2009年11月 8日 (日)

第808回 38年目12月 歳末ファン感謝デー

38年目12月、東京調布のギムレットホールで行われたのは、歳末恒例SPZお笑い興行、今年は選手会興行。

第1アトラクション SPZ関係者3WAY歌合戦

 まずは渡辺智美歌謡ショー

「♪上野駅 16番ホーム
 ボンネットの 金沢行き夜行急行
きたぐにへ 旅立つ
ラウンジカー 流れる街の灯
能登 能登
夜行急行 能登~~~
夢路はるかに 闇を駆け行く
能登 能登
夜行急行、能登~~~」
年齢を重ねるにつれ、えせ演歌歌手のようになってきた売れないタレント渡辺智美(SPZ5期)がリングに上がり、「夜行急行能登号」を披露。それなりに沸いた。

続いては京スポ新聞取締役・若林太郎氏。名物記者の熱唱に場内大爆笑

「八王子みっどないと 八王子みっどないと 輝くネオン 飲む酒よぉぉぉ」

SPZとは長い付き合いの若林太郎さん(京スポ新聞 常務取締役)がリングに上がり、カラオケでの持ち歌「八王子ミッドナイト」を熱唱。もう60代なのだが、まだまだタイトルマッチの立会人を務める等元気。

「よし、次は俺だ」

SPZ創業者、今野ファウンダーがリングに上がり、カラオケでの持ち歌、「私はあきらめない」を熱唱。もう70代のはずなのだが歌唱力は健在。場内沸いた。

世の中は世紀末 いくつもの夢、胸に描いてきた明日が消されてきた。

 明日になれば何かが変わると思っても 変わらない明日があった。

 今日を生きるため 危ない橋を渡り 何度も思う だめだ もう おかしくなる

 それでも 今日まで 歩いて来れたのは 胸の奥 あなたが いたから

 たとえ どんなに 高い壁だって 目の前 一歩一歩 上へ登って行けば 

 いつかきっと越えて進める

 私はあきらめない。キセキを信じて。

 積み上げられた 重いタスクの山 見上げてため息 ただゾーと思う

 それでも 明日を 思っていられるのは あなたの 声が 聞こえるから

 たとえ どんなに 遠い場所だって あせらず 一歩一歩 前と進んでいけば

 いつかきっと たどりつける

 私はあきらめない。ミライを信じて。

 私はあきらめない。私の進む道は、いつだって前しか、ないだろうが!

 たとえ どんなに 悲しい時だって 目の前 その日その日を なんとか 丸め込んで行けば

 いつかきっと 越えて進める

 私はあきらめない。次の世界、信じて

***********************

「どうもありがとうございました。」

そのあと歌い終えた3人がリングに上がって、結果発表。ファンの挙手によって最優秀賞が決定される。抜群の知名度を生かした渡辺智美が賞品をかっさらうかに思えたが、意外にも

「フッフッフッ、まあ俺の人徳だよ」

京スポ新聞・若林太郎取締役がもっとも多くの挙手を集め最優秀賞に輝き、賞品の「最高級ワイン」を手に入れた。

「うーん、うまく歌えたのにのう」

今野ファウンダーが悔しがりながらリングを降りた。いつものようにロープをくぐって場外マットにすたっと着地したつもりが、転倒。

・・・イタ・・・・

創業者の大ボケかましに爆笑。しかしなかなか起き上がれない今野ファウンダー。あわててひかる夫人やフローラ小川が駆け寄ったが、今野ファウンダーうごけない。ざわつく場内。

「だから階段使いなさいって・・・」

この団体、社外のゲストさんはともかく関係者はリングを降りるのに階段は使わない。その横着さが仇となったか。けっきょく大事を取って今野ファウンダーは担架で運ばれた。

「もう私も、トシか・・・・」

第2アトラクション・選手トークショー

とんだハプニングがあったものの、葛城早苗のトークショーへとなだれこんだ。ふだんは寡黙なイメージの彼女だが、阿部リングアナといい感じでトークを展開。そのあとファンから事前に集めた問い合わせ。

「休みの日は何をしているんですか」

「うーん・・・映画ですね。映画館で新作の映画は観ますよ。アクション映画は欠かさず。俳優さんの表情とかですね、プロレスのヒントになる部分もあります」

そのあと休憩。

第3アトラクションは普通のシングルマッチ。フローラ小川対ザ・ラズベリー。

若手対上位選手のドリームシングルマッチ。ラズベリーの攻めを受けきったフローラ小川がじっくりと攻めに転じて、最後はスリーパーに捉えた。

「うわああああ、もうダメーーーー」

ラズベリーがスリーパーでやられてしまった。

セミファイナルはハードコアマッチ。ジャスティスえちご対早瀬葵。セコンドが手渡す凶器の使用はOKだ。そして決着はKOまたはギブアップのみという冷酷なもの。ただし対戦相手がダウンした状態でその凶器は使用できなくなるルール。

「けえええーーっ」

ファッション雑誌の角でえちごを殴ろうとする早瀬、場内大爆笑。しかしえちご、軽快なフットワークでかわし続けるが

「あっ!」

早瀬葵、南側客席を指差す。つられて視線を向けてしまったえちご、その隙に雑誌攻撃が。たまらずダウンするえちご、

ワーン ツーウ

レフェリーのクラリッジ成瀬がダウンカウントを数える。なんというシュールな試合。

しかしカウント5で起き上がったえちご(ファイティングポーズを確認するレフェリーにまた爆笑)、今度は

「もうゆるしませんよ」

竹刀を取り出しめった打ち。懸命にこらえた早瀬だがついにダウン。

ワーン ツーウ・・・

しかし早瀬、カウント7で起き上がり、取り出した凶器がスタンロッド。場内どよめき。かつてライラ神威が頻繁に使っていた凶器だ。

ばちばちばちいっ!!

感電して絶叫し、リングに横たわるジャスティスえちご、これで決まったかに思われたが、ジャスティスえちご、カウント9で立ち上がった。なんという頑健さ。

ジャスティスえちご、なお工具箱投げなどで反撃したが、ダメージが深くあっさりとかわされ、背後に回られて、

かちゃり

早瀬に手錠をかけられてしまう。

「しまった」、

懸命にもがくえちごだが手錠が外せない。あせればあせるほど手錠が食い込んでゆく・・・

「もらった、チェストーーーー」

早瀬、とどめのビール瓶攻撃。頭で受けたえちご、ビール瓶が砕け散った。(当然このビール瓶は飴細工なのだが)もんどりうって倒れ伏すジャスティスえちご。かなり苦しそう。

ワーン、ツーウ・・・・

冷静にダウンカウントを数えるクラリッジ成瀬、場内大爆笑。けっきょくえちごは起き上がれず10カウントを聞いた。早瀬葵がKO勝ちを収め、賞品の「喫茶あばしりマドレーヌ」をもらって引き揚げた。

メインイベントはKOで動けなくなったえちご以外の全選手が参加の5万円争奪バトルロイヤル(グリズリー山本のみ不参加)。いきなり団体エースが佐久間理沙子が集中攻撃を食らって早々に敗退。そのあとはバトルロイヤルらしいゆるい攻防が続いた。フローラ小川は葛城の蹴りを食らってあっさり敗北。葛城もF小川をしとめて気の緩んだところをクラリッジ成瀬に倒され全員にフォールされる屈辱。場内大爆笑。

最後は要領よく立ち回ったジャンヌ永原とあれよあれよというまに回りが退場して生き残ったミネルヴァ石川との一騎打ち。

「行きますよ~、覚悟はいいですが~」

意外にも逆片エビ固めでギブアップを奪ってバトルを制したミネルヴァ石川、賞金を手ににっこり笑顔。うまく立ち回ったか。こうしてファン感謝デーは幕を閉じた。

年末のプロレス大賞、MVPには佐久間理沙子。最優秀新人もジャンヌ永原が受賞。ベストバウトはグリズリー山本対佐久間理沙子のSPZ戦タッグマッチではどこかの会場で組んだ佐久間、フローラ小川組対グリズリー山本、葛城早苗戦が選ばれた。

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2009年10月29日 (木)

外人レスラーの頭数が足りない

◆連載再開する気力が無いので今日もだべりでお茶を濁します。

さて、WASのPS2でのプレイも47年目に入りましたが、

レスラーの頭数が足りない!(特に外人)

ここにきてレスラーの人材枯渇が深刻になってきました

日本人レスラーは「脳内補完」により24歳で引退させて27歳で奇跡のカムバック、そして36歳まで現役続けて燃え尽きて第2の人生を選ぶ・・という荒技が可能ですが。(近日、このブログでもやります)いざとなれば適当にリネームしちゃえばいいのであります。横浜ベイスターズの選手名かなんかを使って。

でもまだ今後に備えて温存している選手もいます。結城千種とか柳生美冬とか橘みずきとかカンナ神威とか

(やばい、2Pを別人カウントしないと残ってるのこの4人だけじゃないか)

・外国人選手をどうするのかと言う問題がががが。

旗揚げ~18年目 AAC,EWA

19年目~36年目、GWA,TWWA

37年目~54年目(予定)WWCA,2周目EWA、他

55年目~72年目(どうするのか考え中)

73年目~90年目 IWWF、2周目AAC

91年目~99年目:オールキャラリネーム総出演

外人レスラーのリネームをしなければならない。

アメリカ人やロシア人の女の子の名前を考えなければならんのよ!

ブルー・ローズ(GWA,ヒューイット一族の用心棒)とか、コバトフ(ロシア人プロレス留学生)とか、シチェルバコフ(凶暴ロシア人レスラー)とか、トラットリアマスク(イタリア人覆面レスラー)とかネタ帳はつけているのですが・・・・

いよいよレスラーの頭数が足りなくなってきたら、「他の作品から引っ張ってくる」ことも真剣に考えざるを得ません。さすがに姉ヶ崎寧々や柚原このみは無理があるとしても、藍原まこと、坂上智代あたりならリアリティが出てくるかも、そう考えています。

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2009年10月 2日 (金)

第786回 37年目12月 夢のマスターズ戦

2045年12月25日、東京調布のギムレットホールで年末恒例の

SPZお笑い興行、今年は奇数年なので「夢のマスターズ戦」が開催された。引退した選手の同窓会兼おこづかい稼ぎイベント。

「メリー・クリスマス」

今年からマスターズ戦の執行責任者となったギムレット美月(42)が挨拶。

「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2045にお越しいただきましてありがとうございます」

(チケットは破格の2,000えん)

「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私ども実行委員会と致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。」

(場内笑い)

「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係でありまして、このイベントの権限と責任はすべてギムレット美月にあります。そこのところもお含み置きください」

(場内失笑)

そしてゆるいバトルが全6試合開催された。

第1試合、霧島レイラ(SPZ27期)VSサキュバス真鍋(SPZ30期)

8月に引退したばかりの2人が対戦。SPZではほとんどシングル戦がくまれなかったカード。序盤はパワーを生かしてサキュバス真鍋を殴っていった霧島レイラだったが、サキュバス真鍋が

「しししっ、奥の手ーーーーー」

なんとセコンドの早瀬葵が投げ入れた消火器を噴射。年末お笑い興行なので何をやっても許される。

「ぐわあああっ」

消火器の直撃を受けた霧島レイラ、真っ白になって悶絶。すかさず丸め込んでフォール勝ち。勝負タイム3分11秒。

サキュバス真鍋、手下の藤島瞳・早瀬葵を呼び寄せ、アイドル商会3人でファンの歓声に手を振り、そのあと3人で「信濃なる千曲の川」を熱唱。

♪信濃、流れる、ちくま川

 川べり あなたの 少し後を歩く

想いは 川の流れのように だんだん ふくらんでゆく

あなたが踏んだこの小石

ただの小石でも

あなたが踏んだ石なら、宝石みたいに思えてきて

せつなくなる、だから

その石 拾って、ポケットにしまった・・・

ああ 信濃 流れる ちくま川

試合時間が短いので歌で場を持たせたか。

第2試合、歌合戦 若林太郎 VS 渡辺智美

「八王子みっどないと 八王子みっどないと 輝くネオン 飲む酒よぉぉぉ」

SPZとは長い付き合いの若林太郎さん(京スポ新聞 常務取締役)がリングに上がり、カラオケでの持ち歌「八王子ミッドナイト」を熱唱。もう60代なのだが、まだまだタイトルマッチの立会人を務める等元気。

「へたくそー やめてかえれー」

今野ファウンダーが野次を飛ばすが、若林氏も

「うるさいよ、黙って聞け」

とやり返す。

そのあと演歌歌手・渡辺智美(SPZ5期)が登場して、

「紅白出場が決まりましたっ」と報告。これには詰めかけたファンもどええええええ状態。いったいどんなずるい手を使ったのか。

「12月31日、この曲が全国に流れます!」

と言って、「夜行急行能登号」を熱唱。

「♪上野駅 16番ホーム

 ボンネットの 金沢行き夜行急行

きたぐにへ 旅立つ

ラウンジカー 流れる街の灯

能登 能登

夜行急行 能登~~~

夢路はるかに 闇を駆け行く

能登 能登

夜行急行、能登~~~」

続く第3試合、藤原和美(SPZ28期)が登場。

「帰ってきました!!」

ジャージ姿でファンに挨拶。引退してから4ヶ月しかたっていない。

対戦相手のギムレット美月(SPZ10期)を圧倒。最後はダブルアームスープレックスで投げきって3カウント。勝負タイム2分27秒。その試合が終わると休憩。

そして後半がスタート。

第4試合はライラ神威、コンバット斉藤(SPZ21期)が登場、DarkFraction再結成である。

「ウェハハハハハ」リング上で黒バットを振り回すパフォーマンス。

しかし対戦相手も強敵、ラッキー内田(SPZ16期)&武藤めぐみ(SPZ18期)組。

メインにしてもおかしくない一戦だったが、武藤は静岡でもう身体を動かしていないらしく、顔見世程度のファイト。コンバット斉藤相手に数発殴った程度。案の定3分で息切れして場外でうずくまってしまった。一方のコンバット斉藤は空手のコーチをしているだけあってまだまだ元気。ラッキー内田を蹴りでのけぞらせたあと、羽交い絞めにとらえる。

「ライラ・・・さん!」

連係攻撃をやる気かとざわつく館内。ライラ神威、ポケットから栓抜きを取り出すと、それをファンにアピールしながらコーナー2段目に登り、

「内田、氏ねおらああああ」

栓抜きを持った状態で動けない内田へダイブ!

「アッーーーーー」

瞬くフラッシュ

ダイビング栓抜きドロップが決まり、ラッキー内田悶絶。武藤は救援に入ることが出来ずこれで3カウントが入った。勝負タイム6分1秒。

「ウェハハハハハハ。石川町の居酒屋トムラウシ、飲みにこねえヤツは死刑だ」

自らが経営する居酒屋のチケットをばら撒きながら引き揚げるライラ様だった。

「うう・・・」

栓抜きの直撃を受けたラッキー内田、起き上がれず(やらせなのだが)担架で運ばれた。こちらにも温かい拍手が。

セミファイナル。仕事人イージス中森(SPZ20期)が登場。今年は手のあうケンドーカミスワ(SPZ22期・現上諏訪温泉地下プロレス所属)とのシングルマッチ。

「冬の行楽はワカサギ釣り。ドーム型観光船で爆釣できます!そして釣りの後は温泉でのんびり!上諏訪温泉へぜひお越しください」

試合前、カミスワが上諏訪温泉のマイクアピール。場内爆笑。

そのあとは地味なグラウンドでのレスリング。ジャージ姿のイージス中森32歳も奮戦。まだまだ若手選手をコーチしているだけあって地力はある。

しかし最後は15分くらいで息切れしてしまって、そこへ

「上諏訪温泉極楽絞め」

カミスワの変形スリーパーが炸裂。たまらずイージス中森はタップしてしまった。勝負タイム15分33秒。大技がまったく出ない地味なファイトだったが、これはこれでいい勝負だった。

そしてメインイベント、ハリケーン神田、斉藤彰子、八島静香の25-27期生トリオが登場。対戦相手は一回り年上のロイヤル北条(SPZ13期)、菊池理宇(SPZ11期)、成瀬唯(SPZ15期)組。

「せいっ」

現SPZ役員のロイヤル北条が豪快なキックで八島をたじろがせるものの

「おらあああ」

八島もぶちかましで反撃。大きく吹っ飛ぶR北条。菊池と成瀬はほとんど練習をしておらず一般人に近いので相手にならない。成瀬唯に至っては斉藤彰子の蹴りを食らって逃げ出してしまった。場内爆笑。菊池が丸め込みで斉藤をカウント2まで追い込むが、スピードがないので斉藤もきっちり返す。

「ぐわああっ」

菊池も八島さんのぶちかましを食らって悶絶。場外でうずくまってしまった。ロイヤル北条が孤立。これで勝負は見えた。

「氏ねーーートリシマリヤクーーー」

場内爆笑。八島さんのこの日何度目かのぶちかましでロイヤル北条悶絶。最後はハリケーン神田が特別出演。

「ゴッドハンド!!」

重たい裏拳を食らってバッタリ北条。これで3カウントが入った。勝負タイム9分20秒。

「やっぱり、プロレスは麻薬だね・・・またリングに上がりたいって思っちゃう」

いい汗を流した八島さんであった。

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2009年7月25日 (土)

第741回 35年目12月 夢のマスターズ戦

レッスルエンジェルスサバイバー 
プレイ日誌のようなもの
輝くエッセンシャル
35年目12月 夢のマスターズ戦

12月24日、東京調布のギムレットホール。いつものSPZのリングが中央に置かれていた。

カン、カン、カン、カン、カン・・
「全国のプロレスファンの皆さん、メリー・クリスマス」
リング上で井上霧子が挨拶。

「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2043にお越しいただきましてありがとうございます」

(チケットは破格の2,000えん)

「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私ども実行委員会と致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。」

(場内笑い)

「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係でありまして、このイベントの権限と責任はすべて井上霧子にあります。そこのところもお含み置きください」
(場内失笑)

*************************

「♪上野駅 16番ホーム

 ボンネットの 金沢行き夜行急行

きたぐにへ 旅立つ

ラウンジカー 流れる街の灯

能登 能登

夜行急行 能登~~~

夢路はるかに 闇を駆け行く

能登 能登

夜行急行、能登~~~」

年齢を重ねるにつれ、えせ演歌歌手のようになってきた売れないタレント渡辺智美がリングに上がり、「夜行急行能登号」を披露。それなりに沸いた。

今年のマスターズ戦はトークショーやら抽選会やら、渡辺智美歌謡ショーやらでまったりとした内容。けっきょく試合をまったくやらないまま前半が終わってしまった。
「嵐の前の、静けさなのかな・・・」

会場のファンはひそひそと。

************************

後半に入り早くもセミファイナル。場内にかかったのは

「MIGHTY WINGS」

なんとSP現役レスラーのフローラ小川が走って入場。フローラ小川のパートナーはなんと、偽装メキシコ人レスラー・エル・オガワ・メンドーサ。中の人は50歳くらいのはずなのだが、マスターズ戦なのでなんでもありということで、グレーのスーツに銀色の覆面姿で参戦。場内は大盛り上がりを見せた。

「母娘たっぐですか!」

対戦相手は現役選手&いい歳のOGということで、これは異色のサキュバス真鍋&ギムレット美月組。やんやの歓声の中ゴングが鳴った。

会場全体のオガワコールに後押しされたのか、
「い、行くわよ・・・」
「は、はい」

いきなりダブルドロップキックを見せたフローラ小川&エルオガワメンドーサ。ギムレット美月を吹っ飛ばした。

「つ、次はダブルブレンバスターよ」

ギムレット美月のやられっぷりもすごい。フローラ小川とエルオガワメンドーサが二人がかりのブレーンバスター。

「これで、とどめ、ダブルアキレス腱がため」

メンドーサが指示を出してフローラ小川が従う。母娘ならではのいい連係。しかしここでギムレット美月が大逆転

「照明、オフッ」

何しろこの会場ギムレットホールのオーナーである。右手で会場スタッフにサインを送り会場の照明を落とした、場内真っ暗。

「しししっ」
そこへサキュバス真鍋がリングインして、小川親子を闇討ち制裁。まずメンドーサをイスで、

がしゃん!
ぶん殴って悶絶させた後、フローラ小川には隠し持っていた秘密のパウダーを顔面にぶちまけた!!

