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2016年10月13日 (木)

第2,142.5回 あの空の向こうで

時に、西暦2103年。

SPZの現役最年長選手、スカルオークこと雛鶴さやかは、移動バスの中でノートパソコンを広げ、アメリカの格闘技団体のサイトにアクセスしていた。

バスの一番後ろの席、SPZの怪奇派ヒールでも、リングを降りれば物静かで面倒見の良い女性。

(あいつの結果どうなったかな)

昨日行われた、ロス郊外での格闘技興行。それに後輩の窪川希望(TMクローンズ)が出場している。

試合結果が小さく英文で記されている。雛鶴は心もとない英語力で丹念に読んでいくと、昨年までタッグを組んだ後輩の名を見つけた。

2.WINNER Nozomi Kubokawa 2R 1.15 Arm Lock LOSER Bethany

(やったか、あいつ・・・)

ことしの春に活動の拠点をアメリカに移した窪川希望、トレーニングのかたわら月1回のペースで総合格闘技の大会に出場し、4試合目にしてついに勝利をつかんだ。

(ま、相手のレベルがわからんから、話聞いてみるまでは喜べんけどな)

総合格闘技に出てくる選手のレベルはピンキリ。レスラーで稼げなくなった選手が流れるケースもあるし、アマレスやボクシングでかなりのところまでいったファイターもいる。

バスは興行会場である宇都宮市の体育館に到着した。

去年の大晦日、SPZを退職して鳴り物入りで総合格闘技の試合に出場した窪川希望は準備不足もあり惨敗を喫したのであった。この結果を良しとしなかった窪川は、単身アメリカに渡り、生活の拠点を移し格闘家として修行を続けている

(あいつもあの空の向こうで苦しんでいるからなあ、こっちも腰が痛いとか言ってられんよ)

雛鶴さやか、会場の外周を軽く走ってからフリーウェイトのトレーニングと、日課にしている試合前のルーティーンをこなした。

試合開場から第1試合開始までの間で、自分の顔にペイントを施す。これが怪奇派戦士、スカルオークになるための儀式。

(もう少しだけ、頑張ってみるか・・・)

スカルオーク、26歳の秋。

2016年9月23日 (金)

第2,134.5回 Sクラ予告編

95年目8月
SPZクライマックス予告編

◆真田美幸(22)6年連続6度目の出場
第93回大会優勝 
回したいと思います」
◆ハチェマレ・ジニアス(年齢不詳)3年連続3度目の出場
第94回大会優勝
◆ファンシー長沢(18)2年連続2度目の出場
SPZ世界王者

以下は予選会勝ちあがり組。
◆スーパーカムイ(年齢不詳)6年連続6度目の出場 Aブロック1位通過
◆瀬戸田光(23)7年連続7度目の出場 Bブロック1位通過
◆橘みずき(22)3年連続4度目の出場 Aブロック2位通過
◆中瀬ピラニア(20)初出場 Bブロック2位通過
◆中神朝香(19)2年連続3度目の出場 プレーオフ通過

ことしもまた8人の選ばれた戦士による過酷なリーグ戦が始まる。

京スポ新聞記者さんの予想では、本命はなんといっても現SPZ王者のファンシー長沢。トップグループ入りを果たしてからもその全力疾走ファイトはとどまるところを知らない。

対抗してくるのは前年の覇者、ハチェマレ・ジニアス。たぐい稀なセンス、そして完成された技と力。この両者がおそらく最終戦横浜のメインでぶつかる。それまで取りこぼし無く上がってこれるか。もちろん元SPZ王者の真田美幸、スーパーカムイもこの2強をブッ倒そうと一発狙ってくるだろうし、2年前の壮絶な決定戦で真田と最後まで優勝を争った瀬戸田光も健在をしめそうとしてくるだろ・・・あと、入社6年目でやっとSクラ出場権を勝ちとった苦労の人、中瀬ピラニアにも注目。

