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2019年10月20日 (日)

WASオールスターリーグ戦(39終)

そしてついにオールスターリーグ戦、決勝戦。
ボンバー来島VS氷室紫月。
まず青コーナー側からリーグ戦2位通過、氷室が入場。いつものように泰然とした表情で長い花道を歩いてリングイン。
続いて赤コーナー側からリーグ戦1位通過、ボンバー来島が入場。アップを入念に行ったのか、すでにうっすら汗をかいており、自身のグッズTシャツを羽織って、花道を早歩きでリングへ向かう。

リングアナのコールの後、20時32分、ゴング。
ボンバー来島の右腕には物々しいテーピングが施されていた。やはり昼の部で南に集中攻撃をされて痛めているからか。そして氷室も関節狙いや一点集中攻撃は上手い。ボンバー来島が力任せに殴ったり蹴ったりしてゆくが、氷室も右腕の関節を取って来島の勢いをそぐ。あわてた来島は5分過ぎに早くもベアハッグに。リーグ戦で痛め技として猛威を振るったベアハッグに活路を見出さんとしたが、氷室も耳そぎチョップを打って脱出。
この後氷室はボンバー来島の左足に照準を絞り、関節蹴り、アンクルホールド、股裂きと執拗な足攻めで来島に主導権を渡さない。この流れのまま10分が経過。焦れたボンバー来島は場外乱闘で流れを変えようとしたのか、転がって場外エスケープ。しかし氷室は追わずに、リング上で息を整える。こうなってしまっては来島ひとまずリングに戻らざるを得ない。しかし来島は左腕で氷室の首根っこをつかむと、ロープ際まで移行して、右腕でトップロープをつかみながらジャンプしてトップロープにちょこんと座り、そのまま足を跳ね上げて氷室もろとも場外に落とした。マットが敷かれていないのでこれは痛い。
「うおらあ」
B来島、氷室を引きずり起こして鉄柵に振る。
「終わりだ」
そして場外パワーボム。倒れ伏す氷室、リングに戻ったボンバー来島、このままリングアウト勝ちかと思われたが、氷室もふらつきながら起き上がりカウント19ギリギリでリングに戻った。15分経過。
「ウオオーッ!」
ボンバー来島、ここで勝負に出て組み付くやDDT。しかし氷室カウント2.9ギリギリで返す。ならばと来島、氷室を起こしてショートレンジのナパームラリアット。痛めている剛腕を振ったが、打った来島も痛みに顔をゆがめ、右腕を押さえてへたり込んでしまってフォールに行けない。場内はものすごい歓声と悲鳴。ここで氷室起き上がり、来島のバックに回って変形スリーパーに捕らえた!
「うががが」
懸命にロープに手を伸ばす来島、絞め落とさんとする氷室、場内ハイテンションマックス。何とか落ちる前にロープに逃れた来島だったが、意識がもうろうとしたのかたまらずダウン。氷室、ここが勝負どころと引きずり起こしてバックドロップを狙ったが、B来島も足を延ばして一瞬、セカンドロープを蹴って態勢を崩し両者ダウン。20分経過。先に起き上がった来島、氷室を引きずり起こし、そのままダッシュして延髄ラリアットを狙ったが氷室、これは読んでいて寸前で右腕で延髄をガードして直撃をのがれてダメージを軽減。バランスを崩す来島、すかさず氷室は背後に回って組み付いて逆さ押さえ込みに捕らえ、電光石火の3カウントを奪った。

[決勝戦]
○氷室紫月(21分3秒、逆さ押さえ込み)ボンバー来島●

「ギリギリで肩、上げてなかった?」
井上霧子レフェリーに確認したボンバー来島だったが3つ入りましたよとの返答、一方氷室は来島の猛攻でダメージが深いのか起き上がれない。
「ケッ」ボンバー来島はリングを降りて足早に花道を引き揚げた。
控室の椅子に腰をおろし、テーピングを解きながら「詰めが甘かったかな。もうちょっと大技を積みあげてから勝負に行ったほうが良かったかな、ま、しゃあない」と反省の弁。

かなりの時間をかけて起き上がった氷室だったがダメージは深く、勝ち名乗りを受けて優勝記念トロフィーにタッチするのがやっとで、予定されていた表彰式と優勝者インタビューは割愛され、セコンドの金森麗子の肩を借りて花道を引き揚げた。控室でぶっ倒れる氷室。やはり来島の圧倒的肉体から繰り出される攻めをしのぐのは大変だったようだ。