「うわあああっ」
顔が真っ白になっていた。当然中身は片栗粉のほかにいろんなのがブレンドされている。
目を押さえてもがき苦しむフローラ小川。

「しししっ」
すかさずエルボードロップを落としてフローラ小川から3カウントを奪ったサキュバス真鍋。勝負タイム2分44秒、小悪魔的笑顔で勝ち名乗り。

「ううっ・・・・」
フローラ小川&EOメンドーサの夢タッグは勝利を飾ることができなかった。ダメージが深く、今野役員とリングドクター羽山さんに支えられながら退場。

************************

メインイベントはOG連中によるバトルロイヤル。参加者は渡辺智美、ギムレット美月、菊池理宇、ロイヤル北条、ラッキー内田、ライラ神威、イージス中森、コンバット斉藤、ハリケーン神田、斉藤彰子の全10人。いきなり斉藤彰子が全員に殴られてフォール負け。そのあとはギムレット美月が照明オンオフや大音響作戦など会場オーナーの立場を悪用してハリケーン神田、ラッキー内田を次々に退場させる。

「ええかげんにせえよっ・・・って!ウッ!!」

ライラ神威も闇討ちにしてしまったギムレット美月。手には木刀が握られている。レフェリーのサキュバス真鍋は見てみぬふり!!

しかしコンバット斉藤は動じず
「暗くされても、気配は読める・・・」
せいけん突きを食らって悶絶するギムレット美月。あわれ、KO負けで退場。

「ジェットスマッシュ!!」
コンバット斉藤、残った菊池とR北条をジェットスマッシュでなぎ倒し、渡辺智美を恐怖のあまり逃走に追い込み、優勝まであと一歩としたが、イージス中森に引きずり倒され、

「これで決めます」

イージス中森、フェイスロック。懸命にこらえたコンバット斉藤だったが痛みに耐えかねて無念のギブアップ。
「うまく立ち回ることができましたね」
これで優勝はイージス中森。笑顔で賞品の「喫茶あばしり提供・マドレーヌ詰め合わせ」を受け取った。

こうして夢のマスターズ戦は終わった。

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2009年7月16日 (木)

書き下ろしSS「さかどり」

プロレス界の用語を簡単にSS風で解説。

今回は「さかどり」について書きます。

***********************

時に西暦2015年、日本有数の女子プロレス団体になったSPZだが、西日本の地方興行ではまだまだ知名度不足で、7月、大分・豊後竹田興行では屋外の青果市場駐車場で開催された。

「ひと雨来そうですね」

第1試合、保科優希VS渡辺智美の試合が続いているが、空模様がだんだん怪しくなってきた。取材に来た京スポ新聞の若林記者がつぶやく。

「雨が降ってきたら・・・『さかどり』行きますか」

SPZの影番・井上霧子が本部席の社長にアドバイス

『さかどり』とは、興行の途中で雨が降ってきた場合、試合順を変更して、先にメインイベントを行い、その次セミファイナル→セミ前の順で試合を行い、少しでもいいコンディションでお目当てのカードを開催することであります。現代プロレスでは屋外開催が減ったのでこのようなケースは少なくなりましたが・・・

「そうですね。それでは控室への連絡・手配をお願いします」

「わかりました」

第3試合、外人同士のシングルマッチが終わりにさしかかるころ、黒さを増した空が

ゴロッ

と鳴るや、バババババと雨が降り出した。

どよめく客席。しかし半数以上のファンはこの状況を予想していたのか、手早く持参してきたらしい雨具を羽織る。ざわめきの中、EWAの外人選手がブレーンバスターで試合を終わらせた。

雨に打たれるリング。しかしプロレス興行で雨天ノーゲームというのはない。

「こんな雨の中・・・やるの・・・」

「仕方ないのよ。危ないから角度のえぐい投げ技は出さないで」

第3試合終了後、いつもなら休憩に入るところだが、今野社長がリングに上がり、雨に打たれながら一言。

「ただいまよりメインイベントを開催いたします!」

ドワアアアア!

まず上原今日子、永沢舞、吉田龍子の新世代トリオ3人が入場。続いて伊達遥・沢崎光・秋山美姫の1期生3人が入場。地方興行でよくある6人タッグマッチ。

今野役員が手短にコール。そのあと空気を読んだ1期生3人がいきなり乱闘を仕掛けた。

きっちりとしたハイスパートプロレスを見せるのが難しい分、殴る蹴る主体のファイトでやろうという戦法。選手も観客もずぶ濡れになりながらファイト。

「これで終わりーーー」

永沢舞が沢崎のバックを取ってジャーマンを狙うが、伊達がすばやく入り込んでスライディングキック。よく滑る。

「アッ・・・」

スっ転ぶ永沢。足を払われてその場に尻餅をつく。伊達は勢い余ってリングを横切ってしまいそのまま反対側のエプロンから場外へ転落。これには場内どよめき。

「アークソ!滑って勝手がつかめねえ!!」

沢崎をボディスラムで投げてから、フラフラとコーナー最上段に上がった上原だったが、なんと足を滑らせてダイビングプレスに失敗。べしゃっとマットに落下。

そのあともめまぐるしい乱戦が続いたが、15分過ぎ、

「・・・・SPZキック」

伊達のSPZキックが上原に決まり、そのまま押さえ込んで3カウントを奪った。

「続いてセミファイナルを行います!」

メインに出場した6選手がそそくさと撤収すると、セミファイナルに登場する南姉妹が(南利美・ハイブリッド南)が入場。相手はEWAの外人二人。

雨はますます激しさを増す。これでは水中プロレスだ。

「くっ・・雨で・・勝手が・・」

踏ん張りの利かないハイブリッド南。エルボーもこわごわ打っている。このあたりにキャリアの浅さがモロに出ている。

「ウァハハハハ」

外人二人は早々ラフファイトに転じて、ハイブリッド南を捕まえて集中砲火。イスまで持ち込んでの大暴れ。南もカットに入るのだがそのつど場外にすべり落とされる涙目な展開。南さんの落ちっぷりに場内笑いも。けっきょく外人の片方がダウンしたハイブリッド南にギロチンドロップを落としてそのまま3カウント。なおもグロッキー状態のハイブリッド南を足蹴にする外人二人を

「はっ」

バシィッ

南さん、やけくそになったのか、お客さんから借りた花柄の傘で外人を殴りつけて退散させる。当然傘は骨が折れて使い物にならなくなった。そのあとハイブリッド南を起き上がらせて2人で礼をして引き揚げた。場内拍手。

メインとセミが終わったが、後2試合残っており、スター選手が登場するので1000人あまりのお客さんは誰一人帰ろうとせず、ずぶ濡れのまま声援を送っている。

「続いて第5試合を行います」

SPZの看板選手、草薙みことが登場。AAcのジョーカーウーマンとシングルで対戦。

ー滑って投げ技が出せませんね・・・

草薙みこと、投げ技を封印してグラウンド主体に戦いを切り替える。それでもお客さんを沸かせるあたりは看板選手。

「草薙流三分絞め!」

草薙みこと、アドリブで必殺技の名を叫び、変形の胴締めスリーパーにとらえる。三分間で相手を眠らせる必殺技?らしい。

「グググググ・・・」

ジョーカーウーマン、たまらずギブアップ。勝負タイム13分1秒。ファンは草薙のいつもと違うファイトスタイルに歓声を送った。

「続きまして本日の最終試合、第4試合を行います!!」

ほんらいは休憩明けなのだが、さかどり進行の為、小川ひかるが最後にリングに上がった。

(メインじゃないけど、興行の最後で、シングルマッチ・・・)

小川ひかる、やや緊張の面持ちでリングへ。対戦相手はEWAの外人選手、ウィン・ミラーである。

ー最後の試合だって考えずに、いつも通りやりなさい。

井上霧子レフェリーが目で指示。そして「第4試合」のゴングが鳴った。雨の勢いはまだ強い。

「うぁーーーーっ!」

ウィンミラーのコブラツイストをかけられて悲鳴をあげる小川。いつもながらのやられっぷりだ。それでも粘り強く応戦し、地味な攻防だけで観客を引っ張る。そしていつも以上のオガワコールが飛ぶ。そのまま20分が経過。

「ひいき目に見ても、小川さんがエースのメインイベントみたいだね」

本部席の今野社長がボソッと。

最後は小川とウィンミラーが回転エビ固めの応酬。大技を出しにくい分、丸め合いで活路を見い出す。カウント2で返しあうたび客席からは拍手が。派手さはないものの、これはこれで味がある攻防。

「これ、でっ!」

最後は小川が逆さ押さえ込みを見せて、粘るミラーから3カウントを奪った。勝負タイム22分11秒。

「本日は雨の中最後までご観戦いただきましてまことにありがとうございました」

雨の中、いつもと少しだけ違うSPZ興行は終わった。

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2009年6月17日 (水)

完全妄想作話2015

時に西暦2015年、
後楽園プラザにて、日本のプロレスの業界団体「日本プロレスリングコミッション」の歳末チャリティー興行が行われた。日本プロレスリングコミッションは選手のライセンス管理や各団体の選手のメディカルチェックを行う業界団体だが、年に一度だけ、各団体の選手を集め、チャリティ興行を行う。上がった収益は全額福祉施設に寄付される。

その第3試合で夢のカードが組まれた。
三沢光晴(プロレスリングノア)、渡辺智美(SPZ)対、井上雅央(プロレスリングノア)、南利美(SPZ)
男女混合のいわゆるミックストマッチだ。発表当時はあまりにも無謀、エロ社長の毒牙に南さんがかかってしまう等と話題沸騰となったが、この話題性もあってチケットがはけて超満員札止めになってしまったのだからこの業界はなにが幸いするか分からない。

前の試合が終わるや場内大盛り上がり。新興ながら本気まごころ手作り感をモットーに武道館まで進出してしまった女子プロ団体SPZの看板選手と、もう50代になったがかつては全日本、ノアで超人的な活躍をした三沢が対戦。
「危険なカードよね。でもさっさと渡辺さんを極めて終わらせるわ」
南利美21歳、お年頃なので・・・
いつもの通りシンプルなコスチュームに手早く着替え、リングシューズに紐を通す。そして「チーム関節地獄」パーカーを羽織り、花道奥へ向かう。
「井上さん、今日は宜しくお願いします」
「ん、ああ」

そして場内にかかった南利美のテーマ曲、いつものように花道を軽く走ってリングイン。ロープを開けているセコンドは小川ひかる。
南利美、いつものSPZリングとは違うのでロープに凭れたりマットの硬さをチェック。相手チームの入場を待つ。

そして流れる「スパルタンX」、場内に響くミサワコール。いつものように淡々と入場。いつもと違うのはパートナーがSPZの若手、渡辺智美16歳。三沢はいつもの銀色のガウン、渡辺はまだ自分のグッズがないので吉田龍子Tシャツを羽織っての入場。三沢はリングインするやいつも通り背中をロープにグッグッと預ける動作。
「赤コーナー、SPZ所属、わたなべー、ともーみー!」
「プロレスリングノア所属、みさわー、みつーはるー!」
SPZ社長兼リングアナが4名をコール。けっこうな量の紙テープが飛んだ。
「レフェリー井上霧子」

なんと赤コーナー側、渡辺を制して三沢が先発を買って出た。
「くっ・・・・」
いきなり心理的動揺を誘う手を使ってきた。気後れした南は先発を井上雅に譲ってコーナーで待機。
「ファイッ」

ついにゴングが鳴ってしまった。まずにらみ合う三沢と井上雅。それだけで歓声が飛ぶ。50代になって老いたりとはいえどもさすがレジェンドである。
そのあと組み合っての攻防。井上雅が押し勝ち、クリーンにロープブレイク。そのあと再度組み合う。こんどは井上雅が上からスレッジハンマーで殴りつける。膝をつく三沢、そのあと井上雅が上から乗ってきてグラウンドの攻防。これだけで5分近く観客を引っ張るのだからさすが一流のプロ。

「オッシャア」
井上雅が走りこんでのタックル。そしてラリアット。これでムッとした三沢は
ガシッ
エルボー一発で井上雅をダウンさせる。場内ヤンヤの歓声。そのあと三沢は顔の汗を手でぬぐう。汗ワイパーと呼ばれるムーブ。これでも沸いた。
そのあと三沢は渡辺にタッチ。コーナーで息を整える。エルボーでダメージを負った井上雅も南にタッチ。

「すぐに終わらせるわ」
渡辺のチョップ、頭突きをひとしきり受けた後、南利美が反撃に転じた。
「この技に耐えられるかしら」
攻め疲れた渡辺を簡単に倒し、右足を持って強烈な逆片エビ固め。まだデビュー2年弱の渡辺、懸命にこらえるが南は仕留めにかかっている。たちまちえびぞり状態に・・・
「ひぎぃ・・・・・・」

そこへツカツカと歩み寄った三沢、エルボー一撃。見事なカット。タッグマッチではこれがあるから関節技ではギブアップを奪いにくい、

ドワアアア
「うわあああっ」
老いたりとはいえ男子団体のヘビー級レジェンドの一撃を食らって悶絶する南。衝撃はいつも受けている吉田龍子あたりのそれとは比較にならない。
「リミさん!」
セコンドの小川がエプロンを叩いて励ますが、南はあまりの痛さにのたうちまわる。たまらず井上雅にタッチ。渡辺も這うようにして三沢にタッチ。

そのあと三沢と井上雅が力のこもった攻防。井上雅が強引にアルゼンチンバックブリーカーを仕掛けようとするが、三沢はセオリーどおり上から殴りつけて阻止。その場に座り込む井上雅、そこへ三沢が背後からフェイスロックにとらえた。場内ものすごい歓声。
「グググ・・・・」
鼻を潰されて痛みに苦しむ井上雅、しかしここで南が、

パシーン

三沢に張り手を入れてカット。場内大盛り上がり。うわなんてことするんだ後が怖いぞというザワザワ感。
「・・・・・・・・・・・・」
三沢、冷静にまず弱った井上雅を場外にハンマースルーの要領で落としてから、南の前に相対。
「はっきりいって、もう逃げられないよね」
「・・・・・・・・・・・・・」
南がとりあえずミドルキックを三沢に打ち込むが、さして効いたそぶりも見せず、軽くエルボーを打って怯ませてからバックに回り、南の腰に手を回した。
「うわっ・・・」
ジャーマンか?ざわつく場内。
―これは受けられない。
そう判断した南、右足かかとを思いっきり後ろに跳ね上げた。

「・・・・・・ぐっ」
三沢が初めて見せる苦悶の表情。南利美、なりふり構わぬ急所攻撃。レフェリーの井上霧子は見てみぬふり。

「これでお仕舞いね」
南利美、股間を押さえてひざを突く三沢に組み付いて、得意の飛びつき腕ひしぎに捕らえた。

―マイッタして下さい。でないと折ります・・・っ

ドワアアアアアアアアアア

まさかの大金星か?三沢の右腕を絞り上げる南。場内は大歓声に包まれた。
しかし三沢、うまくこらえて右足を懸命にサードロープに伸ばした。無視して絞り続けた南だったがさすがに井上レフェリーが制止。
「はいはいもう無理、このへんでいいでしょ」

くっ・・・・
南利美にこれ以上の攻め手は残っていなかった。タッチしようとコーナーを見たが井上雅はまだ場外でうずくまっている。

―孤立した?
「10分経過、10分経過」
起き上がってきた三沢、エルボーを軽く当てて南をよろめかせると、
ガシッ
右足でスピンキック。これで南をダウンさせた。

「くっ・・・」
南利美、ふらつきながら起き上がったが三沢はそのとき既にトップロープに上がっていた。
―えっ
三沢が飛んだ。ダイビングのネックブリーカードロップ。ヘビー級の衝撃にたまらず南は悶絶。そのまま三沢が上にのしかかり片エビ固めで押さえ込む。きっちり身体を密着させて押さえ込んでるので返せない。場内悲鳴とウォオオという歓声

―事前の打ち合わせでは踏み付けって話だったのに!
井上霧子、憤慨しながらマットを3つ叩いた。
「10分25秒、ダイビングネックブリーカーからの片エビ固めで三沢光晴、渡辺智美組の勝ち」

この日2度目の「スパルタンX」が流れる。
三沢、フォールを離すや汗ワイパー。そして勝ち名乗りを受けて引き揚げた。
「はっきりいって少し危なかったけど、面白かったよね。最後のフォール?あれは南選手に敬意を表したんだよ」などとコメントして三沢は控室に戻った。

敗れた南、フラフラと起き上がって一礼。男子選手にフォールされて恥ずかしいのか、顔が少し赤い。けっこうなミナミコール。初めてのミックストマッチ、レジェンド相手に存在感は残したものの玉砕した。小川ひかるの肩につかまりながら南は控室へ戻った。

(この原稿は完全妄想作話です。)

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2009年5月 8日 (金)

第684回 33年目12月夢のマスターズ戦(下)

33年目12月 夢のマスターズ戦 OG8名シングルトーナメント「生か死か」

さていよいよ準決勝。
「青コーナー、渡辺智美!」
「赤コーナー、イージス中森!」

「ちょ、そんなのありーー!?」

年の差15歳、現役時代でも肌を合わせたことがない異色の対決。まともにやったのでは勝負にならないと考えた渡辺、またにらみ合いでタイムアップという手を使おうとしたが、イージス中森、すばやく組み付いてスモールパッケージに丸め込んだ。

「ワン、トゥ・・・」

2回目までは返す粘りを見せた渡辺だったが、息が上がってしまい3回目はフォールを返すことができなかった。勝負タイム46秒、イージス中森決勝進出。

「フフフフ・・・後ひとつ、ですね」

***********************

続く準決勝第2試合は成瀬唯対ラッキー内田。15期生と16期生の対決。

「たや、てや、てや、てやーーーー!」
おやくそくのハリセン攻撃でラッキー内田をたじろがせた成瀬だったが、受けきったラッキー内田が反撃。ドロップキックではりせんを手放させると一気の攻め。ブレーンバスターで成瀬を投げきって場内をどよめかせると、コーナー3段目に登って、

「てい。」
倒れこむようにボディプレス。これで成瀬から3カウントを奪った。勝負タイム2分25秒。

*************************

準決勝終了後、またもロイヤル北条のトークショーで時間を稼ぐ。短時間の試合が多かったので掘り出し物グッズ抽選会なども行われた。そしていよいよ決勝戦。

イージス中森対ラッキー内田。

既にお互い2試合やって相当疲れているが、気合のこもったグラウンドの攻防。先に息が上がったのはラッキー内田のほうだった。イージス中森、勝機と見るや背後に回ってバックドロップ!!

