WASオールスターリーグ戦(35)
(35)
第8日 8月19日(日)
8日間ぶっ通しの昼夜開催という超ハード日程で行われた女子プロレス・オールスターカップ戦も最終日を迎えた。実行委員長の小淵沢は都内のホテルで朝のコーヒーを飲んでいた。
・・・・難しいマッチメイクだった・・・
フォール負けはいやだとか丸め込みなら可とか、敗北の理由としての負傷アングルとか、やはり団体トップどころの選手はフォール負けを嫌う。かといってあからさまな反則決着や両リン決着も時流に即さないのでなるべく避けたい。また団体間の対戦成績はなるべくイーブンになるようにしてくれという強い要望もあった。そのすべてを調整するのは骨が折れたが、何とか最終日を迎えようとしている。
・・・これ飲んだらドーム行くか。
小淵沢は静かにコーヒーカップを傾けた。
午前9時過ぎから続々と選手たちが会場入り。決勝戦進出の可能性を残す7選手はいずれも厳しい表情をしていたが、すでに脱落が決まった7選手はどこかホッとした表情で会場入り。最終日はソウルジャーのリングが使用される。
正午、昼の部が開始。
まずは前座の4試合。
○M千秋(9分37秒、体固め)成瀬●
※雪崩式ブレーンバスター
リーグ公式戦が2試合流れたため、前座試合が4試合行われることになった。オープニングマッチはマーメイド千秋が持ち込んだ紐で首絞め攻撃などの悪事を働きペースをつかみ最後は成瀬がダイビング攻撃を狙ったところを雪崩式ブレーンバスターに切り返して勝利。
○沢崎、渡辺、保科、富沢(6分43秒、ジャーマンSH)中江、R北条、アナスタシア、ヴァイカー●
伊達遙負傷欠場ということで運営は、関東地区のローカル団体、埼玉ソウルプロレスに急きょ声をかけ、中堅選手のロシア人留学生レスラー、アナスタシアの2試合参戦にこぎつけた。ルックスがいいので会場人気がある。この日はグラウンドの堅実な攻防を保科と繰り広げて実力の片りんを見せる。しかし後半は沢崎が暴れまわり、中江、R北条を立て続けにジャーマンで戦闘不能にし、アナスタシアは渡辺保科と3人がかりの攻撃で場外に放り出し、孤立したヴァイカーもジャーマンで始末した。
吉原、○金森(9分20秒、片エビ固め)草薙、小川●
※ビッグブーツ
草薙みこと、公式リーグ戦最終戦は不戦勝となったため、前座の第3試合に回り、タッグパートナー小川ひかると組んでソウルジャーの吉原、金森と対戦。ハードなシングル連戦で体にガタがきており、試合の大部分を小川に任せていた。そして小川ひかるはいつも通り相手チームに捕まるぐだぐだっぷりを発揮し、最後は金森麗子のビッグブーツに沈んでしまった。草薙みこと、ほとんど汗をかかずに東京大会昼の部を終えて引き揚げた。
M祐希子、○菊池、藤島(10分47秒、回転エビ固め)石川、真壁、辻●
伊達遙がリタイアしたため、マイティ祐希子も最終戦は不戦勝となり、前座の第4試合に回り自団体の後輩である菊池、藤島と組んでWARSの若手中堅3人と対戦。ただマイティ祐希子はまだ決勝戦進出の可能性を残しているので、最初に出て石川とロックアップとチョップの攻防を少しだけやって、あとはコーナーに引っこんで菊池藤島に任せ、もっぱら檄を飛ばしていた。そして10分経過と同時に分断作戦を仕掛け、石川を場外に落としてコブラツイスト。その間に菊池がうまく辻を丸め込んだ。
(公式リーグ戦)
○草薙みこと(16点)(不戦勝)N白石(4点)●
草薙みこと、最終的に7勝2分け5敗1両リンの勝ち点16で全日程を終えた。SPZ世界王者として大きな怪我もなくリーグ戦を完走してホッと一息。
中盤でリタイアしたノエル白石は2勝12敗の勝ち点4で最下位となった。
○M祐希子(18点)(不戦勝)伊達遙(14点)●
マイティ祐希子、最終戦は不戦勝で、最終的に7勝4分け4敗の勝ち点18でリーグ戦全日程を終えた。一気に勝ちきれず時間切れドローを4つもやってしまうなど、本来の持ち味全開とはいえなかったか。それでも終盤に盛り返し勝ち点18でまとめ、最終戦まで決勝戦進出の可能性を残したのはさすが新女の世界チャンプ。
一方の伊達遙、7勝8敗の勝ち点14でリーグ戦を終えた。リーグ戦終盤に負傷してリタイヤを余儀なくされたが、SPZ元王者としての貫録は十分発揮した。
○R美冬(12点)(20分3秒、リングアウト)結城千種(12点)●
既に優勝争いからは脱落した両者の対戦。結城千種はとにかく投げようと組み付いてバックに回ろうとするがライジン美冬も足を絡めてグラウンドに持ち込もうとする膠着した展開になった。そして流れの中でライジン美冬がヘッドショットキックやニーリフトを入れ出して結城の動きを止める。そしてライジン美冬がストレッチプラムを繰り出し優位に立つ。しかし結城もバックドロップ3連発で手数を返す。しかし4発目は体を浴びせて阻止。ここで両者ダウン。試合は盛り上がった。
(リタイアした白石さんの分まで自分は闘わないといけない)
先に起き上がったライジン美冬、ロープ際の攻防でうまく結城を場外に叩き落とし、自らも場外に降りて場外DDTを炸裂。しかし結城も起き上がり、頭を打ってムッとしたのか怒りの表情を浮かべてライジン美冬に突進していったが、フェンス手前でさっとかわされてしまい、あわれリングサイド最前列に勢いよくダイブしてしまった。この隙にライジン美冬はリングに帰還。結城千種、起き上がったのだが右ひざに痛みを覚えたのか思わずうずくまり膝に手をやる。そこで20カウントが数えられライジン美冬のリングアウト勝ちが宣告された。
ライジン美冬、6勝9敗の勝ち点12でリーグ戦を終えた。ヘッドショットキックを積み重ねて相手の動きを止める作戦はそれなりに奏功したが、トップどころ相手にはもう一つ二つ勝つための引き出しが必要だったか。結城千種は5勝2分け7敗1両リンの勝ち点12でリーグ戦を終えた。負けたくないという気持ちが強いためか、また真正面から投げ技で相手を痛めつけて勝つスタイルのためか、思うように勝ち点を伸ばせなかった。
その試合が終わると休憩。
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