かくして東京大会夜の部も終わり、全16興行をつつがなく終えた。ほとんどの会場は満員御礼が出てパブリックビューイングの集客、グッズ販売の利益などで数十億単位の収益を稼ぐことに成功した。波及効果を含めると経済効果は100億を超えるだろう。
「やれやれ」
実行委員長の小淵沢、広告代理店の幹部が安どのため息。氷室とB来島を決勝戦進出に選んだのは小淵沢の発案。ベルトを巻いている選手を決勝戦に出してしまうとそれ以外のトップ選手を傷つけることになりかねないので、トップ選手は決勝戦に出さない流れとしたのである。
「ああ、いろいろしんどかった、、酒でも飲みに行きますか」
「そうですね」
撤収が始まった新日本ドーム、実行委員会スタッフは打ち上げと称して銀座に呑みに出かけた。

2019年10月13日 (日)

WASオールスターリーグ戦(38)

(38)

最終戦・新日本ドーム大会 夜の部後半戦

第5試合
武藤めぐみ、結城千種、○成瀬唯(15分0秒、横入り式エビ固め)南利美、コンバット斉藤、渡辺智美●

休憩明けはソウルジャーとSPZの激突。SPZ側は南が昼の部で消耗していることもありコンバット斉藤が出ずっぱり。武藤と結城は流れるような連携を見せてコンバット斉藤を追い込み、あわてて出てきた南も武藤がネックブリーカーで鎮圧。最後は「成瀬さん決めて!」と叫んでから分断作戦を仕掛け渡辺と成瀬の1対1の状況。ヘッドバットで気を吐いた渡辺だったが、結城がどさくさに紛れてえぐいバックドロップ。これで弱った渡辺を成瀬が横入り式エビ固めで仕留めた。

第6試合
B市ヶ谷、○R北条(11分44秒、片エビ固め)草薙みこと、小川ひかる●
※DDT

SPZタッグ王者に何度も輝いた草薙小川。そして市ヶ谷R北条も新女のタッグベルトを何度も取っているまさに夢の対決。しかしこのシリーズの小川ひかるは本来の力を封印しジョバーに徹しているので、いつも通り小川がやられまくる展開。草薙はカットに出るだけという流れ。これが自団体の興行であれば反撃して草薙につないで場内をヒートさせるのだが、今回は相手チームの集中砲火を受け続け、最後は北条のDDTに沈んでしまった。草薙ほとんど出番なく終了。

セミファイナル
T龍子○、石川涼美(22分17秒、エビ固め)M祐希子、菊池理宇●
※プラズマサンダーボム
新日本ドーム大会夜の部セミは新女のエースとWARSの狂竜のタッグ対決。大会場のセミで祐希子と組んで登場した菊池がハッスル。サンダー龍子相手にも臆せずエルボーをぶち込んでいく。そしてM祐希子も要所要所でフォロー。石川はいつも通りの春風駘蕩ファイトだが、これはサンダー龍子を休ませるため。息が整うとサンダー龍子がタッチを要求して、繋いでまた熱い攻防を展開。こうなってくると4人のうちだれが最初にスタミナ切れを起こすかという消耗戦。だが20分を過ぎて菊池の動きが止まった、ラリアットを連続で食らって吹っ飛んでしまう。

「石川さん逆カット!」
石川がM祐希子を組み止めている間に、サンダー龍子がプラズマサンダーボムで菊池を仕留めた。菊池理宇、無念の玉砕・・・・
WARS勢はセミが終わるや手早くシャワー着替えを済ませ、メインの試合中に会場を出て東京駅に急ぎ、最終の新幹線で本拠地の大阪に戻った。

そしていよいよメインイベント、

オールスターリーグ戦決勝戦、

ボンバー来島VS氷室紫月

2019年10月 7日 (月)

WASオールスターリーグ戦(37)

(37)
かくてリーグ戦は全120試合すべてが終わった。得点経過は以下の通り
1位:ボンバー来島 21点(決勝戦進出)
2位:氷室紫月   20点(決勝戦進出)
   サンダー龍子 20点
4位:ビューティ市ヶ谷 19点
5位:武藤めぐみ   18点
   マイティ祐希子 18点
7位:南利美     17点
8位:草薙みこと   16点
9位:グリズリー山本 14点
10位:ライジン美冬 12点
    結城千種   12点
12位:ブレード上原 11点
13位:コンバット斉藤10点
    ラッキー内田 10点

