ、小淵沢実行委員長がリングに上がり説明。
「伊達遙、昼の部の試合で頭部を負傷し、リングドクターのメディカルチェックを行ったところ、試合出場不可能と判断されたため、伊達遙はリタイアとなります。従いまして本公式戦は氷室紫月の不戦勝となります」

ええええええええええええ?

不死鳥力尽きる。場内どよめき。SPZ世界王者のベルトを何度も巻いた伊達遙がここでリタイア。
しかしここでSPZの小川ひかるがリングコスチュームの上にTシャツを羽織った格好で走ってリングイン。そしてマイクを取った。
「氷室さん。伊達さんは・・・ああなってしまったけど・・・まったく試合しないで帰るのも氷室さん的に・・・本意ではないんじゃない?」
氷室紫月、首を縦に振ってマイク。
「汗をかかないと・・・ビールも旨くない・・・」
かくて、休憩前第5試合は「特別試合」として行われることとなった。この辺はSPZ、ソウルジャー、運営の3者が急きょ考え出した苦心のアングル。

※特別試合
○氷室紫月(8分17秒、片エビ固め)小川ひかる●
※ミリオンダラーバスター
両者のファイトスタイル通り、前半はクラシカルなグラウンドの攻防。しかしグラウンドでの技術は互角だが、氷室の方がパワーがある。ならばと小川、ミサイルキック、バックドロップと大技を繰り出していったが、氷室がスリーパーで捕獲。長々と締め上げてぐったりとさせた後フォール。これはギリギリで返した小川だったが、ならばと氷室は小川を立たせて背後からコブラクラッチに捕らえ、そのまま河津落としの要領で背後にバターンと倒れ、コブラクラッチを解かないまま小川に覆いかぶさって3カウントを奪った。その試合が終わると休憩。

氷室紫月、特別試合を制して一礼してポーカーフェースのまま花道を引き揚げ、着替えとシャワーを済ますや迎えの車に乗り、仙台駅へ向かった。新幹線やまびこ号グリーン車の中で、笹かまぼこと缶ビールでリラックスする氷室、明日の最終戦に備えた。
一方の伊達遙はドクターストップがかかり、仙台市内の病院に関係者の車で運ばれ、大事を取って一晩入院する仕儀となった・・・・

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