バァンッ

後頭部を押さえてもがき苦しむラッキー内田。なんとかフォールを逃れようとそのままもんどりうって場外転落。

「くうっ・・・・」
場外で頭に手をやってうずくまるラッキー内田。迫真の演技だ。ダメージが深くてなかなかリングに戻れないふりをしている。

「飛べ、飛べ、中森―――」

場内からの飛べコールに、いやそんな無理ですという表情だったイージス中森だったが、ふと、「ここでトペを形だけでも決めておけば判定にもつれ込んだときに有利になるかも」と判断したのか、息を吸い込んでロープへ走り、助走をつけてから場外へ飛んだ。

ドスッ
しかしラッキー内田、このトペを冷静に読んでいたのか、うまくかわした。

「うががががが・・・」

場外でもがき苦しむイージス中森。これでリングアウト勝ちとばかりにリングへ戻ろうとしたラッキー内田だったが、けんめいに右足にすがり付いてリングインを阻止するイージス中森。なんという昭和プロレス。そのままH神田レフェリーの20カウントが数えられ決勝戦は両リン決着となった。

SPZでは営業的なものを考えて両リンはあり得ないのだが、きょうはファン感謝デーということで、2分57秒、両者リングアウトの裁定が下され、優勝の行方は判定にもつれこんだ。リングアナウンサー斉藤彰子が結果を読み上げる。

「ジャッジ今野、赤、ラッキー内田」

トペをかわして後半盛り返したのを評価してか、今野役員は赤を上げた。
「ジャッジ井上、青、イージス中森」

バックドロップでキレイに投げたのを評価してか、井上霧子は青を上げた。判定は3人目のジャッジにゆだねられ・・・

「ジャッジ羽山、青、イージス中森」
「内田さんがほら、場外で痛そうにしてたから、中森さんの方が押してたのかなーって思って・・・」

ドワアアアア!!

かくてあばしりカップの賞金1万円&副賞の「喫茶あばしり」クッキー1年分はイージス中森がゲット。

「月に5箱ずつ贈るから、頑張って食べてね~」

鈴波店長から目録を受け取って満面笑顔のイージス中森。コーチ経験が生きたのか、過酷なOGトーナメントを制した。

「まあ、こんなものですね。判定があるのを忘れてました」

自らのやられたふり演技で墓穴を掘ったラッキー内田、サバサバトした表情でイージス中森と握手して、一礼して引き揚げた。

「これからもSPZは躍進していきますので、来年も宜しくお願いします!!」
イージス中森が締めの挨拶。こうして夢のマスターズ戦は無事終了した・・・

*******************************

年末恒例のプロレス大賞、最優秀選手はまたもM祐希子、最優秀新人は佐久間理沙子、シングルのベストバウトはM祐希子対ジェーンのSPZ戦、タッグのベストバウトはどこかの地方会場で組んだ、M祐希子、中江里奈組対ジェーン、アニービーチの試合が選ばれた。

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2009年5月 7日 (木)

第683回 33年目12月夢のマスターズ戦(中)

33年目12月 夢のマスターズ戦OG8名シングルトーナメント

第3試合 コンバット斉藤 VSラッキー内田

1回戦屈指の好カードが実現。

「せいっ」

ラッキー内田、ゴングと同時に突進してタックルでテイクダウンさせ、あとは寝技でごろごろと攻防。要するに打撃を食らいたくなかったらしい。寝かしてしまえばこっちのものとばかりに腕や足を決めようとするがコンバット斉藤もうまく防御。アキレス腱固めを狙ったラッキー内田だがC斉藤も懸命にロープエスケープ。

そのまま3分が経過してしまった。勝敗は判定にもつれ込んだ。

「グラウンドでは内田さんが有利でしたね。」

今度はまともに判定されて、3対0のジャッジで赤、ラッキー内田が準決勝進出を決めた。

**************************

1回戦第4試合

「You Give・・・」が流れて、SPZ第5代選手会長、イージス中森がジャージ姿でリングイン。

「Collective」がかかり、現居酒屋「トムラウシ」店主、ライラ神威がリングイン。いきなりマイクを取ってカード編成に文句をつける。

「きたないよ、ずるいよ。バリバリのコーチ野郎の中森と当てやがって、井上、組み合わせ抽選に細工しただろテメーコノヤロー」

若手選手にレスリングを教えていまなおその力は健在?のイージス中森、片やここ数年は居酒屋経営に専念しているライラ様。はっきり言って勝敗は見えていたが。

いきなりリストロックで腕を決められて痛がりながらロープに逃れるライラ神威。

「アー、クソーー!!」

ライラ神威、こんなのにつきあってられないと場外へ逃げて、そのままリングの回りを逃げ出した。

「ブザマな・・・待てッ」

追いかけるイージス中森。かくてリング回りで追いかけっこが続いた。場内爆笑。1分以上リングサイド追いかけっこが続いたがライラ神威、突然振り向きザマに

「アホウが」
スライディングキックでイージス中森を転倒させる。

「つうっ・・・・」

「アホウが」
ここでライラ神威、客席から椅子を持ち出して、

パシーン!!

悪役の伝統芸、古典的イス攻撃をやってのけた。ここで時間切れタイムアップ。またも試合は判定にもつれこんだ。

前半優勢だったのはイージス中森。しかし後半場外戦で盛り返したライラ神威。これは微妙な判定。しかし井上霧子も若林太郎もライラ神威には相当過去のやられた因縁があるので、イージス中森に旗を上げた。ジャッジ2対1でイージス中森が準決勝進出。

「フザケンナバカヤローテメー」

敗れたライラ神威は腹いせに、本部席に座っていた若林記者に左ストレート一閃。

「ぐふっ!!」

若林記者イスから転げ落ちて悶絶。そのあとライラ神威、自らが経営する石川町の居酒屋トムラウシの宣伝をした後に退散。

そのあと休憩に入ったが、殴り倒された若林記者が起き上がれない。これではジャッジ継続不可能・・・ということで急遽、リングドクター羽山海がジャッジに任命された。

休憩後しばらくは斉藤彰子&コンバット斉藤のぐだぐだトークショーとバット折り試技が披露され、場内はそこそこ盛り上がった。トーナメントは惜しくも1回戦敗退となったコンバット斉藤だがバット折りで存在感をアピール。

(しょうもない話ですが、続きます)

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2009年5月 6日 (水)

第682回 33年目12月夢のマスターズ戦(上)

レッスルエンジェルスサバイバー 
プレイ日誌のようなもの
輝くエッセンシャル
33年目12月 夢のマスターズ戦

12月24日、東京調布のギムレットホール。いつものSPZのリングが中央に置かれていた。
カン、カン、カン、カン、カン・・

「全国のプロレスファンの皆さん、メリー・クリスマス」

リング上で井上霧子が挨拶。

「本日は、年末のお忙しい中、SPZマスターズ自主興行、ストリートファイト2041にお越しいただきましてありがとうございます」

(チケットは破格の2,000えん)

「なお、本日出場する選手は、いずれも元プロレスラーでありますので、技のかけ方は忘却しておりますし、私ども実行委員会と致しましても怪我でもされたらうまくありませんので、頭から投げ落とす攻撃は禁止と致しました。」

(場内笑い)

「なお、本日の興行は株式会社スーパースターズプロレスリングゼットは無関係でありまして、このイベントの権限と責任はすべて井上霧子にあります。そこのところもお含み置きください」

(場内失笑)

今年のマスターズ戦は企画をとりしきる井上霧子がなーんにも受ける企画を考えておらず、けっきょく「生か死か?あばしり杯シングルマッチトーナメント」というOG8人によるシングルマッチのトーナメントとなった。試合は全て3分1本勝負で、時間切れ等による引き分けの場合は「ジャッジ3人の多数決」で勝者が決定される・・・というルール。

第1試合 吉田龍子 VS 渡辺智美

「赤い破片」がかかり、泣く子も黙るSPZ社長、吉田龍子がジャージ姿で参上。

「悲しみの日本海」がかかり、売れない演歌歌手、パンツスーツ姿の渡辺智美がリングイン。にらみ合ったままゴング。

「ファイッ!!」

レフェリーのハリケーン神田がファイトを促すが両者動かない。いや動けないのだ。お互いの闘気に気圧されてというわけではなく、お互い40代のいい歳なので正面きって殴り合ったらやばい。

「・・・・・・・・・・・・・」

そのまま3分間にらめっこが続いたので場内爆笑。なにもしなくても観衆を沸かせることができるあたりさすが5期生。そのまま時間だけが過ぎて3分タイムアップ。

勝敗は判定にもつれこんだ。

旗を持つジャッジは今野和弘(SPZ人事経理担当役員)、若林太郎(京スポ新聞記者)井上霧子(SPZコミッショナー)の関係者おっさんおばさん3人。

「それでは旗を揚げてください」

リングアナの斉藤彰子が審判を促す。

「ジャッジ今野、赤、渡辺智美、ジャッジ若林、赤、渡辺智美、ジャッジ井上、赤、渡辺智美、したがいまして3対0で渡辺智美の判定勝ちといたします」

ワハハハハハ・・・・

場内爆笑。そんなに吉田社長は嫌われているのか。

「なんでだよ・・・・」

お互いリングで突っ立てっただけなのに、判定負けを喫してしまった吉田龍子。フェンスをガシャンと蹴ってから引き上げた。

***************************

続く第2試合

「青コーナー、SPZ第3代選手会長、ギムレット美月!」
SPZ10期生にして現在はギムレットホールのオーナー、ギムレット美月がマスターズ戦に参戦。賞金目当てか、それとも自ら出場という条件で会場使用料をつり上げたか。多分後者だろう。

「赤コーナー、SPZ第4代選手会長、成瀬唯!!」

これも懐かしい顔合わせ。ゴングが鳴るやギムレット美月が仕掛けて、チョップ連打でたじろがせて、すばやく組みとめて、

「んん・・・・っ!」
晩年のムーブ、ダブルアームスープレックスを狙ったが持ち上げられるわけがない。ファンは大爆笑とミツキコールが合い半ば。

「んん・・・・・っ!!」

1分近くせめぎあいが続く。上から力をこめるG美月、下から踏ん張ってこらえる成瀬。
「んあああ・・・・っ!!」

やや格好崩れたが、どうにかダブルアームで成瀬を投げきったG美月。しかし成瀬がすばやく起き上がったのに対し、腰でも痛めてしまったのかギムレット美月起き上がれない。

「ワン、トゥ、スリー、フォー・・・」

冷酷にもハリケーン神田レフェリーがダウンカウントを唱える。腰の痛みをこらえて起き上がろうとするが腰がいうことを聞かず起き上がれないG美月。場内は大爆笑。

「エイート、ナイーン、テンー」

ここでゴング。ギムレット美月、ダブルアームスープレックスで投げた際に腰をやってしまって無念のKO負け。成瀬唯が準決勝進出。自分からは何も仕掛けてないので釈然としない表情。当然この後羽山リングドクターが出動し注射を打たれてしまうという憂き目にあい、担架で運ばれる屈辱を味わってしまった・・・

(続きます)

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2009年4月22日 (水)

2009.04.21 並行世界では・・・

横浜でミミ吉原率いる女子プロレス団体旗揚げ戦

4月21日、横浜赤レンガコロシアムにて新しい女子プロレス団体「スーパースターズ・プロレスリング・ゼット」が旗揚げ戦を行った。所属選手はわずか3名だが、元ワールド女子のミミ吉原(19)が入団しエース格を務めており、また新人の獲得もこれから積極的に行うとのことで、今後の発展が期待される。

団体アドバイザーは元関東女子プロレスで「氷のヤクザキック」と呼ばれた井上霧子さん(28)が務め、新人選手のコーチを担当。新日本女子プロレスがほぼ独占状態の女子プロレス界に新風を吹き込むか。

第1試合、第2試合で新人2選手がデビュー。小川ひかる(15)と保科優希(15)両名とも急造デビューの域を出ず、AACのメキシコ選手に一方的にやられて終った。今後の奮起が期待される。

メインイベントでミミ吉原が登場。久しぶりの実戦で感覚をとりもどすようにエルボーやチョップ、ソバットなどでデスピナにダメージを与え続ける。しかしデスピナもメキシコではそうとう名の知れた実力者、DDTで反撃。最後はデスピナがミサイルキック2連発で吉原を沈めた。前半攻めた吉原だったが後半はデスピナのスピードについていけなかった。

「今日は結果を出せませんでしたが、これから何回も当たると思うので頑張ります」とミミ吉原。畑違いのIT業界から転身した社長の今野和弘氏は「いまはご覧の通りの陣容ですが、努力と良いファイトを重ねてお客様に喜んでもらえる団体にしたい」と語った。4月シリーズ(全8戦は)所属選手3名プラス外国人選手でのサーキットとなるが、既に第2回の新人テストを行うなど補強育成にも積極的なので、人員がそろい、育成が順調であれば面白い存在になると思われる。(若林)

********************************

試合結果 観衆965名(満員)

×小川ひかる(5分16秒片エビ固め)J・カーチス○

新人小川デビュー戦も一方的に敗北

×保科優希(9分30秒片エビ固め)A・サンチェス○

合気道経験ある新人デビューも惜敗

×ミミ吉原(19分21秒 片エビ固め)デスピナ・リブレ○

吉原奮闘するもデスピナのスピードが勝る

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《2009年4月22日付 京スポ新聞紙面より》

※並行世界では2009.4.21がSPZ旗揚げ戦です。現実の私はいまだにサラリーマンやって激務に苦しんでます(涙)

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2009年4月 2日 (木)

ヤング井上霧子 その3

不定期連載SS ヤング井上霧子

時に、西暦1995年、井上霧子、突然のデビュー戦。

「その子、出しちゃえば。」

「えっ・・・・」関東女子プロレス社長の一言にその場にいた誰もが目を丸くする。

「わ、私。まだ何も教わってな・・・」

「きみ、体育の成績は?」

「・・・5、です。」

井上霧子は正直に言ってしまった。

「・・・決まり、だね。」

*******************************

それから1時間後、

「青コーナー、106パウンド、井上・・・霧子ぉーー」

社長が持っていた予備のリングコスチューム(ただの水着)を着せられ、高橋さんのリングシューズを借りて、いきなりデビュー戦とあいなった。心の準備も何もあったものではない。
「赤コーナー、133パウンド、ユリシーズ・・島宮!!」

古参のレスラー、ユリシーズ島宮がコールされる。以前は別の団体にいたが怪我でセミリタイアしてもう30歳になるが、小遣い稼ぎのために関東女子で復帰し、リングに上がり続けている人だ。

「なお井上選手は本日がデビュー戦となります」

瞬くフラッシュ。記者さんがいっせいに井上霧子を撮る。

・・・うっわーー

カンッ

ゴングが鳴る。そのあとの記憶はあがっていたのであまりないが、井上霧子は島宮さんにいいように遊ばれた。というより遊ぶしかなかったらしい。技量ゼロなので100パーセント自分で試合を作るしかなかったらしい。手加減したグラウンドレスリングでいたぶられた。

「・・・うわーーーーく、苦しい・・・」

スリーパーで締め上げられる。が、本気で絞めていない。レフェリーまでロープに逃げろ、足を伸ばせと耳打ちする始末。

ただいたぶられてロープに逃げる。その繰り返し。

―苦しい、何でみんなこんな事やってるんだろう。

そうこうしているうちに10分が経過。井上霧子の息は上がっていった。

「そろそろ終わりにします!」

島宮がアピールしてからオーバーアクションで井上霧子の頭に思いっきりゲンコツ。
「うわあっ」
これは痛かった。しかし井上霧子、怒りが沸いてきた。

ー何で私がこんなことしなくちゃならないんだ。

「ウワーーーッ!!」

立ち上がって思い切り体あたりでぶつかっていった。

「くっ・・・」

思いもよらぬ反撃で倒れこむ島宮。ちょっとエキサイトさせちゃったかなと判断したので、すばやく起き上がって絡み付いてスモールパッケージで丸め込んだ。井上霧子は返し方を知らない。

ワン、トゥ、スリー

「10分33秒、首固めでユリシーズ島宮の勝ち」

ドワアアアアアア!