リタイヤ:伊達遙 14点
     ノエル白石 4点
氷室紫月とサンダー龍子が勝ち点20で並んだが、大会規定により直接対決で勝っている氷室紫月が決勝戦進出となる。
昼の部が終わったのが午後3時20分。運営は大急ぎで夜の部のアンダーカードを決めて関係各所への通知や段取り手配に追われた。
決勝戦に出る両選手。ボンバー来島は新日本ドームの控室で裸身にバスタオルを巻いて仮設ベッドの上で横たわりぜえぜえと荒い息をついていた。痛めた右腕は保冷材にタオルで巻いたもので冷却。
一方の氷室はラッキー内田、金森麗子、吉原泉の4人で都内ホテルのロビーラウンジ個室でアイスティーをすすりサンドイッチをつまみながらミーティング。内田がノートパソコンを持参しボンバー来島の動きをチェック。昼の部の公式戦でもさしてダメージを受けることはなかった。

午後5時、最後の興行、新日本ドーム大会、夜の部の開場。優勝決定戦以外は当日になって決まったタッグマッチ主体のカード編成だが、チケットは前売り段階で完売した。
午後5時40分、氷室、L内田ら4人が滞在先の御茶ノ水インペリアルホテルのロビーラウンジを出た。タクシーで決戦の地、新日本ドームへ。
午後5時55分、控室に転がっていたボンバー来島が起き、ジャージに着替えて関係者通路をのっそりと歩きだす。動けないなりにアップを始めた。
午後6時、新日本ドーム大会夜の部開始。まずはビデオでここまでの公式戦ダイジェスト映像が20分ほど流された。決勝戦進出者は氷室紫月・ボンバー来島の2人、栄冠を手にするのはどっちか。というところで映像が終わり、ゴングが5回打ち鳴らされ試合開始。
第1試合
○中江里奈(5分28秒、体固め)富沢レイ●
※ラリアット
前座の第1試合を務めるのは新女の中江とソウルジャーの富沢。やはりパワーで上をゆく中江が優位に試合を運ぶ。富沢もコブラツイストで応戦するが、受け切った中江がラリアット一撃で試合を終わらせた。

第2試合
○沢崎光、保科優希(10分33秒、ジャーマンSH)アナスタシア、ヴァイカー●
保科がインディー連合チームの攻めを耐えながら攻め疲れを待ち、10分経過とともに沢崎が特別出演。ジャーマン一発でヴァイカーを仕留めて格の違いを見せた。

第3試合
G山本、○M千秋(9分44秒、片エビ固め)B上原、藤島瞳●
※バックドロップ
第3試合からはリーグ戦出場者が続々登場。しかしグリズリー山本は本調子ではなくヘッドギアも取れないので、ゴング前からブレード上原を場外乱闘に連れ出しそのままどこかへ消えてしまった。おそらく見えない通路で殴り合っているのか。したがってM千秋と藤島の一騎打ち状態。藤島も良く粘ったのだが、不用意に突進したところをトラースキックをぶち込まれ、ふらついたところをバックドロップで投げられて3カウントを喫した。

第4試合
○R美冬、真壁那月、辻香澄(16分45秒、ストレッチプラム)L内田、金森麗子●、吉原泉
休憩前の試合はソウルジャーとWARSの激突。ラッキー内田がねちっこくグラウンドで関節を取り、辻・真壁に悲鳴を上げさせまくったがことごとくカットされてしまった。そして15分ごろWARS軍が分断作戦を仕掛けリング上はR美冬と金森の状況を作ることに成功。蹴りが交錯する打撃戦で打ち勝ったのはR美冬。倒れたところをストレッチプラムでねじりあげてギブアップを奪った。その試合が終わると休憩。

2019年9月29日 (日)

WASオールスターリーグ戦(36)

(36)