***************************

しかし、瀬戸田光と中瀬ピラニアはそれぞれ7月シリーズで古傷を悪化させ、シリーズ出場が危ぶまれていた。

「あ、う、くっ・・・・」

瀬戸田光、7回目のSPZクライマックス参戦だが、腰痛が酷く歩くのもやっと。

「瀬戸田ちゃん?やれるの?」

練習もろくにできないので、小川あかりレフェリーが欠場を暗に勧める。

「ううう・・・やります。たぶん・・・・」

弱々しく口を開く瀬戸田。

「Sクラ、出られるの・・・今回が最後だから」

*********************

中瀬ピラニアも顔をゆがめていた。脇腹の負傷を悪化させ息をするのも苦しそう。

「やっとSクラにでれたんだ・・・次は、公式戦で一つ勝つのが目標・・・・っ」

2016年9月12日 (月)

失意の旅立ち

時に西暦2103年。

元SPZ世界王者、TMクローンズこと窪川希望は、羽田発の深夜便、ロス行きの飛行機に乗るため、羽田空港へ向かっていた。

(このままじゃ、終われない)

昨年末、初出場した総合格闘技の大会で惨敗を喫した窪川希望、病院に救急搬送され、1月前半は病院のベッドの上で過ごした。

ネットや週刊誌では「SPZ 剥げたメッキ 最強の称号」「契約金に目がくらんだ女」「そもそも準備不足」と叩かれ、失意のどん底に落とされた窪川希望だがようやく立ち直り、軽いトレーニングを再開するまで体調は回復した。

ー世界で一番、強くなりたい。

そのために窪川希望は、総合格闘技の本場アメリカで実戦経験を積むべく無期限の海外遠征を決意した。

都内のマンションを引き払い、持っていた3台の高級外車も処分した。

しばらくはロス郊外の安アパートを拠点に、エージェントのつてで見つけたボクシングジムに通いながら、上がるリングを探す。

ー今までの自分はなかったことに。もう一度、肉体を、技術を、精神を作り替える。

窪川希望24歳、

新たな闘いの始まり。

2016年9月 5日 (月)

残り3年・・・

先日ようやく97年目に突入しました。

ファンシー長沢とジニアスがトップ争いを繰り広げています。

残り34か月、まあできる範囲で頑張ります。

2016年8月26日 (金)

世界で一番強くなりたいX6

「希望―――!!」
スカルオークの悲鳴も届かない。

体を入れ替えられてのしかかられる。至近距離から顔面に拳を入れられる。一発、2発、三発、飛び散る鮮血。危険と判断したレフェリーが試合を止めた。
カンカンカンカン
1ラウンド37秒、窪川希望、KO負け。

滴り落ちる鮮血にまみれて力なく横たわる窪川希望。目の焦点が合っていないし首も据わっていない。

静まり返る場内。

駆け上がるリングドクター、

力を失い横たわる窪川の姿がオーロラビジョンに大写しになる。

SPZで一時代を築いた選手がもろくも沈んでしまった。

「希望!!なにやってんだ!」

最前列で観戦していた雛鶴さやか、思わずリングに駆け寄ろうとしたが当然スタッフに制止される。

窪川希望、意識が戻らず担架で運ばれる屈辱を味わい、そのまま医務室に直行となった。

***************************

その2時間後、SPZ役員会議室、

大晦日特番録画中継で先月まで在籍していたレスラーが無惨に倒されるシーンを見たセブン山本社長

「あー」
うめき声をあげ、ため息をついた。

山本社長自身、厳しいかもしれないと思ってはいた。プロレスとは全く別の競技。わずか1か月の練習では適応できるはずがない。しかし彼女のたぐいまれな格闘センスなら爪痕、存在感くらいは残してくれるとは思っていたが、現実は残酷なものに終わった。

(やはり入門時に、彼女は「総合参戦はしません」と契約書で縛っておくべきだったか・・・・)

大量離脱後のSPZの契約書では、退職後5年間はほかのプロレス団体への参戦を禁じる条項が盛り込まれているが、こんかいはプロレス団体への参戦にあたらないので止めようがなかった。