「よく頑張った、一礼して控室に戻りなさい」
レフェリーが耳打ち。
こうして井上霧子のデビュー戦は終わった。

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2009年2月 7日 (土)

オリジナルキャラ設定(4) 若林太郎(京スポ新聞)

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記
輝くエッセンシャル
オリジナルキャラ紹介(4)

若林太郎(京スポ新聞記者)

1981年東京都八王子市出身。東中野大学経済学部を卒業、大学時代は麻雀に打ち込み、通算477勝の成績を残す(本人談)

大学卒業後、夕刊スポーツ紙大手の京スポ新聞社に入社、しばらくは風俗ページを担当。エロ小説の紙面レイアウトを行っていたが、徹夜続きで体調を壊したため、プロレス担当に異動。以来30年以上にわたりプロレス記者として名を馳せる。一流スポーツ紙らしい健筆と、「必ずこの選手はやってくれるだろう」というエネルギッシュな書き口は好評。

若手社員の頃は男子インディー団体を担当していたが、SPZ旗揚げからは「色香に魅せられて」SPZ主担当となり、巡業に同行し内輪同然の人間となる。選手からの信頼も厚く、特訓の突撃取材申し入れなどにも快く応じる。草薙みことの特訓に同行し、なんと一面に草薙小川の温泉入浴シーンを掲載し、その日の駅売りを完売させた伝説を持つ。

マスコミ記者ながらSPZ内輪同然の人間なので、SPZシングル、SPZタッグのタイトルマッチ実施時の認定証の朗読を担当するようになった。

井上霧子とは旗揚げ前から知り合っており、飲み友達&麻雀友達で、興行終了後に盛り上がることもしばしばだったが、お互い仕事人間ということもあり交際に進展しなかった。しかし、ライラ神威のSPZベルト奪取時の大暴れの際に井上霧子を身を挺してかばい、スタンロッド攻撃を浴びて重症を負い入院を余儀なくされる。しかしこれでフラグが立って交際に発展し、井上霧子と入籍に至る。

仕事熱心な性格で、「3割、30本、30盗塁」(月に300時間以上働き、深夜残業を30時間以上行い、30日以上出勤する)をモットーとしており、その甲斐あって出世し現在は副編集長となったが、まだSPZのビッグマッチの記事は書き続けている。

プロレス記者歴30年以上だけあって、あらゆるプロレス技をいちおうマスターしており、SPZの選手会興行やマスターズ戦では黒いロングタイツをはいて常連参戦、必殺技はローリングクレイドル。試合前には必ず社員食堂で若手社員と特訓をしているだけあって、今野役員をこれで何度も死の寸前に追い込んだ。

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やはりプロレス団体の繁盛記には記者さんが欠かせません。夕刊の某スポーツ紙をモデルに、仕事熱心な記者さんの設定を作りました。SPZ選手の面々が個性派ぞろいなので、この人も書いているうちに自然と動いてくれました。井上霧子の旦那と言う設定は20年目ころに思いつきました。

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2009年1月22日 (木)

本日は予定を変更いたしまして、ヤング井上霧子の2回目・・・

こんばんわ、筆者のkonnoです。

大相撲初場所、負け越したら引退の大関・魁皇(36歳)。ここまで7勝4敗。あと1勝でカド番脱出・現役続行。残る相手は豪風、朝青龍、琴光喜、琴欧州・・・・今日12日目豪風戦、勝たないと残りのメンツから言ってやばい。まさに運命分かれ目の決戦。ということで心穏やかならぬ状況で、原稿が書ける状態ではないので、本日は予定を変更いたしまして冷凍モノでお茶を濁します。

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ヤング井上霧子(その2)

時に、西暦1995年。井上霧子14歳。

近所のおねえさん、高橋さんに連れられてプロレス会場の雑用係としてバイトを始めた井上霧子だったが・・・

初戦は4月29日、八王子市体育館大会。井上霧子はジャージを着て(団体のはなかったので自前である)舞台上にリングを設営に加わった。敷き板やマットを運んだ。

「ほーら霧子ちゃん、これがリングだよ」

高橋さんが試合前のリングに上げさせてくれた。井上霧子はロープワークの真似事やコーナーポストに上がったりしてすこし遊んだ。

開場したらチケットのもぎり、場内整理など仕事はいくらでもあった。試合が始まるや選手の誘導、やられた選手の介抱などを行った。関東女子プロレスは所属選手が3人しかおらず、あとは他団体からの助っ人参戦でまかなっているので、雑用員の確保も容易ではない。

メインイベントが終わってから、リングの撤収を手伝い、高橋さんの車で川崎の自宅まで帰った。

「はい霧子ちゃん、今日のギャラ、5000円」

―お給料・・・・
井上霧子は初めて「労働の対価」を得た。さて何に使おうかなと思いながら、井上霧子は眠りについた。

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シリーズ3戦目の5月1日、忘れられない事件が起こった。東京の後楽園プラザで興行。2000人収容の、関東女子プロレスにとっては勝負をかけた大きな会場で、プロレスマスコミの記者さんたちも来た。

「何ですって!今日、来られない!?」

高橋さんが携帯で声を荒げる。なんでも今日来る予定だった他団体の助っ人レスラーが怪我で来られなくなったようだ。フリーの選手や他団体の選手をあてにして興行を組むと、こういう事態は多々起こる。あとでわかったことだが前日の試合で腰を痛め、そのときはたいした事はなかったらしいが、翌朝起きてみたら動けなかった・・というパターンらしい。

「困ったわ・・・どうしたらいいのかしら」

悩む高橋さん。あわてて知り合いのフリーのレスラーに電話をかけまくったが、先約があるとかで誰も色よい返事をしなかったらしい。頭を抱えて悩む高橋さん。

「あー、せっかくの後楽園で、ショーブかけてるのに・・・・まずいまずいまずいわ」

高橋さんはメインイベントでタイトルマッチを闘う予定である。

しかしそのときロビーでタバコを吸っていた冴えない中年男の社長がぼそっと言い放った。

「その子、出しちゃえば。」

「えっ・・・・??」その場にいた誰もが目を丸くする。

「わ、私。まだ何も教わってな・・・」

「きみ、体育の成績は?」

「・・・5、です。」

井上霧子は正直に言ってしまった。

「・・・決まり、だね」
(ありえない展開ですが、いつの日か続きます)

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2009年1月 6日 (火)

新春特別外伝SS イージス中森の彼氏(下)

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昨日に引き続き外伝「イージス中森の彼氏」をお送りいたします。

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そして一週間後、10日目、川崎大会結びの一番。

「西方、関脇、鳥ノ詩ーーーー」

「東方、横綱、砂漠乃雪ーーー!!」

9連勝同士の対戦。勝った方が優勝へ大きく近づく大一番。

両雄、仕切りながら徐々に闘志を高めてゆく。

「制限時間いっぱい、用意してください」

土俵奉行が指示。そしてぶつかる。

「鳥さん、前に出て!」

中森が花道奥から声援を送る。

はっけよい!

ぶつかる。鳥ノ詩、当たった後すぐに前に出る。全身を躍動させながら前に出る。休まずがばがばと寄る。轟きわたる歓声。あっというまに砂漠乃雪を、土俵際まで追い詰めた。

―いける。いけるぞ!

鳥ノ詩、とどめの右のど輪を繰り出そうとしたが、読んでいた砂漠乃雪、顎を引いてノド輪を顔で受けて体勢が崩れるのを防ぐ。そして右腕はしっかりと上手を引いて、

「うぉあああああーーー」

砂漠乃雪、渾身の右上手投げ。これで逆転。鳥ノ詩、派手に土俵外に叩きつけられた。
「ただいまの決まり手は、上手投げで砂漠乃雪の勝ち」

「はー、勝てなかった・・・・」

打ち出し後、大田区にある鳥ノ詩の自宅マンション。NSAは部屋制度が存在しないので、地方巡業以外は選手は自宅からの通いなのである。

NSAの新鋭力士・鳥ノ詩(本名:鳥海和也)の彼女がSPZの看板レスラー、イージス中森(本名:中森登志子)

「でもお客さんは沸いてましたよ」

「はー、でもなあ、砂漠関は残り5つ多分取りこぼさないだろうし、大関取りがなあ・・・・」

「切り替えて次のチャンス狙いなさいよ。人生いいことばかりじゃないよ、ほら、お肉煮えてきたよ」

大一番敗戦の残念会を二人で行っている。二人で鍋パーティー。イージス中森、勝手知ったる表情で冷蔵庫から缶ビールを取り出し、二つのグラスに注ぐ。

「じゃ、カンパイ・・・」

「いいの、中森さん?・・・クルマでしょ?」

「・・・・泊まって・・・いきますからっ」

「・・・・はい。」

二人は3年前にスポーツ番組の対談で知り合い、意気投合して交際を続けている。お互い真面目で仕事熱心な性格のアスリート同士なので、打ち解けるのも早かった。

二人で黙々とビールを飲みながら牛肉の鍋をつつく。

「鳥さん、私・・・いまの仕事、多分辞めると思う」

 「・・・そうか」

「投げられるたびに腰が痛くなってきた。多分ダメだと思います」

 「ボルタレンは・・・」

「飲んでるけど効かなくなってきた。量を増やすと胃がおかしくなっちゃう」

 「そっか・・・・でも、ベルトまだ持ってるでしょう」

「そこなんだよねえ」

イージス中森のほうが一つ年上で、年の差はないが、イージス中森はプロレスデビューが早くて15歳からレスラー生活を続け、もう10年になるので全身ボロボロの状態。

「まあ、今日明日の話じゃないから。お互い頑張りましょう」

 「そうだね」

夕食後、イージス中森が後片付けをする間、鳥ノ詩が録画しておいたスポーツニュースで自分の取り組みをチェック。

何回も見る。なぜ負けたのか。どこが悪かったのか、負けた試合は10回は見る。イージス中森がやってることを真似して、その効果も実際に出てきている。

 「ここかなぁ、追い詰めたまでは良かったんだけど、のど輪出そうとするところ読まれちゃってたかなぁ」

「そうですね。目があわててないですね、この選手」

イージス中森もコマ送りを見る。

「あの場面、そのまま身体を預けて突っ込んでいったほうが負けない確率はあったんじゃないでしょうか」

 「うん、オレもそう思った、・・・・・勝ちたかったな・・・」

「頑張れー、また次があるんだから」

 「はい。分かりました」

そう言って鳥ノ詩、コマ送りを止めた。

そのあと二人、たわいもない話をしたりして過ごし、日付が変わるころ、どちらともなく視線がぶつかり、

「・・・・・・・」

「鳥さん・・・・・」

唇を合わせた。

(以下数ページ省略)
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翌日、NSAは藤沢での興行。

「東方、関脇、鳥ノ詩!」

ドワアアアアア

「西方、前頭2枚目、源氏丸」

昨日善戦したが横綱に惜敗した鳥ノ詩、優勝争いから後退したので気落ちしていなければいいが・・・・よりによってきょうの対戦相手は巨漢力士、源氏丸である。

―オレは諦めない。いつか、頂点に立つことを・・・

「はっけよい!」

鳥ノ詩、セオリーどおり回りこんで横から攻める。頭をつけてのはず押しで相手の上体を起こす。みごとな速攻、たまらず源氏丸は土俵を割った。

―見ていてくれ、登志子さん。

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2009年1月 5日 (月)

新春特別外伝SS イージス中森の彼氏(上)

いつもWAS没頭中にご訪問いただきましてまことにありがとうございます。今日と明日は新春スペシャ外伝と致しまして、完全妄想作話でお送りいたします。こんな事を刷るから本編がちっとも進まないとは思うのですが、イージス中森が思い入れの強い選手なのと、相撲アクションを書いてみたかったので。つい気のおもむくまま書きました。今は後悔していない。

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レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日誌 外伝

イージス中森の彼氏。

時に西暦2037年、

日本の国技である相撲は、2つの団体がしのぎを削る状態となっていた。ひとつが300余年の歴史と伝統を自称する相撲協会。もうひとつが2020年に旗揚げした新鋭団体だが、斬新な経営術と演出で人気を集めだした新団体、NSA(株式会社 New SUMO アソシエイション)である。

「西方より!前頭3枚目、翼我道の入場です!」

ドワアアアア

本家の相撲協会が暴行かわいがり問題やら麻薬問題やら外国人力士関連などでトラブル続きの中、NSAはあくまで「エンターテインメント会社です」というスタンスで興行を打ったので、たちまち人気が急上昇。相撲協会と人気を二分する状態になってきた。

新春シリーズ、代々木の体育館で三日目の興行が行われる。移動式の土俵を開発したため、1月シリーズは関東地方をぐるっと巡業する。

NSA,相撲界の横綱大関といった番付制度や、15日制取り組みでの優勝制度は変えずに、プロレスや格闘技の演出エッセンスを取り入れ、それが受けている。入場テーマ曲が流れ、レーザー光線がパパパパ光る中、翼我道(よくがどう)が入場。前頭3枚目だ。外見はアンコ形のお相撲さんそのもの。

「東方より、関脇、鳥ノ詩入場です!」

ドワアアア

入場テーマ曲が流れ、こんどは灰色の締め込みをした比較的小柄ながら、肩幅のがっしりした鳥ノ詩(とりのうた)が入場。

土俵アナウンサー(NSAではこう呼んでいる)のコールを受けた後、にらみ合いと仕切り。これは本家どおり。そして一定時間が経過後、土俵奉行(NSAではこう呼んでいる)の指示で立ち合い。

「ハーッキョイ、残った残った」

鳥ノ詩、鋭い出足ではず押し。一気に翼我道を土俵際に追い詰め、トドメの右ノド輪。これで翼我道は土俵を割った。これで初日から3連勝。

「とりのうたーーーー」

鳥ノ詩、手刀を切って懸賞金を受け取る。そしてまたテーマ曲が流れ、意気揚々と退場。今場所は大関昇進がかかっているので気合いも充実している。

そのあとベテラン大関の石楠花(しゃくなげ)、天稲(てんいな)が登場して館内はますます盛り上がり、そして結びの一番、一人横綱で現在のNSAのエース、砂漠乃雪(さばくのゆき)が登場した。もう30歳のベテランだが、上背と筋力で孤高のエースの座に君臨してきた。

対戦相手は西前頭筆頭、下呂の海。

ワアアアア!

やはり横綱強い。砂漠乃雪、あっさり電車道の寄り切りで下呂の海を下した。そしてマイク。

「おう!今シリーズも優勝はこのワシじゃ!鳥ノ詩なんかまだまだ目じゃねえぜ、ガッハハハハ」

この団体は横綱に限りマイクパフォーマンスありなのである。

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「鳥さん、お疲れ」

関係者入り口前、SPZの看板古参レスラー、イージス中森(SPZ20期)が鳥ノ詩を出迎えた。

「登志子さん・・・・来てたんすか」

「まあ、勉強に。顔パスで入れるから。このあと久しぶりにご飯でも食べに行きますか」

イージス中森の交際相手がこのNSAの新鋭力士、鳥ノ詩(本名:鳥海和也)である。ふだんはお互いプロスポーツ選手同士、忙しくて逢瀬の暇もなかなかないが、今月はイージス中森が負傷欠場中なので時間を作れる。

2時間後、都内の高級寿司屋。イージス中森と鳥ノ詩が寿司をつまんでいた。

「あー、多分10日目くらいに当たるんだけど、砂漠関には勝てないだろうなー、パワーの差がありすぎる」

「鳥さん、岡目八目ですが、そうやって相手を戦う前から弱気にさせるのが向こうの戦略だと思いますよ。死に物狂いで前に出れば相手も驚いてくると思います」

「そうかなぁ・・・・」

鳥ノ詩、素質はあるのだが性格が格闘技向きでなく、小心な性格が災いしてなかなか優勝できないでいた。NSAの基準では関脇で優勝1回することで大関に上がれるのであるのだが・・・

(続きます)

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2009年1月 2日 (金)

第577回 外伝SS ライラ神威の「それから」

筆者より、お正月特番ということで、書き下ろしSSをさらします。

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石川町の居酒屋トムラウシ潜入記。

横浜から電車で7分、根岸線石川町駅を出て海方向に歩いて数分、ライラ神威プロデュース居酒屋「トムラウシ」がある。

「ついたぞ・・・ここだ」

SPZファン、中年男性の二人組がこわごわ暖簾をくぐる。入り口には「トムラウシ」と大書きされた看板がががが。SPZで恐怖の大王として君臨したあのライラ神威、どんなものを食わせるのだろうか。入ったら出て来れないかもしれないが・・・

「ご来店ありがとうございます!」

厨房・ホールのスタッフがいっせいに挨拶する。どうやらまともな居酒屋のようだ。壁には手書きのメニューが所狭しと貼られている。

(海鮮炉辺焼き)焼きホタテ 600円 焼きジャガイモ 350円 焼きホッケ 700円 焼きコマイ 650円 焼きサンマ 300円 焼きカレイ 700円 焼きイカ 500円

黒を基調とした落ち着いたインテリアの店内。2人はカウンター席に座った。カウンター内のキッチンでジャガイモを焼いているのが、どことなく見覚えのある若い女性、名札には「島宮」とある。素顔をさらしているのでひと目では気づきにくいが、間違いなくあのライラ神威だ。

(おつまみ)ポテトサラダ 350円 ニシン漬け 350円 ホタテフライ 650円 ホッケの煮付け 700円 ジンギスカン950円 モズク酢250円 しめ鯖 550円 ハムサラダ450円

平日だからか、店内はまばら。それほど繁盛しているというわけではない。食の激戦区横浜だし、料理もそんなのうまいという評判ではない。

(お食事もの)豚丼500円 スープカレー550円 必殺カレー700円 ペペロンチーノ500円 アラビアータ550円 カルボナーラ520円

とりあえずワインを注文する。もちろん十勝産の「トカップ」である。

「あの・・・ライラ神威さんですか?」

客のひとりがおそるおそる問う。

 「まあ、昔は・・そうだったね。今は北海道居酒屋の店員ですよ。」

そう言って島宮さんはジャガイモを炭火で焼き始める。

「年末のマスターズ戦には、出るんですか?」

 「さあ、どうだろうね、カードには入らないと思うけど店の宣伝がてら顔を出すよ。見たとおりお客さんは入ってないからさ」

やはり横浜という場所柄、競合が多く売上は伸び悩んでいるらしい。

お飲み物)生ビール350円 エーデルピルス450円 十勝ワイン(赤・白)300円 北の大空(日本酒・一合)420円 知床岬(日本酒・一合)780円

ふたりで焼きホッケをつつく。チェーン居酒屋のものよりうまい。北海道の味だ。

(ソフトドリンク)コーヒー210円 紅茶210円 トムラウシ水 200円 キリンレモン200円 玉露200円

「焼き物は美味しいですね」

 「まあな。北海道から素材のいいものをヒコーキで運んでるから」

「じゃあ次は、しめ鯖を」

「あ、悪いね。しめ鯖きょうは売り切れ。板前見習いの松本がカゼで休んじゃって。あたしは作れないから。はは。」

現役時代ライラ神威は花道での悪行三昧のたびに心無いファンからしめ鯖を投げつけられたのは有名な話で、本にもそれをネタにしてメニューに加えている。

「じゃあホッケの煮付け」

「あいよ」

そう言って島宮さんは小鍋にホッケのブツ切りと玉ねぎをほうり込んで、だし汁らしき物を入れてから火にかけ始めた。

「東京の人はホッケは焼いて食うもんだけどね。北海道じゃあ安いからさ、煮たりね、刺身にしても食うんだ」

デザート)ヨーグルトパフェ500円 ショコラパルフェ500円 ショコラケーキ400円 北海道バニラアイス300円 抹茶アイス400円

二人はホッケの煮付けをサカナにビールを飲んだ。

「島宮さん、PDF(SPZの悪役集団)はどうですか?」

「まあよくやってんじゃないかな、千秋選手は。ただいまのSPZはマイティ祐希子のワンマンショーだからね。コンバット斉藤ちゃんももうそろそろ潮時だしね。若手でイキのいいのが出てくればいいけどね」

「じゃあ〆になんか食べます、お勧めは?」

 「うーんそうだね、あばしりで練習させられまくったペペロンチーノかな・・・」

島宮さん、引退後しばらくは「喫茶あばしり」でフードビジネスのノウハウを叩き込まれた。経営術よりも「飲食店はうまいもの出してナンボよ」という鈴波店長の教えでスパゲティ類を特訓させられたらしい。