長かったリーグ戦も公式戦最後、新日本ドーム大会昼の部。

決勝戦出場権を得る2人は誰ぞ。


○武藤めぐみ(18点)(9分40秒、エビ固め)B上原(11点)●
※雪崩式パワーボム
休憩明けの試合。武藤めぐみはここで勝てば優勝争いの可能性を残す展開なので絶対に勝たなくてはならない。ブレード上原はすでに可能性が消滅しているが、新女の古参選手の意地で武藤の猛攻を受け流してゆく。それでも武藤、ものすごい跳躍力を活かし、開始5分でネックブリーカーを決めて優位に立つ。それでもムーンサルトを転がってかわす等、ブレード上原も老獪な動き。ならばと武藤、コーナー最上段からダイブ攻撃を狙ったがブレード上原もコーナーに上がって、コーナー上で数秒のもみあいの末、雪崩式フランケンシュタイナーの態勢に。しかし武藤はこれは受けられないと踏ん張り、そのままブレード上原の両太ももを抱えてジャンプ。結果としてえぐい角度の雪崩式パワーボムのような格好でブレード上原、頭からマットへ。ブレード上原、思わぬ返し技に無念の3カウントを聞いた。
勝った武藤めぐみ、9勝6敗の勝ち点18でリーグ戦を終えた。他の選手の結果待ちだがまだ終了時点で決勝戦進出の可能性を残している。勝負どころでギアを上げるハイスパートプロレスの動きで存在感を出し、ソウルジャーの世界タッグ王者として合格ラインに到達か。
一方のブレード上原、5勝1分け9敗の勝ち点11でリーグ戦を終えた。新女のベテラン選手としていい動きを見せたが、後半戦で失速し、他団体のエース級には競り負けるなど勝ち点を積み上げることができなかった。

○B市ヶ谷(19点)(13分53秒、エビ固め)L内田(10点)●
※タイガードライバー
まだ決勝戦の可能性を残すB市ヶ谷が猛攻。しかしラッキー内田もソウルジャーの技巧派らしくグラウンド技を起点に攻め込んでゆくが、力ずくで振りほどいて立ち技に移行する市ヶ谷の破天荒なファイトスタイル。それでも間合いを取ったり場外エスケープを試みたり波状攻撃を許さなかったL内田だったが、10分過ぎに市ヶ谷の放ったコーナー串刺しラリアットで崩れ落ちてしまった。
(っ、腰が・・・)
やはりハードなシングルマッチの連戦でL内田の腰も悲鳴を上げている。チャンスと見た市ヶ谷はDDT、しかしカウント2.ならばと拷問コブラツイストでギブアップを迫ったが、L内田もなんとか耐えてロープへ。
「オーホホホホホホ」
市ヶ谷様、高笑いの後あえて乱雑に落とす受け身の取りづらいタイガードライバー。これで頭を打ってしまったラッキー内田は無念の3カウントを聞いた。
ビューティ市ヶ谷、8勝3分け3敗1両リンの勝ち点19でリーグ戦を終えた。この猛者ぞろいの中、3つしか負けず、かつフォール負けを喫したのはB上原戦のみというのはさすがという他ないが、G山本戦での暴走両リンなど確実に勝ち点を獲るという点ではやや甘さがあったか。

この結果、すでにB来島が19点を挙げているので、18点で公式戦を終えたマイティ祐希子、武藤めぐみの決勝戦進出の可能性は消えた。また、この後のメインに出る南利美の脱落も決まった。仮にメインの来島戦に勝って勝ち点を19に伸ばして来島、市ヶ谷に並んでも市ヶ谷が直接対決で来島と南に勝利しているため2位以内に入れないことが確定した。


(仕方がない。今回は私がジョバーという役回りだった・・・)
ラッキー内田、頭を抱えながら長い花道を引き揚げ、手早くシャワーと着替えを済ますやいったん会場を出て、裏口からハイヤーに乗り、行きつけにしている都内一流ホテルのロビーラウンジへ向かった。
けっきょくラッキー内田は5勝10敗の勝ち点10に終わった。自団体の興行に比べてわりとあっさり負けるシーンが目立ったが、ラッキー内田は自団体のシリーズへの影響を考え、勝ち負けにはあまりこだわらずリーグ戦の完走を第一義に考えていた節があったようだ。