心配した取引先数社から電話やメールが入ってきたが、「窪川は元うちにいた子ですがもう退職したので」と返し続けるのが面倒臭くなったのでそのまま鳴るに任せた。
(集客に響くかもなあ・・・)

分かっているファンがすべてではない。なにしろ4か月前のSPZクライマックスでは準優勝した選手の醜態。

山本社長はなおも「TMが沈みました!」を絶叫連呼するテレビを消して、自棄酒の缶ビールをあおった。

2016年8月25日 (木)

世界で一番強くなりたいX5

「雰囲気に流されるなよ!いっていつもみたいにかましてこい!!」

(いまさら言われなくても・・・わかっている)
渡されたマウスピースを口内に装着する。

リング中央に歩み寄る。

カンっ

窪川希望VSトランス・クラウディア

いつもと違う甲高い音色のゴングが、

鳴った。

踏み込む。ぶつかる。撃ちこむ。拳で打つ。肘で打つ。腕を取って倒そうとする、踏んばられる。もうひとつ殴る。組みつく。引きずり倒す。腕を取っていこうとする。読まれていて防御される。グラウンドの状態で殴る。殴り返される。一瞬怯むが殴り返す。思い切り肘を入れる。もう一度右腕を取る。ひねりあげようとする。力でこらえられる。一瞬動揺する。隙を突かれて下から頭突きを入れられる。鼻に入る。鮮血が飛び散る。絞っていた力が緩む、相手の左の打撃がこめかみに入る。
窪川希望の意識は闇に落ちた。

「希望―――!!」
スカルオークの悲鳴も届かない。
体を入れ替えられてのしかかられる。至近距離から顔面に拳を入れられる。一発、2発、三発、飛び散る鮮血。

危険と判断したレフェリーが試合を止めた。

2016年8月24日 (水)

世界で一番強くなりたいX4

「それじゃあ、行きますか」

ペットボトルの水を一口だけ含んで、花道につながるドアを開けた。
このとき窪川希望は、心地よい戦慄のようなものを確かに感じた。
(市ヶ谷さんと初めてやった時も、こんな感じだったかしら・・・)

どわあああああ!!

花道を淡々と歩いてリングに向かう。TMクローンズの時と違ういでたちに場内どよめき。
長い花道をスタスタと歩いて、4本のロープ、上から2番目と3番目のロープの間をくぐってリングイン。

そのあと場内暗転し、対戦相手のトランス・クラウディアが入場してくる。だんだん大きくなってくる対戦相手の姿を見据える。

(事前にビデオは見たけど・・・実際に対峙すると殺気をビンビン感じる・・・)

「北米マーシャルアーツルール・・・5分3ラウンド、フリーノックダウン制で行います」
「赤コーナー、167cm、71キロ、窪川希望―――」

どわああああああ
レスラー時代には公表していなかった体重がコールされる。

「青コーナー 175cm、80キロ、トランスー、クラウディア―」

一回り体格が自分より大きい。二の腕や太ももはかなり筋肉が発達している。事前に目を通した資料では総合格闘技で15戦のキャリアを持つかなりの猛者だという。
「セコンドアウト」

羽織っていたTシャツを脱いでセコンドに渡そうとしたとき、
「TMー,いや、希望―!」
(リングサイドから聞き覚えのある声がする、あれは)

リングサイド席最前列で声援を送る見覚えのある顔、SPZで1期先輩だった雛鶴さやか(スカルオーク)がいた。ペイントをいないが、長身と染めた金髪頭ですぐわかった。どうやら自腹で5万円の特別リングサイドのチケットを入手したようだ。

「雰囲気に流されるなよ!いっていつもみたいにかましてこい!!」

2016年8月23日 (火)

世界で一番強くなりたいX3

窪川希望、いったん控室に入って、マネージャー、トレーナー、スパーリングパートナーなど、陣営のスタッフと打ち合わせ。
そのあとリングを使っての最終調整。

(あ、もう、受け身もやらなくていいんだ)