出てきたペペロンチーノ、イタリアンレストランの味には到底及ばなかったが、ライラ神威の心がこもった味だった。

「久々にSPZファンが来たからな、お茶サービスするよ。惚れ玉露。」
ペペロンチーノを食べ終わった二人にサービスでお茶が出てくる。

「おいしいですね。これけっこういい玉露だ。」

「まあ、アイツが送ってきやがるんだ。静岡川根産だってさ。敵にお茶贈られちゃったよ」

壁に飾られた色紙には仇敵、武藤めぐみのサインがががが。

「祝開店、ライラ神威様。武藤めぐみ」

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2008年12月31日 (水)

第575回(外伝SS)カレンダーガール

本日は2008年最後の連載ということで本編ではなく、さらさらっと書いたSSを晒します。

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29年目12月シリーズ 外伝

「いらっしゃいませ、こんにちわーーー」

「どうぞごゆっくりご覧くださいーーー」

SPZの12月シリーズの物販は真剣そのものである。なぜならば、Tシャツやマグカップ、タオルなどの通常グッズのほかに「カレンダー」が販売されるのである。年内に売れないとえらいことになるのでスタッフも真剣そのもの。全国48箇所にあるグッズショップ「SPZフィーバー」も在庫を極力絞込み、なるべく会場売りでの完売を目指す。

今年売り出されるのは5種類。
「SPZカレンダー2038 ファイティングガールズ」
「SPZカジュアルカレンダー 2038」

この二つは所属選手が総出演するカレンダーで、SPZカレンダーの方は主に試合前のショット、試合中のショット、試合後のショットで構成される。4月はベルト姿でにっこり笑うマイティ祐希子。

カジュアルカレンダーは旗揚げ以来の伝統で、所属選手がそこそこいいファッションに身を包んで・・・というシロモノ。1月はレザーコート姿のハリケーン神田。ちなみにお値段は2100円。

そして残る3つが個人カレンダー。売れ残るのが怖いので、個人カレンダーの発売はスター選手だけに許された特権だ。売上の10%は選手に入る。

「マイティ祐希子カレンダー」
「コンバット斉藤カレンダー」
「イージス中森カレンダー」

SPZで個人カレンダーを作るかどうかの内規は「シングルベルトの戴冠歴があるかどうか」であるが、悪役のナイトメア神威や全国的人気のいまいちなカミスワさんはカレンダー作成が見送られた。

ちなみにお値段はやはり2100円。

「いいか、カレンダーはシリーズ終了までに売りさばけ!一部たりとも売り残してはならんぞ」

今野役員63歳がハッパをかける。マイティ祐希子は現エースだから多分だいじょうぶ。

コンバット斉藤も元エースとはいえ根強い人気があるし、売れ行きが伸び悩んだらグッズ売り場横で瓦割りかバット折りのパフォーマンスでもやらせればよい。問題なのは最古参のイージス中森選手会長だ。ファイトスタイルも地味でルックスもそれほどでもないので女性の固定ファンしかいない。男性のミーハーなファンがいない状況なのだ。なにしろ私生活では彼氏がいることは公知の事実。

ちなみにタイトルは「仕事師」で、内容は下記のとおりである。

1月 新春、サングラスをかけて土手をジャージ姿でランニングするイージス中森

2月 厳冬 和風旅館でどてらを着てくつろいでいるイージス中森。外は雪。

3月 陽春 会場外の空き地でジャージ姿でストレッチをしているイージス中森

4月 桜花  移動中なのか、フェリーの船上で海を見つめるイージス中森

5月 初夏 移動バスから試合道具の入ったボストンを抱えて降りてきたイージス中森。

6月 梅雨 控室、出番を待つ前、リングシューズの紐を締めるイージス中森

7月 盛夏 SPZ道場で汗だくになってエアロバイクをこぐイージス中森。MP3の音楽を耳に当てて聴いている。

8月 晩夏 海岸でビキニ姿、若手選手に混じってビーチバレーに興じるイージス中森。まあこれはサービスショット。

9月 初秋 移動中新幹線の車内、読書に興じるイージス中森。読んでいるのは難しそうな経済本。

10月 秋爽 興行を終えてホッと一息なのか、夜の屋台でラーメンをすするイージス中森。

11月 晩秋 オフの日なのか、私服で愛車のハンドルを握るイージス中森。なにげに高そうな黒い外車。

12月 冬至 花道奥で出番前、前座の若手選手の試合をチェックするイージス中森。

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「イージス中森カレンダー2038、発売中です。お買い上げの方には特典と致しましてイージス中森サイン色紙をプレゼント致します」

物販の手伝いをする今野役員、だがさっぱり動かない 

「・・・売れませんね。これが現実ですよ」

売店奥のイスに腰を下ろしたイージス中森。目の前でマイティ祐希子グッズやカレンダーがはけてゆくのを見て苦笑。

このシリーズ、イージス中森は腰を負傷しており、福岡大会のタッグ選手権のみの参戦だが、巡業には帯同している。デビューしてもう10年、それなりに活躍してSPZを支えてきた自負はあるが、いまのSPZはマイティ祐希子に人気が集中している傾向がある。

順調にはけてゆくマイティ祐希子カレンダー。自らのカレンダーはあまり動かない。たまらずイージス中森カウンターへ出て、セールストーク。

「カレンダー買ってください、お願いします。この売り上げで正月はハワイ行くんで・・・ぜひお願いします」

売り上げの10%が入るので真剣そのもの。

「多分来年はないと思うんで、これが最後のカレンダーだと思いますのでぜひ買ってください」

「な、中森さん!」

思わず今野役員が振り返る。来年は引退するぞと言っているに等しい。
最前線でのお声かけの効果あって、イージス中森のカレンダーもボツボツ売れ出した。そのまま第1試合開始時間までイージス中森は売店に立ち続けた。

―もう、そろそろ、潮時ですかね・・・

イージス中森25歳、力の衰えを感じ引退を真剣に考える時期だが、まだSPZタッグベルトを巻いているので、パートナーのM祐希子のことを考えるとなかなかいい出せない状況が続いている・・・

「阿部さん、後何本残ってますかね」

物販の手伝いを終えたイージス中森、控室に戻りながら阿部リングアナに問う。

「920本くらいっすかね。フィーバーの在庫あわせて」

「・・・そうですか・・・」

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筆者より、今年1年当サイトへのご訪問ありがとうございました。2009年も気力の続く限り頑張りますので、応援宜しくお願いいたします。K.Konno

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2008年12月 1日 (月)

外伝SS あきらめなければ、夢はかなう(11)

(時間稼ぎの完全妄想作話 ついに完結)

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『ギムレットホール こけら落としタッグトーナメント 藤原和美、中江里奈 (SPZ)VSミラクルひばり ファンタやまばと(さいたまソウルプロレス)』

「うーーりゃーーーー」

中江里奈、ダメージの深いひばりを捕らえるや、昔のネズミ捕り機のようなばねの利いたブレンバスター。叩きつけられるミラクルひばり。これは決まったか。

「もらった!」

のしかかってフォールする中江、しかしカウントを数えるべきライラ神威はニュートラルコーナー前で横たわり腰を押さえてうめいている。なんという昭和プロレス。

「イテテテ・・・」
30秒ほど経過してようやくライラ神威が起き上がって、カウントを数える。

「ワーン、ツーウ・・・」
しかしダメージの回復していたミラクルひばり、なんとかフォールを返す。場内爆笑。

「ライラさん・・・・いまの3つ入ってませんでしたか?」

中江がレフェリーにクレームをつける。

「そんなこといってもよう・・・倒れてたんだからしゃあないだろ」

ここに隙が生まれた。

―いまだ!

ミラクルひばり、抗議を続ける中江の足の間に手を入れ、スクールボーイ気味に丸め込んだ。

「ワントゥ、スリ」

ライラ神威の高速カウント。あっという間に3カウントが入った。今野役員がすかさずゴングを叩く。

「6分22秒、スクールボーイからのエビ固めで、ミラクルひばり、ファンタやまばと組の勝ち」

えええっ?

コーナーに控える藤原もあっけにとられた表情。レフェリーに抗議した中江が心証を悪くしてしまって、高速カウントにつながってしまったようだ。レフェリーのライラ神威、そのまま逃げるように引き揚げた。

「じゃあ、あばよ。美月さん、ギャラは振り込んどいてよー」

「ま、中江、この胡散臭さもプロレスだ。このメンツで準優勝なんてようやったよ。じゃあ横浜帰ろうか」
釈然としない28期生二人にセコンドの上原今日子(SPZ取締役)が声をかける。

「どもーっ!!」

けっきょく、タッグトーナメントはさいたまソウルプロレスのミラクルひばり&ファンタやまばとが制した。プレゼンターの鈴波店長から賞金1000円の入った封筒と副賞のクッキー1年分の目録が手渡された。

「毎月5箱ずつ送るからー、頑張って食べてねーーー」

最後にギムレットオフィスの美月社長が挨拶。タッグトーナメントは緒戦であっさり負けたのでメイクを直し、スーツに着替える余裕もあった。

「本日は・・・来ていただいて・・・本当にありがとう、ござい・・ました。ようやく・・・夢がひとつ、かないました。」

この辺で美月社長、涙をこらえられなくなってきたのか、少し雫が落ちた。

「これから・・・いろんな団体が、このホールでプロレス興行を・・・・行うと思いますので、皆様、これからも・・・プロレスを、応援してください、よろしくお願いします。」

とどろくミツキコール。タッグトーナメントは大盛況で幕を閉じた。

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2008年11月29日 (土)

外伝SS あきらめなければ、夢はかなう(9)

完全妄想作話

2036年(SPZ28年目)12月1日 ギムレットホール グランドオープン記念タッグトーナメント

これまでのあらすじ

SPZ10期の知性派レスラー、ギムレット美月は自らプロレス会場を作り、使用料収入で食べて行こうと考え、自前のプロレス会場「ギムレットホール」を東京調布に作ってしまった。新会場落成をアピールするために、これまで参戦したインディー各団体に声をかけてワンナイトタッグトーナメントを企画した。自らもキューティー金井(SPZ12期)と組んで出場したが、あえなく1回戦でSPZの中江・藤原組に敗退・・・

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「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・」

控室、藤原和美がコスチューム姿のまま荒い息をついていた。中江里奈も床の上に手折れ込んでいる。1日3試合は新人には酷だ。1回戦は落ち着いてG美月、Q金井組を下したものの2回戦であいちおいでんの二人と18分の熱戦を演じてもう疲れきっていた。こんなんで決勝戦を闘えるのだろうか。

「さあ次は決勝だ!気合入れていけよ!無様な負け方したら道場帰って、特訓させるからな」

付き添いできた上原今日子部長が二人を叱咤激励する。

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リング上、ライラ神威レフェリーが時間調整をかねてMC。ここまで短い試合時間が多く、進行が早かったためマイクを取った。

「おうおうおうおう、くされギムレット美月ファンども、くされギムレット美月ファンどもよ」

ライラ神威の毒舌は健在。

「セミファイナルの前に、おまえらに重要なお知らせがある。ライラ神威プロデュース酒場、『トムラウシ』が先日横浜にオープンした。石川町駅から徒歩3分。ホッケやジャガイモとかの北海道料理がメインなんだだが、鈴波さんとこで覚えたカルボナーラやペペロンチーノもあるぞ。いいかあ、お願いじゃなくて命令するぞう。割引券ばら撒いてやるから食べに来い。以上。グハハハハハハハ」

結局それがいいたかったのですか。自らが経営する飲み屋(さすがにオープン直後で集客に苦戦しているらしい)の宣伝をせんがために、この興行のレフェリーを引き受けたようだった。このあと観客全員に「トムラウシ」の宣伝ビラと「ご飲食代金10%引き」券が配られた・・・・

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「おじさん、そろそろ出番です。宜しくお願いします」

会場外のマイクロバスの中が男子選手控室。(さすがに参戦団体の数が多く控室が足りなかった)美月社長が後部座席の男に声をかける。

「ほんじゃあ、行きますか、綿貫さん」

後部座席でタバコを吸っていた、まるまる太った中年レスラーがメガネを外し、「食通」と書かれた黒いジャンパーを羽織る。

「はい。適当にやってきましょう、菅原さん、やられ役お願いしますね」

がっしりした体格の中年レスラーも「酒豪」と書かれた黒いジャンパーを羽織る。

「うい。」

細身の中年レスラーがメガネを外し、赤いロングガウンを羽織り首筋にタオルを巻く。

そして場内に流れる「今夜はドント・ストップ」これだけで場内は沸いた。

第7試合セミファイナル、決勝戦の前の休憩という意味合いもあって、東京エクストリームプロレスから看板おっさんレスラー3名、ヒロポン粕谷(TEP社長)、コットン綿貫(TEP看板レスラー)、菅原きよし(TEP実力派レスラー)の3名がリングイン。もう3人とも50代だが、動けないぶんファイトに円熟味が出てきている。

対戦相手は謎の覆面レスラー3人。ポテト1号&ポテト2号&ポテト3号。ジャガイモを模した覆面を被っている。どうみてもインディーの若手に覆面をかぶせただけのかませ犬だ。

「きゃおう!!きゃおおう!」

軍服風のロングズボンをはいた菅原きよしが相手の攻勢をある程度受けてから、反撃開始。まず菅原が逆水平チョップでポテト1号を怯ませ、コットン綿貫にタッチ。

「おーりゃーーー!!」

黒いロングタイツ姿がまぶしいコットン綿貫のバックドロップが相手を朦朧とさせる。

「菅原さん!逆カット」
コットン綿貫の指示で菅原きよしがポテト2号を場外に釘付けにする。コットン綿貫もポテト3号をコーナーに押し込んで離さない。さくっと分断に成功。このあたりはさすがベテランのうまさ。

「おら・・・よっ!」

最後はヒロポン粕谷が特別出演。体重が負担のせいか、もうあまり動けなくなっておりこの日もスパッツに白いTシャツを着てのファイト。それでもダウンしたままのポテト1号へ巨体を利したエルボードロップがグサリ。そのままのしかかってフォール。この一撃でポテト1号を沈めた。

「8分22秒、ヒロポンアタックからの体固めで、ヒロポン粕谷、コットン綿貫、菅原きよし組の勝ち」

ヒロポン!ヒロポン!ヒロポン!ヒロポン!

場内に轟くヒロポンコール。さすがの存在感だ。勝ち名乗りを受けた後、意気揚々とおじさん3人は引き揚げた。

「今日はどうもありがとうございました」

美月社長がマイクロバスへ出向き、3人にギャラを手渡す。

「ハア、ハア、フウ・・・初めての会場ってのはいいねえ。おじさん疲れちゃったよ」

ヒロポン粕谷と美月が言葉を交わす。若手の頃、ギムレット美月は新人だったキューティー金井を伴って東京エクストリームプロレスの興行に足を何回も運び、プロレスの勉強をしていたことがある。

そしていよいよメインイベント。ワンナイトタッグトーナメント決勝戦、

藤原和美&中江里奈(SPZ) VS ミラクルひばり&ファンタやまばと(さいたまソウルプロレス女子部)

(続く)

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2008年11月27日 (木)

外伝SS あきらめなければ、夢はかなう(7)

1回戦第3試合は上諏訪温泉地下プロレスのジュードー・シモスワ、アイキドー・オカヤが登場。上諏訪温泉プロレスは上諏訪温泉の老舗旅館が経営難の対策として行った地下プロレスで、旗揚げ時は設備も人員も貧弱だったが、現在はそこそこ態勢も整ってきているらしい。

あのケンドーカミスワの後輩というギミックだ。対戦相手は謎のアメリカ人、ラフォリア、クーラント組。なぜか保安官スタイルで入場。しかしいきなり温泉チームが仕掛けた。

「下諏訪温泉極楽絞め」
試合開始直後、シモスワの変形スリーパーがクーラントに決まる。我慢できなかったのか、あっという間にクーラントはタップ。

―とんだ一杯食わせ物じゃん。

800人の観衆はクーラントのあまりの根性なしっぷりに引いてしまった。

「5秒、下諏訪温泉極楽絞めでシモスワ、オカヤ組の勝ち」

これで温泉地下プロレスチームも準決勝へ駒を進めた。体力を温存したので次の試合は俄然有利になったか。

****************************

1回戦最後、第4試合はさいたまソウルプロレス女子部(関東を地盤に興行する男女混合なんでもありの団体)の看板スター、ミラクルひばりが登場、若いパートナーのファンタやまばとを引き連れてリングイン。

対するはきたぐにプロレス(新潟県を地盤にするローカル団体)の悪役覆面レスラー、デスマシーン489&ドリームマシン583。

「パワフル&クラシカル」を旗印に掲げるきたぐにプロレスの二人がタックルで圧倒する。新潟のインディー団体だが練習量は豊富らしい。でもって、

「ウィヤアアア」
489号がためを作ってのボディスラム。しかしここでさいたまソウルプロレス女子部のエース、ミラクルひばりが奥の手を使った。

「ミラクル・マジック!」

会場の照明が落ちた。まっくら。照明関係のミスかと思われたが、これはミラクルひばりお得意の流れを変えるムーブ。

数秒後、照明が再点灯したが、ミラクルひばりの手には巨大な金だらいが装備されていた。

「ち、ちょWWWWWW」

爆笑するファン。

がんがんがんがんがん!!

ミラクルひばり、489号を金だらいで殴打。これは痛い。ライラ神威レフェリーは見て見ぬふり。たまらずダウンする489号、あわてて583号が救援に入ってくるが、ミラクルひばり容赦なく583号にも金だらい攻撃。583号は場外に転げ落ちた。

「今よ、やまばと!」

ここでファンタやまばとが登場。コーナーに駆け上がって

「1000トーン!!」
コーナー最上段からのセントーンで489号に落下。そのまま体固めで3カウントを奪って準決勝進出。勝負タイム6分22秒。

これで準決勝進出チームは以下の4チーム

藤原和美&中江里奈(SPZ)

ウイング下地&レインボー船町(あいちおいでんプロレス)

ジュードー・シモスワ アイキドー・オカヤ(上諏訪温泉地下プロレス)

ミラクルひばり、ファンタやまばと(さいたまソウルプロレス女子部)

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その試合が終わると15分の休憩。
「はい、アイスティーですね、200円になります~」

売店スペースでは喫茶あばしりの鈴波店長と、その旦那の1号店店長がアイスティー、ホットコーヒー、マドレーヌを売りまくって荒稼ぎ。まだ売店のテナントが決まっていないのでとりあえず今回はあばしりに貸したのである。

で、グッズ売り場には当然この人が。SPZ5期にして現売れないアイドル歌手渡辺智美さん。
「はーい、渡辺智美ニューシングル、『黒部峡谷』絶賛発売CHUでーす!!」

「まるで、同窓会みたいだね」
本部席の今野役員が缶コーヒーを飲みながら呟いた。

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2008年11月26日 (水)

外伝SS あきらめなければ、夢はかなう(6)

(リプレイではありません 時間稼ぎの 完全妄想作話です。)

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2036-12-01 ギムレットホール グランドオープン記念 タッグトーナメント

1回戦第1試合

ギムレット美月(ギムレットオフィス)、キューティー金井(フリー)VS 中江里奈、藤原和美(SPZ)

「くっ・・・・この・・・」
ギムレット美月、すばやく起き上がってハンマースルーの要領で中江を場外に落とした。

そして倒れている藤原に歩み寄り

「ゼェ、ゼェ・・・」

ふらつきながら足を取ったが、このチャンスを待っていた藤原和美、すばやくG美月の首に絡み付いてそのまま半回転し、スモールパッケージの要領で強引に丸め込んだ。

「しまっ・・・・・」

ワーン、トーゥ、スリー!!

