大帝国リプレイ(6)
(6)
939年、5月第1週
「ガメリカ、エイリスと戦争することになる」
「やはりそうですか・・・」
長門艦橋での提督を集めた緊急ミーティング。このさきどうするか。ただでさえ中帝国と泥沼の戦いを繰り広げているのに、ガメリカ、そしてガメリカの同盟国であるエイリスと戦争することになるとかなり厳しい戦いを強いられることになる。
「東郷長官」山本無限が重い口を開く
「先に打って出るのはいかんぞ」
「えっ」田中が驚く
「我々の力をもってすれば、マニラくらいは奇襲で落とせるやもしれんが、それがかえってだまし討ちと喧伝され、ガメリカ国民の士気を高揚させかねない」
「そうですねえ・・・」
「ガメリカは強国じゃ。下手に攻めるより、向こうの攻勢をしのいで、向こうの大衆に厭戦気分が芽生えるのを待つ方が良いぞ」
「・・・そうですねえ」
かくて日本帝国は、ガメリカ、エイリスに対し、宣戦布告を行った。が、劈頭の奇襲作戦は山本の意見もあり、実行しなかった。
「わが国はあくまでも平和を希求するが、英米の理不尽な要求に屈するのは論外であるからして、止むに止まれず今回宣戦を布告したり。今回不幸にも戦争という手段に打って打たのであるが、我が国は対話にはいつでも応じる」
宇垣さくら外務長官は上記のようなステイトメントを発した。要するに日本と戦争をやりたがっているのはガメリカの財閥や軍産複合体だけ。前線部隊はそんなに「ヤル気」はないだろう。そう帝、東郷、宇垣は読んでいた。
「東郷。ガメリカの大衆を刺激しないという考えはわかるが、時間がたつと奴らとの戦力差がひらくいっぽうにならないか」
山下利古里陸軍長官が話す。
「そりゃそうかもしれない」
「だったら、こちらから攻めて・・・」
「まあ、焦らない方がいい。戦争は99回勝っても最後の一戦に負けたら負けだ。でもこれで我が国は大手を振って軍備拡張ができる」
悪いことに中国戦線では、さっそく南京モンから北京奪還をめざし、中帝国の艦隊が攻め込んできた。
「山本さんは日本の守りを頼む」
「おうわかった」
そして北京制圧時に捕虜にした敵艦隊の提督、リンファを日本軍提督に登用した。迎賓館に軟禁していても共有主義、カテーリンの赤本の教条を説くだけなので、扱いに困って山本に預けた。
そうこうしているうちに、欧州では北欧バイキング国家がドクツ第3帝国にあっさりやられて降伏。ドクツ第3帝国が地歩を伸ばしていた。
ガメリカでは、日本はてっきり奇襲でマイクロネシアもしくはフィリピンを攻めてくるかと思ったが、宣戦布告の声明だけして何もしてこなかったのでブライトハウスは拍子抜けした。だましうちをあえてやらせて国民感情をまとめて戦争機運を盛り上げようというシナリオは外れたが、国民感情などいくらでも操作できると軍産複合体の面々は考えていた。
そして、中帝国はインターネットに東郷とハニトラのハレンチ写真を本当にばらまいた。
「う、うううっ」
秋山参謀は心痛にうめいたが、東郷は「いや、感心感心」とどこ吹く風。
しかしこれで戦場の緊張感がほぐれたのか、北京に駐留した日本艦隊は中帝国の反撃を一蹴。小澤艦隊がレーザーで軽く撃退した。
5月第2週、
「やはりマイクロネシアでガメリカ軍が遠征の準備をすすめています」
ただ密偵の報告ではそんなに大艦隊ではなく、政府の意向を受けてとりあえず出撃したのがありありという編成とのことだった。
「とはいえ相手は世界に冠たるガメリカ・・・・山本さん、頼んだぞ」
リンファの乗っていた旧式ミサイル巡洋艦は再整備され、「C金剛」と命名され、日本海軍に編入された。
中帝国とガメリカの2正面作戦。貧弱な全15隻の日本艦隊。夜明けには程遠かったが、艦隊の面々の士気は、東郷長官のハレンチ画像の効果でリラックスし、かつ高揚していた。
「そんな下劣なる手を使わないと中帝国軍はウチに勝てないと思ってるのか」
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