この会場にはもう30回くらい足を運んでいるのだが、いつもはリングを使った練習はロープワークと受け身から始めていた。思わず苦笑する窪川希望。
スパーリングパートナーとスタンドの攻防やグラウンドの攻防をひとしきりやって、リングの感触を確かめる。

「勝算?どうでしょうね。格闘技は相手あっての世界ですから、でもまあ、今日までやってきた自分を信じるだけです」

そう言い残して控室に消えた。

そして午後5時開場、午後6時試合開始。前半の男子選手の試合が淡々と進んでゆく。
窪川希望、淡々とした表情で、ウォークマンの音楽を聴きながら、自分の出番を待った。
「そろそろだわね・・・」

6時半になるころ、窪川希望は更衣室でおろしたてのリングコスチュームに着替えた。レスラー時代と違って上下がセパレートのタイプ。トップスはスポーツブランドのきつめの黒いタンクトップ、ボトムスはサイドに白い線が入った同じ色のスパッツ。

リングシューズは履かず、素足にテーピング。そのあとオープンフィンガーグローブを装着。ここで前半の試合が終わり、場内が20分の休憩に入った。

「・・・さあ、いきましょうか」

窪川希望、デザイナーズブランドのTシャツを羽織ってから、トレーナー、マネージャーに声をかけると、赤コーナー通路へ向かった。
ここでもお台場テレビの直前のインタビュー録り。

「いまさらじたばたしても仕方ありません。対戦相手の腕関節をもっていく。それだけです。」

プロレスの時は観客を楽しませるため、10分か15分遊んでから仕掛けるというプロセスが必要だった、が、ここではそんなものは必要ない。

ほどなく休憩時間が終わったのか、ざわついた場内が静まり、自らのテーマ曲「SPEED TK REMIX」がかかる。

別の曲をリクエストしていたのだが、大人の事情でレスラー時代につかっていた曲が入場テーマになってしまった。

「それじゃあ、行きますか」

2016年8月22日 (月)

世界で一番強くなりたいX2

世界で一番強くなりたいX

時に、西暦2102年12月31日

1か月前までSPZでプロレスのリングに上がっていたTMクローンズこと窪川希望は、大晦日の格闘技イベントのリングへ向かっていた。

「プロレスで頂点を極めた女、TMクローンズこと窪川希望」
「真の最強の称号を求め、今夜、総合格闘技初挑戦」

SPZで活躍したころの映像が流れる。
「ひぎゃああああ」
「うおおおおおお」
「あああああっ」
「ぬまーーっっ!!」

対戦相手の市ヶ谷レイカ、遠藤亜美、遠藤真美、我那覇愛らSPZで一世を風靡した名選手の悲鳴残酷シーンのVTRが。そのあとポーカーフェースでSPZベルトを巻くTMクローンズの姿。

(映像提供大日本テレビ)

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(くあーー・・・やっぱり絵が流されたか)
大晦日の夜、会社でテレビ観戦していたセブン山本社長。大日本テレビサイドには映像を流さないでくれとお願いしておいたが、大人の力関係なのか、もっと上のルートで映像が渡ってしまったようだ。

2時間あまりの興行を5時間の番組に編集したためか、TMクローンズのプロレスの映像、格闘技に転身してからの練習風景の映像がドキュメンタリー形式でけっこう長く流された。

そのあと試合当日のドキュメント

午後3時、窪川希望が支援者の黒いワンボックスでさいたまドームの会場入り。
ガラっ

引き戸が開き、後部座席から黒いデザイナーズブランドのジャージに身を包んだ窪川希望がボストンバッグを持って現れた。プロレスラーのころは赤くしていた髪を黒く戻したが、そのほかの風貌はあまり変わっていない。