ライラ神威が高速カウント気味にマットを3つ叩いた。試合終了。今野役員が試合結果をアナウンスする。

「9分23秒、スモールパッケージホールドで藤原和美、中江里奈組の勝ち」

大会主催者が1回戦でフォール負けを喫して敗退という波乱。いや美月はコンディション不良、パートナーは一夜復活では当然の帰結か。

「今のカウント、速くなかったですか・・・?」
G美月が指を3本立ててライラ神威レフェリーに詰め寄る。

「ノンノンノン。アイム、ルールブック」

軽くいなすライラ神威。このあたりの呼吸もさすが。ライラ神威、SPZの大先輩が叩きのめされてぶざまに負けるのを見たくなかったらしい。丸み込め負けなら誰も傷つかない。

―まあ、仕方ありませんね。それじゃあ引き揚げますか。て、金井さん?

キューティー金井はいつの間にか逃亡していた・・・

ギムレット美月、リング上でお辞儀をしてから引き揚げた。場内ものすごいミツキコール。この日のためにどれだけ力を注いできたか、ファンはわかっている。

―どうもありがとう。

ギムレット美月、客席に手を振ってから花道奥に下がり、廊下を歩いてギムレットオフィスの社長室に戻ってきた。ドアを開けるやへなへなと倒れこんでしまった。横たわりながらペットボトルの水を飲む。

「うう・・・疲れました・・・でも、面白かったですね・・・」

こうして、ギムレットホールの旗揚げ第1試合は終った。

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つづいてトーナメント1回戦第2試合。

「燃えよドラゴンズ」のテーマ曲に乗って、「あいちおいでんプロレス」の看板娘タッグチーム、ウイング下地&レインボー船町が登場。なにげに首都圏初登場。ギムレットホールに詰め掛けたファンは沸いた。

「今こそ、東京のお客さんに、あいちおいでんプロレスの力を見せてやるんよ」

お揃いの銀色の水着っぽいコスチューム。この日のためにわざわざリンコスを新調したようだ。そうとう気合いが入っている。

対戦相手は国籍不明の謎のタッグチーム・マクロベータ1号&2号。きっとどこかのインディー団体の若手に話をつけて覆面を被らせたに決っている。

ゴングが鳴った。マクロベータ1号&2号は覆面を被った怪しいシャーマンレスラというギミックで、しかも六尺棒を持ってリングインしてライラ神威レフェリーに制止されるという得体の知れない存在。

しかし、「あいちおいでんプロレス」の2人がすばやいタッチワークで小気味いいファイトを見せて、最後はウイング下地がマクロベータ1号を捕まえて、

「味噌帝国ボンバーーー!!」

必殺技の名を叫んで、左腕でラリアットを叩き込んで3カウントを奪った。
「8分40秒、味噌帝国ボンバーからの体固めでウイング下地、レインボー船町組の勝ち」

(しょうもない話ですが、続きます)

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2008年11月25日 (火)

外伝SS あきらめなければ、夢はかなう(5)

2036年12月1日 ギムレットホール グランドオープン記念興行

タッグトーナメント1回戦第1試合

ギムレット美月(ギムレットオフィス)、キューティー金井(フリー) VS 藤原和美、中江里奈(SPZ)

ギムレット美月、左手を出して力比べと見せかけつつ、右手を手刀のような形にして、地獄突きの要領で中江のノド元をついた。

「ぐあああっ」

不意打ちを食らって前のめりに倒れ、ノドを押さえてもがき苦しむ中江。このあたりはうまい。上からエルボードロップを落として、ひっくり返してカバー。

「ワーン、トーゥ」
覆面レフェリー、ライラ神威がマットを叩く。しかし中江、かろうじてカウント2で肩を上げた。

しかし起き上がれない中江、チャンスと見たギムレット美月は上に乗って腕関節を取って攻める。そのままグラウンドでのG美月の攻勢が続いた。

「5分経過」

今野役員がぼそりと5分経過を告げる。しかしここ数日、会場こけら落としの準備でろくに寝ていないギムレット美月社長、ついに息が上がってしまった。

ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・・

「しばらく頼みます」

息を整えようと思い、パートナーにタッチ。

私服姿のキューティー金井が久方ぶりのリングイン。

「うわ、アッ」

キューティー金井、もろくも藤原のドロップキック一発でもんどりうって場外転落、そのまま場外でのびてしまった。

―やっぱり・・・・

これはどうみてもG美月のパートナーの人選ミス。情に流れて動けない旧友を起用したのが微妙だった。(本当はライラ神威をパートナーに起用しようとしたが断られた)

―くっ、こうなったら自分がいけるところまでいくしか・・・

ギムレット美月、藤原を組みとめてから上から押してダブルアームの態勢にとらえた。SPZ撤退後に愛用しているムーブだ。

「んんーーーーっ!!」

気合いと力のこもるG美月、しかし藤原も下から踏ん張って投げさせない。

「んんーーーーーー!!」

そのまま根競べが1分近く続いた。いいのかそんな力比べをやって、スタミナに難があるのに・・・ファンは固唾を呑んで見守る。

「クッ」

―がりがりがりがり!

ギムレット美月、いったんダブルアームを解いてから、藤原の顔面をかきむしった。藤原が怯んだところをもう一度ダブルアームの態勢に捕らえて、

「ウアーーーッ」
どうにかダブルアームで投げた。しかしこれで力を使い切ったのかギムレット美月カバーに行けない。ギムレット美月、天井を見上げて荒い息をついた。

―疲れた・・・・でも楽しい・・・・

かなりの時間をかけて起き上がったギムレット美月、藤原が起き上がってくるのを見て距離をとって、走り出した。

「DIE」
やはりSPZ撤退後に使い出したムーブ、ラリアット。藤原真正面から受けた。それなりの威力。倒れこむ藤原。これはチャンスだ。

「勝率30%上方修正」
ギムレット美月、倒れている藤原の足を取って、SPZ時代の得意技、アキレス腱がためにとらえた。技術は健在。

「うわああああああッ」

痛がり出す藤原、これは決まるか。しかしコーナーで戦況を見ていた中江が飛び出してきて、G美月に蹴りを入れてカット。

「くっ・・・・この・・・」
ギムレット美月、すばやく起き上がってハンマースルーの要領で中江を場外に落とした。そして倒れている藤原に歩み寄り

「ゼェ、ゼェ・・・」
ふらつきながら再度アキレス腱固めを狙い足を取ったが、このチャンスを待っていた藤原和美、G美月の首に絡み付いてそのまま半回転し、スモールパッケージの要領で強引に丸め込んだ。

「しまっ・・・・・」
ワーン、トーゥ、スリー!!

ライラ神威が高速カウント気味にマットを3つ叩いた。試合終了。
「9分23秒、スモールパッケージホールドで藤原和美、中江里奈組の勝ち」

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2008年11月24日 (月)

外伝SS あきらめなければ、夢はかなう(4)

外伝SS (28年目12月時点)

ギムレットホール旗揚げ記念タッグトーナメント

「会場落成記念で12月1日、タッグトーナメントやりますので、是非ご協力をお願いいたします」

(前回までのあらすじ)

SPZ10期生でいまは独立して「ギムレットオフィス」の社長になっているギムレット美月、この人は自分の理想のプロレス会場を作り、使用料収入で食ってゆこうという野望があった。ギムレットホール落成を世に知らしめるため、オープン記念で自らのネットワークを駆使して団体対抗タッグトーナメントを決行。そして、主催者であるギムレット美月、33歳の身体に鞭打ってリングに上がる・・・

「それではさっそく第1試合を始めたいと思います」

試合の組み合わせ、試合順は事前に知らされず、テーマ曲が鳴って初めてわかるという状態。
場内に流れたのは

「oblivion」
いきなり会場のムードは最高潮に高まった。SPZ10期のファイティングコンピューター、ギムレット美月が花道に姿を現した。さすがにSPZ時代の体型、肌の張りはないが、落ち着き払って花道をテクテク歩いてリングイン。

「どもーっ!」
続いてキューティー金井。もう30代なのでパンツスーツ姿でリングへ上がった。タッグトーナメント参戦とは言っても一夜限定復活なのであまり準備はしてきてないらしい。

そして青コーナーから、かかった音楽は「ライディーン」

ええええええ。
藤原和美のテーマ曲だ。SPZ28期生、この5月にデビューしたばかり、SPZのTシャツを羽織った藤原和美&中江里奈が颯爽とトップロープを飛び越えリングイン。これは勝敗の行方は読めない。片やSPZの新人レスラー二人、こなた百戦錬磨のフリーレスラー女社長&員数あわせ。

―よく、入りましたね・・・
ギムレット美月、ちょっとだけ感慨深げに自分が作った会場を見渡した。こけら落とし興行最初の試合に登場する。

カンッ

今野役員がゴングを鳴らした。
先発はギムレット美月と中江里奈。しばらくにらみ合いをした後ロックアップ。大先輩だが、28期生はギムレット美月の戦いは映像でしか知らない世代だ。なにしろ18も年上なのだから。

―けっこう、力が強いです・・・ね。

中江里奈15歳が押し勝ち、ギムレット美月ロープへ。ここはクリーンに分かれる。

―真正面からやったならば不利ですね。ならば・・・

ギムレット美月、左手を出して力比べと見せかけつつ、右手を手刀のような形にして、地獄突きの要領で中江のノド元を突いた。

「ぐあああっ!」

不意打ちを食らって前のめりに倒れ、ノドを押さえてもがき苦しむ中江。このあたりはうまい。上からエルボードロップを落として、ひっくり返してカバー。

「ワーン、トーゥ」
覆面レフェリー、ライラ神威がマットを叩く。しかし中江、かろうじてカウント2で肩を上げた。

(続く!)

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2008年11月23日 (日)

あきらめなければ、夢はかなう(3)

SPZ外伝 ギムレット美月の「それから」

あきらめなければ、夢はかなう(その3)

前回までのあらすじ

SPZきっての知性派レスラーであったギムレット美月(33)は、SPZマットから身を引いてから、自分の理想のプロレス会場を持ち、プロレス団体に貸して使用料で食べてゆこうという野望を持っていた。引退から苦節9年、ついに東京調布に「ギムレットホール」が完成し、12月1日、こけら落とし記念興行を行うところまでこぎつけた。最初の興行は、自らのネットワークを駆使して選手スタッフを呼び集め、手作りで「タッグトーナメント」を開催する・・・

**************************

「大変長らくお待たせいたしました」

SPZの元リングアナ、今野役員62歳が久々にマイクを握った。この人も昔のよしみで日当1万円で借り出された。齢のせいか、SPZ初期の名調子は出ず、カンペを見ながらのしゃべり。

「本日はギムレットホールこけら落とし、グランドオープン記念タッグトーナメントにご来場いただきまことにありがとうございます。」

ワアアアアア!!

「本日のタッグトーナメントにエントリーの8チームを読み上げます。」

ドワアアアアアアア!!

「あいちおいでんプロレス、ウイング下地、レインボー船町組」

この会場には電光掲示板やジャンボトロンなどないので、ライラ神威レフェリーが半紙に「ウイング下地 レインボー船町」と墨書されたものを掲げる。

「上諏訪温泉地下プロレス、ジュードー・シモスワ、アイキドーオカヤ組」

「さいたまソウルプロレス、ミラクルひばり、ファンタやまばと組」

「きたぐにプロレス、デスマシーン489、ドリームマシーン583組」

このあたりはSPZ撤退後のギムレット美月と取引のある団体がエントリー。

「アメリカ独立系団体JOSより、ラフォリア、クーラント組」

名前も聞いたことのないような謎の外人ふたりがエントリーされた。

「国籍不明、マクロベータ1号、マクロベータ2号組」

そして、

「ギムレットオフィス代表、ギムレット美月&キューティー金井組」

ドワアアアアアア

ギムレットオフィスの社長、ギムレット美月もタッグトーナメントに参戦、しかもパートナーにはSPZの後輩で現マルチタレントのキューティー金井を起用。このチームが優勝候補の大本命なのか。キューティー金井(31)のコンディションが鍵か。

さらに、
「スーパースターズプロレスリングゼット代表、藤原和美、中江里奈組」

ドワアアアア

横浜のお嬢様プロレス団体・SPZも新人2名を派遣。ギムレットオフィス側から要請があった際、吉田社長も快く引き受けた。もっとも送り出したのがとにかく実戦経験を積ませたい新人2人というところがSPZらしい。

「なお優勝チームには賞金1,000円と、副賞として『喫茶あばしり』からクッキー1年分が贈られます。」

ドワハハハハハハハ!!

「せこいぞー、美月さん!!」

場内爆笑。どこまでしょぼい主催者なのだ。

「それではさっそく第1試合を始めたいと思います」

8チームの試合の組み合わせ、試合順は知らされず、テーマ曲が鳴って初めてわかるという状態。
場内に流れたのは、

「oblivion」
いきなり会場のムードは最高潮に高まった。SPZ10期のファイティングコンピューター、ギムレット美月が花道に姿を現した。

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2008年11月22日 (土)

あきらめなければ、夢はかなう(2)

ギムレット美月の「それから」FINAL

「ギムレットホール グランドオープン記念タッグトーナメント」

模造紙に殴り書きされた横断幕が会場入り口に掲げられた。美月さん、ここ数年の各団体の転戦ですっかりコネクションを持っており、どの団体も選手2名の拠出を快く承諾してくれた。

―やれやれです。

ギムレット美月、社長イスに座ってため息をつく。

ここ数日ろくに寝てないのに、6時半からファイトしなければならない。コンディションは最悪だが、話題づくりのためには主催者も参戦しなければならない。社長イスの横には、せめて食べておこうと買っておいたコンビニのおにぎりがあるが、食べる気が起きない。

「おう、美月さん!落成おめでとうございます!」

社長室のドアを開けてズカズカと入ってきたのはSPZで後輩のライラ神威(17期)彼女も、もうプロレスを引退して、石川町で居酒屋を経営しているが、きょうはお店を臨時休業にして先輩の夢の実現を祝うために駆けつけた。

「お待ちしておりました、きょうは進行を宜しくお願いいたします」

SPZで面倒を見た後輩のライラ神威に今日の試合のレフェリング全8試合をお願いしたのだ。

「はい。もう闘えない分、レフェリングで頑張りますよ」

元々は一夜限定参戦のオファーを出したのだが、腰痛をわずらっているので断られた。そこへ美月の携帯が鳴った。

「あ、美月さん?チケット800枚完売しました」

会場入り口の当日券売り場、寒空の中チケット(2000えん均一)を手売りしていた公認会計士・今野ひかる(SPZ1期)が携帯で完売の連絡を入れる。彼女もこけら落としの手伝いに借り出された。

「ここまで手作りで興行やるなんて、まるで初期のSPZみたいですね」

このあとギムレット美月、懐かしいSPZ時代のリングコスチュームに着替える。予定では第1試合に出るので試合に向けて気持ちをすばやく切り替えないといけない。

******************************

そして午後6時半、

客入れのBGMがいったん止まり、いったん場内の照明が落とされるやウァアアアアの歓声が轟く。小さい会場なのでまるでライブハウスのような雰囲気だ。

ドッドッドッドッ・・・・

設置されたボロスピーカーから重低音が流れる。

ドッドッドッドッ・・・・

観客の期待はいやがおうにも高まる。

「大変長らくお待たせいたしました」

SPZの元リングアナ、今野役員62歳が久々にマイクを握った。この人も昔のよしみで日当1万円で借り出された。

「本日はギムレットホールこけら落とし、グランドオープン記念タッグトーナメントにご来場いただきまことにありがとうございます。」

ワアアアアア

「それでは、本日のタッグトーナメントにエントリーの8チームを読み上げます。」

(続く!)

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2008年11月21日 (金)

外伝 あきらめなければ、夢はかなう(1)

筆者より、本業激務のためリプレイの進行が止まっておりますので、今日からしばらくギムレット美月の外伝でお茶を濁させていただきます。あしからずご了承願います。

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レッスルエンジェルス サバイバー
プレイ日誌のようなもの 外伝

ギムレット美月の「それから」FINAL

・・・とうとう、ここまで、きた・・・・

2036年12月1日夕刻、東京調布の甲州街道沿いにに新設なった小規模プロレス会場「ギムレットホール」の入り口に並ぶプロレスファンを眺めて、八重樫美月(ギムレットオフィス社長)は感慨にふけっていた。

現役を引退して9年あまり、自分の理想とするプロレス会場を建設し、その家賃収入で食べていこうとする計略がようやく実を結んだ。物件取得費や建設費を稼ぐためにいろいろ無茶もやった。総合格闘技のリングに上がったり金網デスマッチで闘ったり写真週刊誌に水着グラビアを撮られたり。まさに身体を張って夢の実現にこぎつけた。

やっとの思いで完成させたギムレットホール、建築費を浮かせるために300坪の閉店した家電量販店を居抜きで取得したため、ギムレットホールは一風変わったプロレス会場になった。南側がひな壇で、中央北よりに固定リングが設置された。北側と東西の客席は数列。北側の列の中央をぶち抜いて花道を作り、少しでも派手にしようと思い赤いじゅうたんを敷いた。西側のレジカウンターの部分はそのまま残し、グッズ売り場と売店に改造した。年代物のPOSレジもそのまま残してある。

北側の奥はバックヤードと事務所と休憩室があり、半分をギムレットオフィスの本社オフィス、残り半分を控室とシャワー室に改造した。シートをゆったりとした映画館タイプのものにしたため最大収容人数は800名となった。

ーああ、眠い・・・・

ここ数日、電気関係やら装飾関係で多くの業者が出入りしたため、八重樫社長は泊まりこみ続きであり、ようやく完工の日を迎えたが、こんどはプロレスラーとしての戦いが待っていた・・・・

「ギムレットホール完成をアピールするために、まずこけら落とし興行をドカンと打ちましょう」

いろいろお世話になった経営コンサルタントの先生から助言されたので、ギムレットホール旗揚げ興行は既存団体に貸さず自前で、「主催 ギムレットオフィス」でやることになった。もっとも工事費で資金をほぼ使い果たしてしまったので、ポスターは手製、チケットも当日券手売りのみとなった。

それでも「元SPZの知性派プロレスラーがプロデュースした会場のこけら落とし」ということもあって反応は上々だった。入り口には模造紙で作った横断幕がががが。

「ギムレットホール グランドオープン記念タッグトーナメント」

(続く!)

