WASオールスターリーグ戦(39終)
そしてついにオールスターリーグ戦、決勝戦。
ボンバー来島VS氷室紫月。
まず青コーナー側からリーグ戦2位通過、氷室が入場。いつものように泰然とした表情で長い花道を歩いてリングイン。
続いて赤コーナー側からリーグ戦1位通過、ボンバー来島が入場。アップを入念に行ったのか、すでにうっすら汗をかいており、自身のグッズTシャツを羽織って、花道を早歩きでリングへ向かう。
リングアナのコールの後、20時32分、ゴング。
ボンバー来島の右腕には物々しいテーピングが施されていた。やはり昼の部で南に集中攻撃をされて痛めているからか。そして氷室も関節狙いや一点集中攻撃は上手い。ボンバー来島が力任せに殴ったり蹴ったりしてゆくが、氷室も右腕の関節を取って来島の勢いをそぐ。あわてた来島は5分過ぎに早くもベアハッグに。リーグ戦で痛め技として猛威を振るったベアハッグに活路を見出さんとしたが、氷室も耳そぎチョップを打って脱出。
この後氷室はボンバー来島の左足に照準を絞り、関節蹴り、アンクルホールド、股裂きと執拗な足攻めで来島に主導権を渡さない。この流れのまま10分が経過。焦れたボンバー来島は場外乱闘で流れを変えようとしたのか、転がって場外エスケープ。しかし氷室は追わずに、リング上で息を整える。こうなってしまっては来島ひとまずリングに戻らざるを得ない。しかし来島は左腕で氷室の首根っこをつかむと、ロープ際まで移行して、右腕でトップロープをつかみながらジャンプしてトップロープにちょこんと座り、そのまま足を跳ね上げて氷室もろとも場外に落とした。マットが敷かれていないのでこれは痛い。
「うおらあ」
B来島、氷室を引きずり起こして鉄柵に振る。
「終わりだ」
そして場外パワーボム。倒れ伏す氷室、リングに戻ったボンバー来島、このままリングアウト勝ちかと思われたが、氷室もふらつきながら起き上がりカウント19ギリギリでリングに戻った。15分経過。
「ウオオーッ!」
ボンバー来島、ここで勝負に出て組み付くやDDT。しかし氷室カウント2.9ギリギリで返す。ならばと来島、氷室を起こしてショートレンジのナパームラリアット。痛めている剛腕を振ったが、打った来島も痛みに顔をゆがめ、右腕を押さえてへたり込んでしまってフォールに行けない。場内はものすごい歓声と悲鳴。ここで氷室起き上がり、来島のバックに回って変形スリーパーに捕らえた!
「うががが」
懸命にロープに手を伸ばす来島、絞め落とさんとする氷室、場内ハイテンションマックス。何とか落ちる前にロープに逃れた来島だったが、意識がもうろうとしたのかたまらずダウン。氷室、ここが勝負どころと引きずり起こしてバックドロップを狙ったが、B来島も足を延ばして一瞬、セカンドロープを蹴って態勢を崩し両者ダウン。20分経過。先に起き上がった来島、氷室を引きずり起こし、そのままダッシュして延髄ラリアットを狙ったが氷室、これは読んでいて寸前で右腕で延髄をガードして直撃をのがれてダメージを軽減。バランスを崩す来島、すかさず氷室は背後に回って組み付いて逆さ押さえ込みに捕らえ、電光石火の3カウントを奪った。
[決勝戦]
○氷室紫月(21分3秒、逆さ押さえ込み)ボンバー来島●
「ギリギリで肩、上げてなかった?」
井上霧子レフェリーに確認したボンバー来島だったが3つ入りましたよとの返答、一方氷室は来島の猛攻でダメージが深いのか起き上がれない。
「ケッ」ボンバー来島はリングを降りて足早に花道を引き揚げた。
控室の椅子に腰をおろし、テーピングを解きながら「詰めが甘かったかな。もうちょっと大技を積みあげてから勝負に行ったほうが良かったかな、ま、しゃあない」と反省の弁。
かなりの時間をかけて起き上がった氷室だったがダメージは深く、勝ち名乗りを受けて優勝記念トロフィーにタッチするのがやっとで、予定されていた表彰式と優勝者インタビューは割愛され、セコンドの金森麗子の肩を借りて花道を引き揚げた。控室でぶっ倒れる氷室。やはり来島の圧倒的肉体から繰り出される攻めをしのぐのは大変だったようだ。
かくして東京大会夜の部も終わり、全16興行をつつがなく終えた。ほとんどの会場は満員御礼が出てパブリックビューイングの集客、グッズ販売の利益などで数十億単位の収益を稼ぐことに成功した。波及効果を含めると経済効果は100億を超えるだろう。
「やれやれ」
実行委員長の小淵沢、広告代理店の幹部が安どのため息。氷室とB来島を決勝戦進出に選んだのは小淵沢の発案。ベルトを巻いている選手を決勝戦に出してしまうとそれ以外のトップ選手を傷つけることになりかねないので、トップ選手は決勝戦に出さない流れとしたのである。
「ああ、いろいろしんどかった、、酒でも飲みに行きますか」
「そうですね」
撤収が始まった新日本ドーム、実行委員会スタッフは打ち上げと称して銀座に呑みに出かけた。
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