ロマサガ2リプレイ(48)
(48)コッペリア皇帝の即位
かくて魔物勢とアバロン帝国の静かなにらみ合いは150年以上の長きにわたった。双方とも力をたくわえつつあったが、1809年に即位した第86代シバーエマンシー帝は危機感を感じていた。
「いくら武力を充実させたとしてもやるのは人間。鍛えるのも限度がある。」ようするに戦闘員養成所の人間をいくら鍛錬させても七英雄と正面からやりあうのは厳しい。勝てるにしてもそれは死体の山と引き換えになるのではないか。いつかは魔物が人間の十倍二十倍の力量・物量を持つときがくる。そうなる前に七英雄を叩かねばならないのではないか。大学教授でもある物理学者のシバーエマンシーはそう考えた。
「コッペリアを強化するのだ」
百数十年前にエンリケ帝が取り組みかけていた、人間ならぬ身のコッペリアを皇帝に据え、七英雄退治の切り札として活用する。シバーエマンシーはソーモンに滞在し、ヒラガ家の者と寝食を忘れて、自動人形に伝承法を移管せんと試行錯誤を繰り返した。アバロンの高官はだれもが自動人形が皇帝としての自我を得ることはありえないと、シバーエマンシーの取り組みをせせら笑ったが、30年後ついに奇跡が起こった。
「魔石をコッペリアの炉心に埋め込むのだ」
シバーエマンシーは数万冊の書物をめくり、国の秘宝である魔石をコッペリアの体内に埋め込み、しかるのちに伝承法の波動をこの子に注ぎ込むのみ、となったが、いくらシバーエマンシーが念じても彼女はうんともすんとも言わなかった。
「ならばこれしかあるまい・・・ぐぅぬん!」
シバーエマンシーは自ら短剣で腹を刺し、コッペリアの上に覆いかぶさった。
「神よ…頼む」
魔石が皇帝の血を吸い込み怪しく光る。そのとき奇跡が起こった。あたりにまばゆい閃光が立ち込める中シバーエマンシーは絶命し、コッペリアが目を開いた。
「コッペリア、何が起こったのだ」
「・・・私は皇帝になったのです」
自動人形の皇帝を認めるかどうか王宮は紛糾したが、おりから南ロンギット海でギャロンの亡霊が大きな嵐を巻き起こしており海運に支障が出てきたので、伝承法で皇帝の知恵と力を受けついだコッペリアを皇帝にせざるをえなかった。
「ギャロンの亡霊を討伐します」
1839年、第87代コッペリア皇帝はまずギャラクシイ要員として女ホーリーオーダーのマチルダ、力押し要員としてサラマンダ―のアウ、インペリアルガード女のユノ、イーストガードのボクデンを選抜メンバーに入れて、技訓練所・魔道研究所での訓練を経て、テレルテバ郊外でフォーメーションの訓練を行った。
876.デューンウォーム
その後一行は南ロンギット、トバへ出向いた。
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