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2008年11月 6日 (木)

いよいよサバ2発売当日

横浜のお嬢様プロレス団体、SPZは定例の興行を横浜スペシャルホールで行っていた。

休憩前の第3試合、3シリーズ限定参戦のフリー選手がSPZマットに登場。

初参戦した選手の名は、大空みぎり。もとはバレーボールをやっていたが、ヒザの怪我が元で引退し、プロレスと総合格闘技に第2の人生をかけることになった。まだシリーズフル参戦ができないため、どこの団体にも所属せず、フリー扱いであちこちの団体にスポット参戦しているが、その長身から繰り出されるパワーは脅威。

対戦相手はSPZの看板レスラー、小川ひかる。実力はそれほどでもないが、堅実な試合運びはファンにも会社にも一目置かれており、第1試合からメインまでこなせる器用な選手。この日は第3試合で、SPZに襲来した「外敵」を迎え撃つ。

午後7時23分、ゴング。

組み合う。が、まるで大人と子供だ。たちまちのうちに小川はロープ際へ押し込まれてしまう。

・・・まともにやったんじゃ、相手にならないですね・・・

ブレイクのあと、小川ひかるは果敢にもチョップを打っていったが

「・・・・・・・・・・・」

大空みぎり、ウンともスンとも言わず。

「くっ・・・・・・・・・・」

大空みぎり、耐久力もけっこうあるようだ。表情ひとつ変えない。小川ひかる、どう攻めたものかと、リングを回りながら考える。

「くっ・・・これでっ」

小川ひかる、右足で大空みぎりの左ひざ関節を狙って蹴りを入れる。

 「・・・・ウッ」

大空みぎりの表情が厳しくなる。サポーター越しとはいえ「爆弾」であるヒザを攻められては苦しい。

げしっ、げしっ、げしっ!!

小川ひかるが左ヒザへの関節蹴りを連発。よろめく大空みぎり。

「これは、どう?」

小川ひかる、小さくジャンプして、大空みぎりの左ひざへドロップキックを撃ち込んだ。低空ドロップキックと呼ばれる今ではけっこう使う人も多くなった技だ。

「・・・うううっ・・・」

もんどりうって転倒する大空みぎり、すかさず上に乗ってフォールする小川、

ワン、トゥ・・・・

井上霧子レフェリーのカウント、2で右肩を挙げる大空みぎり。

「効いてるぞ、ガンガン攻めろ!!」

本部席から今野社長が叫ぶ。初参戦選手にあえて実力ビミョウな小川ひかるをぶつけたのは、相手の弱点をきっちり狙うことができる、相手が本当に嫌がる事ができる選手だからだ。

・・・冗談じゃ・・・・ない、こんなのに付き合ってたら!!

立ち上がった大空みぎり、組み付いて上から小川を押さえつけると、腰に手を回し早くもパワーボムの態勢に、場内どよめく。

「・・・・はっ」

しかし小川ひかる、持ち上げられたもののうまく空中で足をばたつかせて、パワーボムで叩きつけられるのを阻止。セオリーどおりの防ぎ方。

顔面に足が当たったのか、顔を押さえる大空みぎり。

小川ひかる、その勢いでバックを取って、果敢にもジャーマンを狙ったが、体格が違いすぎて投げられない。さすがにこれは無理があった。それでも場内ドッとわく。

「・・・・・」

大空みぎり、強引に身体を入れ替え、小川の首を捕まえてDDTに切り返す。

「わああっ」

身長が高いのでこの一発でもフィニッシュホールド並みの破壊力。

そのまま上から押さえ込む。

ワン、トゥ・・・・

懸命にフォールを跳ね返す小川ひかる。体格差がありすぎるのでフォールもきちんと跳ね除けないといけない。

大空みぎり、ダメージの深い小川を引きずり起こすと、正面から組み付いてベアハッグにとらえる!多くのレスラーを屠ってきた、「悪魔の抱擁」だ!!

ドワアアアア!!

「わ・・・・・あああああっ!!」

小川ひかるの顔が苦痛にゆがむ。これは痛い。いや、小川ひかるがまっぷたつにされてしまう!!

「やばい!!」

小川ひかるはデビュー7年目、腰に慢性的な痛みを抱えている。今野役員、タオルを持ってエプロンサイドへ。大事な金づる、いや、SPZの看板選手が壊されてしまう!!

「うああああああっ」

しかし小川ひかる、諦めずに、抱きしめられながらも右手で大空みぎりの耳を狙ってチョップ。耳は鍛えようがないのでとても痛い。

二発目、三発目!!

「・・・うっ・・・・・」

大空みぎり、ベアハッグを解いて左耳を押さえる。

小川ひかる、悪魔の抱擁から脱出したものの、腰にかなりのダメージを負ったのか、ダウンしたまま起き上がれない!!マットに這いつくばってしまう。

「・・・・」

大空みぎり、気を取り直してマットに這う小川の上に覆いかぶさって、背後からフルネルソンの要領で小川の肩と首を極めた。

「・・・・・・・!!」

小川ひかるの首に電気が走る。ここまでパワーが違うと単純な技でも脅威だ。

小川ひかるの首が前方へ曲がってゆく!痛みのあまり声も出せない状況。

「いかん!」

今野社長がエプロンに上がって、白いタオルを投げ入れた。

カンカンカンカン!

試合終了のゴングがなった。

「ストップストップ、試合終わったよ」

レフェリーの井上霧子が大空みぎりに声をかけ、フルネルソンを解かせる。

「6分33秒、フルネルソンでのセコンドのタオル投入により、大空みぎりのTKO勝ち」

リングアナウンサーが試合結果を告げる。

「勝った・・・帰ろう。」

大空みぎり、しばらく痛めつけられた左ひざを押さえていたが、気を取り直して引き揚げた。

リング上には見事に玉砕した小川ひかるがマットに倒れ伏したまま。セコンドの若手が介抱する。担架出動かと思われたが、

「大丈夫です、首はちょっと痛めたかもしれませんが、自分で・・・帰れます」

若手にささやいてから、よろよろと起き上がり、そのあと一礼。

ワアアアアアアアア!!

小川ひかる、外敵・大空みぎりの規格外のパワーに玉砕してしまったが、横浜スペシャルホールに詰め掛けたファンは拍手喝采で応えた。

****************************

(サバ2発売記念に書き下ろしました。ソフトを買ってもこの状況ではやれないので、しばらくは積みゲーになってしまうかと思われます。サバ1のほうで50周年という野望(いま37年目9月まで進行中)もありますので。でもこのカードは組んでみたいので、大空みぎりについて予備知識がまったくないのですが書きました。)

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2008年10月21日 (火)

ある女の一日

SPZ社長吉田龍子の1日
9時25分 戸塚のSPZ本社に出社。
9時30分 本社朝礼。
そのあと今野役員の持ちこんだ決裁書類数十枚を内容も見ないでハンコを押す。済んだら社長室でスポーツ新聞全紙とプロレス雑誌に目を通す。
11時30分、チケット取扱い各社へお礼の電話。
12時01分、昼食。本社ビル二階の喫茶店あばしりでカルボナーラ。
13時10分。本社会議室で11月シリーズのカード編成会議。内容の半分はバカ話。16時30分、興行用ポスターの最終確認立ち会い。
17時10分、次期シリーズ主要カードのプレスリリース。
18時03分、退勤。マイカーのセルシオを運転して帰宅。

(本日筆者黒部山奥修行で24時までに更新できないため携帯からの更新、上越新幹線のなかから打ってます)

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2008年10月 2日 (木)

入場テーマ曲SS7 「Red Fraction」

入場テーマ曲SS

吉田龍子:「Red Fraction」(MELL)
ゼエッ、ゼエッ、ゼエッ・・・
2020年(SPZ12年目)8月、真夏の祭典SPZクライマックス。

吉田龍子は控室奥でぜいぜいと荒い息をついていた。今年のSクラは優勝争いが混戦となり、5連覇を狙った吉田龍子だがリーグ戦でスイレン草薙に1敗を喫してしまい、最終戦横スペ大会メインで組まれたハイブリッド南との公式リーグ戦最終戦でなんとか勝って得点を12点とし、ハイブリッド南・スイレン草薙との同率決定戦に持ち込んだ。

そして優勝決定戦第1戦、メインに続きハイブリッド南の関節技攻勢を耐えてシューティングスタープレスでトドメを刺したが、優勝するためにはなおもう1試合闘わねばならない。

ただでさえものすごい集中力を要する宿敵・ハイブリッド南との闘いを2試合、計51分闘って、吉田龍子ズタズタの状態。このあとさらにスイレン草薙との闘いが控えている。しかも相手のスイレンはセミファイナルで菊池に楽勝してさほど疲れていない。

「勘弁してくれよ・・・」

控え室の床に毛布を敷いて寝そべる吉田龍子。リング上ではボンバー来島と菊池理宇が客席へのカラーボール投げを行って場を持たせている。

「龍子さん、ここまできたら技や体力じゃないですよ。魂で勝つしかないですよ」

セコンドの同期、渡辺智美が励ます。

「魂、ねえ・・・」

 「それに龍子さん9人斬りやったことあるでしょう。」

「4年前の話だよ。それにあの時は素人が3人混じってた。」

そうこうしている間にインターバルは終わり、優勝決定戦第2試合が始まる。

 「あー、家に帰って風呂入って寝たい~。Sクラなんて、もうこりごりだ、2度と出たくない」

さすがの吉田もかなりまいっているようだ。
そこへお忍び観戦に来ていた今野前社長と小川ひかるが現れた。

「あ、社長、小川さん・・・・」

吉田は起き上がって挨拶する。

「吉田さん、もうここまで来たら勝っても負けても吉田さんの伝説は残る。好き勝手に暴れてきた方が良いと思うよ」

「吉田さんはまだ本当の力を出していないと思います。いい試合をしようなんて思わないで、やりたいファイトを思い切りやれば結果はついてくると思いますよ」

小川ひかるも助言する。
***********************
午後8時31分、いよいよ優勝決定戦第2試合が始まる。青コーナー側からスイレン草薙が入場したあと、吉田龍子のテーマ「Red Fraction」がかかる。

「♪I have a big gun 、 I took it from my Lord・・・」

攻撃的サウンドが会場に響く。吉田龍子、まだ控室奥でイスに座っていたが、この地震のテーマ曲を聞くや表情が一変した。

「さあ、いこうか。」

「♪Light up the fire、Right on the power 、
Weapon、I have it all」

吉田龍子、決然とした表情で最終決戦のリングへ向かった。

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2008年10月 1日 (水)

ギムレット美月の「それから」(4)

(頭が痛いので本日は事前に作っていた完全妄想作話をコピペしてお茶を濁します)

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ギムレット美月の「それから」(4)

東京品川にある株式会社ギムレットオフィス。10坪くらいのスペースに社長の机とイスとパソコン、そしてロッカー、来客用のソファー一式とティーセットがあるだけのオフィス。
2035年(SPZ27年目)5月のある水曜日、社長の八重樫美月32歳は社長イスに座りながらインターネットで遊んでいた。参戦オファーは向こう1週間ないので社長イスに座っているしかない。

「ああ・・・ふ・・・・」
昼下がり、お茶を飲みせんべいを食べながらぼうっと過ごしていると、ルルルルと電話が鳴った。

ーはいはい、電話ですね。
ギムレット美月、お茶でせんべいを流し込んでから受話器を取った。
「お電話ありがとうございます、株式会社ギムレットオフィスです」

相手は知り合いの不動産屋、山下開発だった。
「あ・・・・はい・・・そうですか、それでは明日、10時に現地にお伺いいたします」

その翌日、ギムレット美月は東京調布の家電店跡の物件を視察した。
国道沿いのロードサイド、しかも駐車場台数もそこそこあり、駅からも歩いていける・・・ねらい目かもしれませんね。

山下開発さんに入り口の鍵を開けてもらって中に入る。
「撤退した家電店なので中はこんな感じなのですが」

300坪くらいの店内には、殺風景なレジカウンターや伝票入れに使っていたであろうレターケースが転がっていて、フロアにはゴンドラやフック什器が撤去されず散乱している状態。壁には「安値宣言、どこよりも安い ファイヤー」などと大書かれた看板が。

―広さはまずまず。天井の高さもある。
元家電量販店なのでトイレも完備していて、売り場の奥には事務所もあった。スチール机とロッカーが無造作に置かれ、壁には「売上必達 火の玉となれ」などというスローガンが貼られている。

「この物件は2年前まで家電量販店ローカルチェーン、ソラシド社の調布つつじヶ丘店でした。ご多分にもれず昨今の家電業界の競争は熾烈で、業界首位のタナカ電気が出店したことによりあっさり赤字転落し撤退に追い込まれそれ以来廃墟になっております」

事務所の奥には休憩室があり、冷蔵庫やソファーが撤去されずに残っていた、ここにも「笑顔でクロージング 社員全員ノルマ必達 ファイト無き者は去れ」などと横断幕が。どうもこの家電店は精神主義が大好きだったらしい。

―休憩室は控室に転用できそうですね。

そのあと細かい条件面の説明を受ける。この物件を所有していた家電量販店チェーンは経営が苦しく、現金が欲しいため売却を検討しているらしく、破格の値段で売りにだされた。ギムレットオフィスにとっては大変な買い物だったが、頭の良い八重樫社長32歳は、この物件をプロレス会場に改装すれば集客が見込めることを判断し、物件取得を判断した。

売買契約の締結など、書類関係のチェックはまあ餅は餅屋ということでSPZ時代の先輩で公認会計士、今野ひかるを同席させて対応した。かくしてギムレット美月は今まで稼いだ資産のかなりの部分を使ったものの、プロレス会場用の自社物件を手に入れた。

―でも、完全な居抜きですから。内装とかそのへんに、またお金をかけないといけませんね。まずはこのガラクタを片付けないと。

引渡し日の1週間後、八重樫美月は品川の10坪のオフィスを引き払い、調布に取得した元家電店の事務所に本社を移転した。ここで改装の陣頭指揮を取る方が効率がいい。

転がっていたスチール製机のひとつをありがたくいただいて、愛用のノートパソコンを載せる。引き出しを開けるとA4にして1枚の檄文が。前に使っていた人が入れっぱなしにしておいたのだろう。

「やればできる やらねばならぬ 目標必達 」

―まるで今の私のためにあるような言葉ですね。

ギムレット美月、稼ぐためにもうしばらくはリングで身体を張らないといけない。知り合いのプロレス団体経営者に本社移転の挨拶と営業の電話を掛けまくるため、受話器に向かった。
「いつもお世話になっております、ギムレットオフィスの八重樫と申します・・・」

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2008年9月21日 (日)

オリジナルキャラ裏設定(3)横川紀行

レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記
輝くエッセンシャル
オリジナルキャラ紹介(3)

横川紀行(よこかわのりゆき:「よこ川」マスター)

非公式設定:

・1970年代前半生まれ、東京都青梅市出身。高校卒業と同時に板前の道を志し、東新宿の日本料理店「天いな」で修行を積む。皿洗い、盛付係、助板、焼き方を経て、10年の修行の末、煮方となり、新人料理人コンクールで優勝するなど将来を嘱望されたが、師事していた「天いな」の師匠が病に倒れ再起不能となり、後継者争いのゴタゴタに辟易し独立を決意。

・2006年、神奈川県横浜戸塚に日本料理店「よこ川」を開店。当初は高価格帯を中心としたバリバリの高級店だったらしいが、集客に苦戦したためあっさり当初の方針を転換し、和食中心のそれなりのお値段の居酒屋食堂にリニューアル。まあまあお客さんが入るようになり、2009年にはお嬢様プロレス団体SPZが近くに道場を構えたことにより、「よこ川」はSPZの年長組選手・スタッフのたまり場となったので、経営は好転。レスラーの底なしの胃袋を支え、いつのまにか横川マスターはSPZの内輪同然の人となってしまった。

・豪放な性格だが、仕事には真剣な一面を見せており、料理のポリシーは「素材が全て、素材のよしあしで料理の出来が99%決まる」という師匠の教えを忠実に守っているため、高額の食材をバシバシ仕入れるため利幅が低くあまり儲かっていないらしい。

・なお、雨の日や雪の日で客足が落ちたときはSPZの道場に営業の電話を入れて、食材処分をかねて大量のご馳走を大幅な原価割れで振る舞う。上原今日子や吉田龍子はこの恩恵にかなりあずかり、新咲祐希子にいたっては「最終処分場」「ブラックホール」と言われており、横川氏もかなり重宝していたらしい。

・「天いな」の師匠が亡くなる直前、銘包丁「港北」を託される。
得意料理は魚の焼き物だが、「うまけりゃ何でも作るよ」という柔軟な発想をする一面もあるので、メニューにはシーザーサラダや軟骨の唐揚げ、焼きビーフンといったものまで並ぶ。

・数人の弟子がいるが、後継者は今のところ育っていないため、70歳で引退して店を畳む予定らしい。

・2034年7月、一度だけSPZのイベントに参戦し、「あばしり」の鈴波店長と料理勝負を繰り広げる。結果は一緒に出した生ビールが審査員に効いて、鈴波店長に勝利した。

筆者コメント:旗揚げ直後からSPZを支えてきた飲食店「よこ川」の裏設定です。腹が減っては戦はできぬ、その腹ごしらえの係を担当されたのですから貢献度は大きいと思われます。30年目くらいに代替わりを検討しており、SPZ選手の引退後の再就職先にも使ってみたいと考えております。

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2008年9月20日 (土)

オリジナルキャラ裏設定(2)鈴波かすり

快方に向かっていますが、今日もまだ本編のリプレイは無理っぽい状況ですので、もしものときのために書いておいた「オリジナルキャラ紹介」を晒します、

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レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記 輝くエッセンシャル
オリジナルキャラ紹介(2)

鈴波かすり(喫茶あばしり 店長)

非公式設定:
・1993年、京都府長岡京市出身。実家は京都ではそれなりに有名な向日町のパン屋さん。姉が一人おり、実家でパン屋を継いでいる。

・お菓子作りを志し、ケーキ屋さんのバイトを転々として修行を積んだ後、東京神田のアンティークメイド喫茶「ベラヌール」の立ち上げに参加し、今の旦那と出会い恋仲に。

・「ベラヌール」でパティシェ、フロア係、飲み物軽食作りとマルチプレイヤーぶりを発揮し、2号店の店長を任され、「喫茶あばしり」と命名。

・SPZとの縁は物件を探していたらメイド喫茶に理解のある今野社長が「坪500円」の格安家賃でSPZ本社ビル2階を貸したのが始まり。以来あばしり店長として細腕で店を切り盛りする。

