ロマサガ2リプレイ(2)
2 レオン帝 2 オアイーブ
「ベア、ジェイムズ。魔物がまた入ってこぬよう洞穴の入り口を丸太で塞ぐのだ」
持参した丸太材で洞穴の入り口を塞ぎ、傍らに「帝国令772号 この地を封印する レオン」という立札を書いて立てた。既に夕刻近くなっていたので、一行は近くの村にある農家に一泊したのち、翌朝王都にもどりついた。
「ジェラール、無事だったか」
「兄上、まあ、なんとか・・・・」
インペリアルクロスという王国に古来から闘う陣形で、一番後ろを務めていたので比較的安全に戦うことができダメージを負うこともなかった。だがジェラールの太刀筋は弱く、前衛の3人に勝たせてもらったようなものだ。もう少し頑張らないと。ジェラールはそう感じた。
封印の地の討伐から三日後、オアイーブと名乗る女魔道士がレオンに謁見を願い出た。二人で小一時間話し込んだが、内容はこの世界を席巻するモンスターを統べる七英雄に関するものだった。ほとんどの七英雄は僻遠の地で活動しているようだが、七英雄のひとり、クジンシーだけはアバロンからほど近いソーモンに館を構えている。数十年前にソーモンの施政権を手放して以来、あの港町を支配しているのは七英雄クジンシー。3代前くらいの皇帝が配下のモンスターと交戦し、その時はソーモンを渡すことで手打ちにしたいきさつがある。
「ソーモンのクジンシーが力をたくわえつつあります。近いうちにアバロンにも攻め込んでくるかと」
「・・・そういうものかのう。我が王家とはソーモンを渡すから交戦しないという約定があったと聞いているが」
「約定などその時の都合でいくらでも破棄できるかと。」
「うむ・・・だが打って出るには我が方の戦力はまだまだ貧弱。まずは力をたくわえながらしばらく様子を見ることにしよう」
(やはりクジンシーの狙いは王国壊滅にあるのか・・・・)
レオンは玉座で沈思した。
(だが、むざむざとやられるわけにはいかぬ・・・私が老境に入る前にジェラールを戦士として一本立ちさせないと・・・)
レオンは戦いは計数だと信じていた。ひとりでは勝てない敵も数人がかりでよってたかって攻撃すれば勝てることもある。ただ烏合の衆では駄目で、使える手勢をそろえないと犠牲が増すばかり。ここ20年、魔物との闘いにあけくれた。多くの兵士を失い、遺族の涙を目の当たりにした。犠牲を最小限にしつつ勝つにはそれなりに腕の立つ戦士を十数名、育成して配備しておかねばならない。
その夜、国王レオンはヴィクトールとジェラールを呼んだ。
「魔道士オアイーブが言うには、ソーモンのクジンシーが危険な奴だから注意した方がいいと。しかしクジンシーも七英雄の一人、王国を滅ぼすための戦をそう簡単に仕掛けてくることもあるまい、だが油断は禁物、ヴィクトール、王都の警戒を怠るな。ジェラール、お前は七英雄クジンシーについて古の文献で調べるのだ」
「はい」「かしこまりました」
「あと、また近隣住民からまた魔物出没の被害報告があった。東の洞穴にウォッチマンという獣人の棲家があり、農作物や家畜に被害が出ているそうだ。ジェラールといつもの3人で明朝出立して掃討する。ヴィクトールは留守を頼む」
「・・・かしこまりました」
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