ロマサガ2リプレイ(72)間奏曲
(72)間奏曲
第101代皇帝、アガタの治世は可もなく不可もなく続いた。七英雄スービエが配下の魔物を使い時折海上で軍艦や商船に悪さをしかけてくるが、皇帝アガタは不拡大方針を貫いた。
(オアイーブの話ではクジンシーが復活するという・・・でもその時に備え、我々も力をたくわえるのが上策・・・)
またソビユンの死後、ソビユンの息子ロペスが手勢を率いてティファールの独立を宣言しアバロン帝国に反旗を翻しゲリラ戦を繰り返す行動に出て、その鎮圧には数年かかった。
2304年、皇帝アガタは国内巡視のさなかに心臓発作で死亡。次の皇帝を決める会議が行われ、その結果、アバロン帝国大学教授のイアードが第102代皇帝に選出された。
イアードは戦史学を専攻する学者で、歴代皇帝の戦史を克明に調べ、魔物大全や術法大全、陣形学といった多くの軍事書籍を残した。辺境での魔物との小競り合いはあったが、不拡大方針を貫いたこともあり、帝国兵士の犠牲はわずかであった。
2334年、皇帝イアードは研究室で研究中に脳出血で倒れ、いまわのきわに次期皇帝に王宮武道家ルタチッツを指名した。かりそめの平穏が続く中、イアードは尚武の気を忘れないために御前試合での武道を奨励し、ルタチッツは忍者を自称し素早い動きに巧みであった。ルタチッツは過去の戦史を読み、クジンシーの復活に備えて国民に武道を奨励し、支配地でも学校での武道教練を必修化した。また、皇帝自ら演武団を率い、対人格闘の巡業を各地で行い、国民のフィジカル能力向上に努めた。おっさんの域になっても103代皇帝ルタチッツは格闘術の巡業に出向いたが、マイルズでの演武の際に受け身を取りそこない負傷。その傷が元で亡くなってしまった。
2366年、財務主計官トザカーナが第104代皇帝になった。先帝が次の皇帝を遺言せず逝ってしまったので、上級官吏の中からくじ引きで選ばれた。ようするに誰も七英雄に対峙する役割を引き受けたくなかったのだった。トザカーナもそれまで同様、辺境でのモンスターとの抗争は不拡大を貫き、戦闘員養成所の内部充実に努めた。また税制を整備し、財政の安定に務め辺境に5000人単位の兵団を配置し、七英雄の動きの察知に務めた。その結果、七英雄の本拠地はナゼール海峡のはるか南、大氷原にあるらしいという情報をつかみ、そこでクジンシーに似た怪物の姿を見たという密偵からの報告があったが、トザカーナは動かなかった。
「かかる辺境の地に大軍を送るわけにもゆかぬ。領土に実害がない限り見過ごす」
やがてトザカーナは老い、2401年、王位を戦闘員養成所長ラーパワイへ譲り、隠居生活に入った。105代皇帝となったラーパワイは七英雄との戦いに備え、戦闘員養成所で七英雄と正面から戦える戦士の育成に力を注いだ。そして大艦隊を編成しスービエを討伐し、次いで七英雄本体を倒しに大氷原へ精鋭部隊で遠征するというファイナルバトル計画を立案したが、犠牲も相当なものにのぼるだろうと考え、実行は先送りした。やがて十数年たち、ラーパワイも初老になり、私の代ではファイナルバトル計画の発動は難しいと、次の世代に解決を任せようと思っていたところ、2425年冬のある夜、皇帝の寝室のガラスが破られ、矢文が投げ込まれていた。
「レオンの封印したダンジョンで待つ クジンシー」
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