・戸塚という立地のせいもあり、「あばしり」はあまり繁盛していないが、SPZの若い選手から絶大な人気を誇り、SPZサイドも気を遣って商談や選手のインタビュー、記者会見によく利用してお金を落とすので、利益はしっかり出ているらしい。

・「あばしり」という名は鈴波店長が修行時代に厳冬期の北海道へ旅行した際、雪の降る網走の町で食べ歩きをしたときに、雪に足を滑らせ7回転倒したことから、「七転び八起きで縁起がいいから」あばしりの名を用いたらしい。

・ケーキ屋では下積みが長かったこともあり、粉ふるいや生クリーム作りといった基礎の技術はかなりのものを持っており、そのおかげでショートケーキが得意。「ベラヌール」で今の旦那に軽食も教わり、カルボナーラやオムライスといった喫茶店メニューもひと通り作れる。

・おっとりとして人あたりのいい性格なのだが、厳しい修行を経てきたせいか、やるときはやる。毎年12月のクリスマス時期はケーキの仕込みで店に泊まり込むこともしばしば。

・「あばしりタッグ」は店の宣伝をローコストでしたいという鈴波店長の思惑と2本目のタッグベルトを権威がなさそうな形で作りたいというSPZ側の思惑が一致して、「あばしり」がベルト製作資金のごく一部を提供したのが始まり。悪乗りして鈴波店長があばしりベルトの管理者になっていて認定証の読み上げも時折務めるが、経費SPZ持ちと言う好条件、タダで地方へマーケットリサーチに行けると考えた上での行動らしい。

(筆者よりコメント)
選手たちの行きつけのスイーツのお店を作ってみたくて、「喫茶あばしり」を登場させました。モデルは当然、パソコンゲーム「パルフェ」の涼波かすりさんです。人あたりがいいのでパソコンゲームの中では最愛クラスです。したがってこの連載にも登場させました。一期生と同じ年なのでそろそろ代替わりさせようかなと考えていますが、もうしばらくは登場させたいと考えています。

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2008年9月19日 (金)

オリジナルキャラ裏設定(1)羽山海

渡辺智美「今野さんの具合、どーお?」

ギムレット美月「ヤマは脱したかもしれませんが、午前1時時点で体温が37.0度、油断はなりませんね。夜更かしはほどほどにして早くお休みになるべきでしょう」

渡辺智美「でもでも、さっきまで余裕ぶっこいてニコニコ動画見てましたよ」

井上霧子「これは本日のリプレイも厳しそうですね。ライラ神威選手の引退シリーズが迫っているのに・・・・仕方ありません、今日はもしものときのために取っておいたオリジナルキャラの裏設定をさらしてお茶を濁す事にしましょう」

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レッスルエンジェルスサバイバー プレイ日記
輝くエッセンシャル

オリジナルキャラ紹介(1)

羽山海(リングドクター)

非公式設定:

・1987年6月21日、鹿児島県上屋久町出身。帝王大学医学部を卒業後、蝦天堂大学病院で外科医として勤務。プロレス観戦好きが好じ、「タダでプロレスが見られる」という今野元社長の甘言に乗り、SPZにリングドクターとして首都圏興行を中心に随時参戦。得意技は注射で、選手全員から恐れられている。

・医学生時代からプロレスや格闘技興行の観戦が好きで、1ヶ月に5万はつぎ込む猛者だったらしい。大学病院勤務医になってから、SPZの親会社のIT企業・エスピーソリューションの担当医となり、残業の多いSEやプログラマ相手に健康指導や予防注射をしたりしていたが、安いギャラで選手を診てもらえるリングドクターを探していた当時のSPZ今野社長と、格闘技観戦が趣味の羽山女医の利害が一致し、SPZのリングドクターとなる。

・本業は勤務医なので地方興行には帯同しないが、首都圏興行のときは顔を出し、SPZシングルタイトル戦は「この人がいるから限界までやって大丈夫」という妙な信頼感のようなのができてしまっている。

・ちなみに注射の腕はそれほどでもなく、遠慮会釈なくブスーッと注射針を刺すタイプ。産業医時代からSE泣かせだったらしい。

・親の仕事の関係で屋久島で高校時代を過ごし、寮から通学していたが、そのときに今の旦那と知り合い、医学生時代に結婚。仕事が忙しいので、子供はいないが仲むつまじく暮らしている。

・元々はおっとりとした控えめな性格だが、学生時代にいろいろあって、人のために何かをしたいと考えるようになって、医者の道を志すようになった。

・格闘技観戦が好きなのはストレス解消で旦那に連れて行ってもらったらはまってしまったらしい。ちなみにお気に入りの会場は横浜スペシャルホール。

(筆者より一言)
やはりSPZは激しいファイトが売りなので、試合後にリングに駆け上がって負けた選手の介抱をするリングドクター的な人を登場させた方が良いと考えて、6年目あたりから登場させました。(「ガキの使い」の「今夜が山田」にインスパイアされたのですが・・・)
モデルはパソコンゲームの「この青空に約束を」の羽山海巳さん。あの性格をそのまま大人の女医さんにしてみたら面白いだろうなと考え、リングドクターに起用という暴挙に出ました。プロレス観戦好きなので選手会興行にもスペシャル参戦し、麻酔注射攻撃であの吉田龍子から3カウントを奪ったこともあります。縁の下の力持ち的存在でSPZになくてはならない存在なので、今後もたまに出てくるでしょう。

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2008年8月19日 (火)

還暦記念興行の予告編

時に西暦2034年、

6月シリーズ終了後の某日、マスコミ各社に以下のリリースが送られた。

SPZ創業者にして、現在人事経理担当の今野役員がこのたび還暦を迎えるにあたり、スーパースターズプロレスリングゼット選手会は「還暦記念興行」を開催する事になりました。概要は下記の通りです。

■場所 日時 2034年7月24日 後楽園プラザ 18:30~

主催:スーパースターズ・プロレスリング・ゼット選手会

協賛:株式会社スーパースターズ・プロレスリング・ゼット、SPZマスターズ会、株式会社ギムレットオフィス、喫茶あばしり、日本料理よこ川

後援:大日本テレビ、京スポ新聞

**********予定カード全6試合(負傷などで変更の場合はご容赦ください)

■メインイベント:SPZクライマックス出場者8名によるバトルロイヤル

マーメイド千秋、REKI,コンバット斉藤、ライラ神威、ナイトメア神威、ノエル白石、イージス中森、武藤めぐみ)

■セミファイナル:今野役員還暦記念8人タッグマッチ

上原今日子、渡辺智美、井上霧子、今野和弘 VS 吉田龍子、ギムレット美月、エル・オガワ・メンドーサ、若林太郎(京スポ新聞)

■特別試合(試合形式はお察しください)

横川紀行(よこ川) VS 鈴波かすり (喫茶あばしり)

■普通のシングルマッチ

八島静香 VS スカーレット小縞

■ラダーマッチ 3WAY戦

ハイブリッド南 VS 菊池理宇 VS ロイヤル北条

■SPZ永久選手権試合

ライラ神威(永久王者) VS ハリケーン神田

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2008年7月30日 (水)

SPZ外伝?ヤング井上霧子(1)

(筆者より)

先ほど白馬から帰って来ました。もうズタズタです。

とりあえず未発表のSSを晒してお茶を濁します。

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レッスルエンジェルスサバイバー 
プレイ日誌の外伝

「ヤング井上霧子」

横浜戸塚に本拠地自社ビルを構えるお嬢様プロレス団体「SPZ」のスカウト担当役員、井上霧子は時々若手選手から身の振り方について相談を持ちかけられる。

「こんな仕事辞めたいです」「プロレスをやっていく自信がなくなりました」「どうやったら勝てるのかわかならくなりました」「シングルマッチで全然勝てません」「頭から落とされるのが本当に怖いです」「つきあっていた彼氏に振られました」

最後のはともかく、原石を掘り出してきた井上霧子にとっても大成しないまま辞められるのは困るので、まずは親身になって話を聞く。選手間の人間関係が原因の場合は仲裁に入る場合もあるが、リング上のこととなると冷たく言い放つ。

「プロレスっていうのは、技じゃあないのよ。バカヤロウって言って、相手を殴って蹴る、それでいいのよ。だから考えないで暴れなさい」

このお話はSPZの裏番、井上霧子が若かった頃のお話。
1995年4月、井上霧子は中学3年生。川崎市内のお嬢様私立中学でごく普通の中学生だった。しかし、平穏な生活を一変させる出来事が起こった。

「霧子ちゃん、ちょっと割りのいいバイトしてみない?」
井上家と家族ぐるみで付き合いのある近所の知り合いのおねえさん、高橋弘美が声をかけてきた。高橋さんは東京を地盤として活動しているプロレス団体、「関東女子プロレス」のベテラン選手で、井上霧子もよくタダ券をもらって観戦に行っていた。

「来月の定期戦、手伝いしてくれる人がいないのよ。」

「・・・えっ」

断るのも角が立つので、井上霧子は高橋さんに連れられて東京・大森にある関東女子プロレスリングの事務所に出向いた。そこの社長は大変いい加減な性格で、「ルックスはいい、オッケイ!」などと言って採用を即決し、臨時雑用係りとして日給5000円で採用が決まった。14歳の子を働かせるなど労働基準法違反だが、そうは言ってもいられない。プロレス興行は意外と労働集約型の産業。リングの組み立て、控室作り、選手の誘導、会場整理、ポスター貼り・・・・

「ゴールデンウィーク・関東女子スーパーファイト」と称して、関東女子プロレスはGW機関を利用して首都圏各地で5試合興行を打つ。この団体は移動するのが面倒くさいのと宣伝営業が面倒くさいので関東でしか興行しない地域密着型、悪く言えばどローカル団体。

―ま、いいか、買いたかったCDや服もあったし。

井上霧子は深く考えず、雑用係としてサーキットに同行するようになった。高橋さんの車に乗せられて会場へ行ってイスを並べたりリングを組み立てたりという労働に励んだ。だがこれはこれでお祭りの仕掛けができて来るようで楽しかったし、この経験が後年SPZを立ち上げる際に非常に役立ったと本人は述懐している。

(続く・・・のか?)

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2008年7月27日 (日)

第465回 25年目9月 それぞれの幕間

25年目9月 それぞれの幕間

「わー、かわいいー、はなこちゃんっていうのー、いま何歳?」

「ろ、6さい・・・・です」

SPZ取締役人事経理担当役員今野和弘(59)は、道場に娘を遊びに連れてきた。今週は母親が北海道へ出張に行っているので、一人で自宅において置くのもかわいそうなので会社に連れてきたのである。普段は強面の八島静香やハリケーン神田も満面の笑みを浮かべた。

「このコ、今野さんの娘さんですかぁ」

道場に集まっていた選手がいっせいに取り囲む。

「・・・まあ、ね。」

 「凄いよね、53で子供作るんだから」

「よ、吉田さん!!」

ハリケーン神田や八島、カミスワといった若手選手が花子と遊んだりしている。

 「リング上がってみる?」

ハリケーン神田が花子に声をかける。

「は、はい」

今野花子、6歳にしてSPZ道場のリングに上がった。どたどたと走り回る。

 「お姉ちゃんたち、この上でいつもケンカしてるの?」

「ううん、ケンカじゃなくて、うーん、悪ものを倒すためにしゅぎょうしてるんだよ」

ハリケーン神田、実に苦しい回答。

 「だーれが悪者だってぇ?神ちゃん」

珍しく道場に顔を出していた最古参のライラ神威が突っ込みを入れる。

 「あーっつライラさんだーー!!うわーーーー」

コーフンの表情を浮かべる花子。

 「SPZのテレビ中継見せたらね、なんだかね、ライラさんが真っ先に見分けついちゃって。そのままライラさんのファンになったみたいで・・・」

「フツフッフ、やっぱり存在感の差ってやつかねえ、トムラウシ水、サイン入りで1本やるよ。」

 「わー、ありがとー。」

*****************************

そのころ元SPZ10期生の八重樫美月(31)は、今日もジ・オブリビオンとして負けブックを黙々と演じていた。上諏訪温泉地下プロレスの試合に出て、対戦相手のカシオペア仮面をグラウンドテクで追い込んだが、やはり三十路に入って体力の衰えは隠せず、10分で息が切れてしまった。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・・」

「FINISH!!」

がすっ!!

カシオペア仮面のカシオペアボンバーを食らって倒れ伏す。そのまま3カウントを奪われた。勝負タイム11分7秒、関節技で本気を出せばギブアップを取る事は容易なのだが、それでは盛り上がらないので手加減して負けブックを演じた。

「どうもありがとうございました。ギャラのほうは請求書をお送りいたしますので10月20日払いでブルーライト銀行の口座に振り込んでおいてください」

試合終了後、プロモーターに挨拶した後最終の「あずさ」で帰京の途についた八重樫美月(31)車内でノートパソコンを開いてメールをチェックする。

ーなかなかいい物件が見つかりませんね・・・

フリーレスラー生活ももう6年が経って、ギムレットオフィスの資金もかなりたまってきたので、合間を見て物件視察に行ったがこれはという立地のものがない。東京から近くて収容力がそこそこあって駐車場もあって・・・という物件はなかなかない。

ーま、気長にやりましょう。

メールを見終わった美月、駅で買った缶ビールを開けた。

***************************

「利尻ーーーー、利尻ーーーーー、

 はるかなーーーー、旅路ーーーーーーー

利尻ーーーー、利尻ーーーーーーーーー

北の、最果てぇぇーーーーーーーーー」

(渡辺智美、歌番組で新曲「利尻島」を熱唱。)

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2008年7月25日 (金)

第463回 66666ヒット記念SS

66666ヒット記念SS ライラ神威の人生相談

9月上旬のある夜、全国のラジオリスナー、ドライバーを驚愕させる出来事が起こった.

AMラジオ「あかつきラジオ」の人気番組、「大友勝彦のかっちゃんワイド」に、ライラ神威がゲスト出演した。

「本日のゲストは、あの横浜のお嬢様プロレス団体、スーパースターズプロレスリング・ゼットの永久チャンピオン、ライラ神威選手です」

パーソナリティ・大友勝彦が特別ゲストのライラ神威を紹介する。

ふっふっふ、もっと褒めなさい」

あの極悪人、ライラ神威がラジオ番組に出演するとはどんなずるい手を使ったのだろうか。しばらくは雑談が続いたのだが、話の内容が先日のSクラの事に及ぶや空気が凍りついた。

 「SPZクライマックスは残念な結果におわりましたが」

あんなの別に関係ねえ、SPZ永久チャンピオンの私があんなリーグ戦に本気出すわけねえだろ。せっかくコンバット斉藤を優勝さしてやろうと思ったのに、勝手にこけやがって武藤のアホが優勝してもうた。それだけさあ」

 「来年は予選会スタートですね」

「文句あんのか、ああ?」

「いえいえ、じゃ、じゃとりあえずここで一曲、渡辺智美のニューシングルで『利尻島』」

険悪な雰囲気を察してここで演歌を1曲流してそのあとCM、その次のコーナーは・・・リスナーからのおはがきを紹介するコーナー・・・・

「続きましては、かっちゃんワイド恒例の人生相談です。今日はライラ神威選手が特別に回答していただけるとあっていつもの10倍のハガキが・・・」

「たりい。なんであたしがそんなのに答えなくちゃならねえんだ」

ライラ神威、用意された缶ビールを飲みながら人生相談に答える。なんてやつだ。

「それでは最初のハガキ、千葉県柏市にお住まいのラジオネーム、みなと男さん33歳会社員からのハガキです。『最近仕事が厳しくて、上司にいじめられて会社へ行くのが億劫になってきました、どうしたらいいでしょうか』さてライラ神威さん」

 「馬鹿かコイツ。気にいらねえやつがいたらぶん殴って血の海に沈めちまえばいいんだ。それができねえヤツは本当は今の状況を受け入れているだけの、ただのマゾなんだよ」

身も蓋もない回答に大友さん凍り付く。

「うっわーーー。つ、次のハガキ行きます。東京都府中市にお住まいのラジオネーム、アゲクのはてさん22歳学生からのハガキです。『就職活動の面接で自己アピールできず上がってしまって、しどろもどろな受け答えしかできないためかいい結果が出ず二次面接に進めません。どうやったら克服できるのでしょうか』 てライラ神威さん、レスラーの立場から適切なアドバイス・・・」

「バカか。面接ごときでオタオタするたあ、そんなんじゃこれから先も見込みないね。でもまあ答えにならねえからこんなんでどーだ。ウイスキーをあおってから面接に行け」

「うっわー。そ、それでは次のハガキ行きます。神奈川県小田原市にお住まいのラジオネーム、リーフさん16歳、あー、これはレンアイ相談ですねぇ、『付き合ってる彼が引っ込み思案で手もつないでくれませんし、優柔不断な性格ですぐ他の女の子に目移りして・・・』」

「略奪しろ、次」

「うわー、一言で片付けましたね。それでは次、東京都日野市にお住まいのラジオネーム、ギガーさん27歳会社員から、『今年の夏初めて北海道へ行くんですけどお勧めの北海道観光コースを教えてください』、さて北海道出身のライラ神威さん」

これのどこが人生相談なんだ?ええおい!なめとんのかこのギガーとかいうやつ。まあ教えといてやる、洞爺湖、支笏湖、阿寒湖、摩周湖、屈斜路湖、あとはトムラウシ温泉だ分かったか、このアホウめが

「今のはわりとまともな回答でしたね、それでは次、埼玉県鴻巣市のラジオネーム、ジャニスさん37歳会社員から、『同期のみんなが課長に出世したのに私はいつまでたっても人事考課が低いので平社員から抜けられません。どうすればいいと思われますか』さてライラ神威さん」

なんてやつだ。人の評価のために仕事やってんのかこいつわ。カムエクの山奥で頭を叩きなおして来い!!楽しくなけりゃぁ辞めちまいな。フッフッフ、次

「はい、エーと次は東京都中野区にお住まいの会社員、ラジオネーム・ゼリーフィッシュさんからのおハガキ、えーと『もう25歳になるのですが年齢イコール彼女いない歴で、なかなか異性に知り合うチャンスがありません、ライラさん誰かSPZの若い選手を紹介してくださ・・・』

バカかこいつ。こういうやつにはエロゲーでも与えとけ!空から降ってくると思ってんのか、ああイラついてきた。今日はこれで終わり、ついでに大友、キサマを血の海に沈めてやる、何であたしをこんな番組に出すんだ!!うぇーははははは!!」

ドカッ、バキッ、ぼぐげしっ!!

「ぐぎゃあーーー」

あっという間にテーブルを叩き割りスタジオを破壊し、止めようとした大友勝彦をイスで殴打した挙句、隠し持っていた栓抜きで一撃。

「ぐふっ!」

大友パーソナリティは気絶した。そのまま高笑いしつつライラ神威のテーマ曲「COLLECTIVE」が流れ、ラジオ番組は終わった。無茶苦茶な内容だったが意外に筋の通った回答で?リスナーからは予想に反して好評だったらしい。

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