「おはようございます。」
「いつもは車で、会場入りされてましたが・・・」

TMクローンズが高級外車好きなのは関係者の間では有名な話。レスラーのキャリア後半のころは、タイトル戦が組まれていようが、高級外車を転がして首都圏の会場に通っていた。
「・・・まあ、この世界をなめているわけではないので。・・・自分がどうなっちゃってもいいから、勝ちたいという思いはあります。それじゃあ」

対戦相手との事前の打ち合わせも信頼関係も暗黙の了解もない世界なのだ。五体満足で帰れる保証はないので、愛車で会場入りなんてことはできない。高級外車ならなおさらのこと。

2016年8月19日 (金)

蔵出し原稿10終

―何で決めるか・・・・・

オガワの首根っこをつかんで起き上がらせる。細い腰に手をまわし、ホールドしたまま後方へ反り投げる感じでたたきつけ、そのままブリッジしてフォールする。

「ノーザンだ!」
リングサイドの観客がどよめく。

ワン、トゥ、スリー。
イノウエレフェリーの右手がマットを3つ叩いた。ゴングが鳴る。倒れ伏しているオガワを横目にコーナー2段目に上がって両手を上げ勝利をアピールする。パラパラっと拍手が起こった。

「11分23秒、ノーザンライトスープレックスホールドで、マリア・テレジアの勝ち」
自分のテーマ曲が鳴る中、悠然と花道を引き揚げ鉄扉を開ける。

その時ひときわ大きな拍手が起こった。

敗れた対戦相手がふらふらと起き上って弱々しく一礼したのだ。
―何でそこで盛り上がるのか・・・

不可解な表情を浮かべながら、2階へ続く階段を上がり、関係者以外立ち入り禁止の柵を通り、控室に戻った。

「ふぅ・・・・」
長テーブルの上に並べてあったミネラルウォーターを飲む。

―本国のマットとはだいぶ流儀が違う。あの選手は絶対的ベビーフェースだが、そんなに強くないことを売りにしているレスラーなのか。

シャワーを浴びて私服に着替え、もう一度1階の体育館へ降りて、観客に気付かれにくい花道奥でセミファイナルとメインイベントのタッグマッチを観戦。

プロレスで一番大事なのは人の試合を見ることだ。勝手のわからない異国の地ならなおさらのこと。

この試合は彼女が行っていたものと全然違い、ハードな攻防が目まぐるしく展開されるものだった。セミはまだ10代後半だがパワーのある日本人選手が暴れまわる内容で、メインの6人タッグマッチは和風装束に身を固めた選手が鋭い投げ技を連発して観客の目を引く内容だった。

―そうか、同じ内容の試合を続けないという不文律があるのか。

となるとあのオガワが仕掛けた内容も納得がいく。
そしてメインイベントは和装束姿の選手が頭から落とす投げ技を披露し、それで試合は終わった。

いったん控室へ戻り荷物をまとめる。ボストンを肩にかけ、観客のいなくなった体育館へ降りる。若手選手と団体スタッフがリングの撤収作業を行っていた。会場隅にはジャージ姿のオガワがいた。気づいたので声をかける。

「今日の試合、サンキュー」
「けっこう観客の反応も良かったです。最終戦でまた当たると思いますので、その時もいい試合にしましょう」
「・・・わかった」

そのあと会場を出てマイクロバスに乗り込み、外国人選手が全員そろったのを確認するやバスは出発した。10分くらいで市街地にあるビジネスホテルの前に横付けされた。イノウエに案内され、ロビーへ。ほどなく1020号室のカギを手渡された。

「おやすみなさい」
日本の地方都市のホテル。どこへ食事に出ればいいのか。とまどうマリアを察した隣室のサングレが
「じゃあ食べに行きますか」
「どこか知っているのか?」

「Gifuは1回来たことがあるし、だいたいホテルの周りを探せばチェーンレストランが見つかるって相場が決まっているんだ」
連れて行かれたのは駅近くのイタリアンレストランだった。
「この店は内容の割に安い」

ワインを飲みながら、ペペロンチーノのダブルを食べた。

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