○T龍子(20点)(11分45秒、エビ固め)C斉藤(10点)●
※スプラッシュマウンテン
ここまで勝ち点18で来ているサンダー龍子はここで勝てば可能性がつながるといった状況。一方のコンバット斉藤も完走者の中での勝ち点最下位は避けたいと、のっけから重い蹴りをサンダー龍子に入れてゆくが、サンダー龍子の耐久範囲を超えるものではなかった。逆に蹴り足をつかんでバッタンと倒したり、逆片エビに捕らえたりと優位に立つ。こうなってくるとコンバット斉藤は苦しい。何とか一撃を入れて動きを止めんとしたが、頭への打撃はきっちりガードしていくサンダー龍子。そして相手の攻め疲れを待ってラリアットでなぎ倒し、なんとパイルドライバーを3連発。これでコンバット斉藤はフラフラになってしまった。そしてフィニッシュはスプラッシュマウンテンを炸裂させ、コンバット斉藤を鎮圧した。
サンダー龍子、9勝2分け4敗の勝ち点20でリーグ戦を終えた。隙をつかれての関節技で南や氷室に不覚を取ったが、フォール負けは結城戦のひとつしかなかったのはさすがクレイジードラゴンといったところか。
SPZの核弾頭・コンバット斉藤は5勝10敗の勝ち点10でリーグ戦を終えた。重い打撃でリーグ戦をかき回したが、後半は蹴りに頼るファイトスタイルをトップ選手相手に対策されて勝ち点を伸ばせなかった。

○氷室紫月(20点)(1分50秒、リングアウト)G山本(14点)●
新日本ドーム大会セミファイナル。
仙台大会昼の部の伊達戦で顎にダメージを負ったG山本、一晩明けて頭痛と目まいの症状がますますひどくなっていったようで、「リタイヤも考えた」が、どんな形でもいいからこの試合を終えればリーグ戦完走になるので、テーピングを施しヘッドギアをつけてリングに上がった。もうまともにレスリングができないのでいきなり氷室に襲い掛かり、その流れで得意の場外乱闘に持ち込んだ。
場外戦が始まるやセコンドのM千秋が加勢。二人がかりで殴る蹴る。しかし氷室のセコンドについていた金森が落ち着いてM千秋を蹴りで鎮圧。
「ウガーッ」
グリズリー山本、本部席の机を持ち出し殴りかからんとしたが氷室も見切ってかわす。ならばとジュラルミンケースに手を伸ばしたが良く見ていた氷室、スピアータックルで凶器ダッシュを阻止、そして場外パイルドライバーを決めてそのあと氷室はリングに生還。この一撃で決定的ダメージを負ったG山本は起き上がれず、そのまま場外カウント20が数えられ氷室のリングアウト勝ちが宣せられた。
「良かった・・・」
氷室、勝ち名乗りを受けるや花道を引き揚げ、控室で手早く着替えとシャワーを済ませるや関係者口を出て、都内ホテルのラウンジへ向かい、盟友ラッキー内田と決勝戦の対策を練り始めた。
氷室紫月、この結果9勝2分け4敗の勝ち点20でリーグ戦を終え、メインの結果を待たずに決勝戦進出を決めた。ねちっこさとずるさと冷静さで勝ち点をうまくかき集め、誰もが予想しなかった決勝戦進出を果たした。
グリズリー山本、7勝7敗1両リンの勝ち点14でリーグ戦を終えた。実力派ぞろいのリーグ戦でも悪の限りをつくし、ジュラルミンケース攻撃、毒霧などでリーグ戦を大いにかき乱した。しかし終盤で伊達に倒されてからは失速し、優勝争いに割って入るには至らなかった。この結果、20点以上が複数名出たため19点でリーグ戦を終えていたB市ヶ谷の決勝戦進出の可能性も消えた。

「ま、仕方ありませんわね。得点争いは時の運もありますから」(B市ヶ谷)

そしてメインイベント。ボンバー来島VS南利美。本来このカードは休憩後に組まれる予定だったが、メインに予定されていたM祐希子VS伊達が流れたこともあり、勝ち点争いを考慮し急きょメインに回された。

ボンバー来島が勝てばボンバー来島と氷室が決勝戦進出。引き分けてもボンバー来島と氷室が決勝戦進出。ボンバー来島が負けた場合は氷室とサンダー龍子が決勝戦進出となる。

「嫌なタイプの相手だけど、自分のプロレスをいつも通りやれば負けない」(B来島)
「いきさつはどうあれ、新日本ドームのメインで試合できるのは光栄。あとはしっかりファイトするだけ」(南)

○B来島(21点)(23分7秒、体固め)南利美(17点)●
※延髄ナパームラリアット
「ウガーッ!」
試合が始まるや南利美がひたすら右腕攻め。要するにナパームラリアットを食らいさえしなければ負けることはないと判断したか。とにかく右腕を狙ってグラウンドでのアームロック、アームブリーカー、手を変え品を変え来島の右腕を攻め込んでゆく。そしてキーロックも披露。来島の顔が苦痛にゆがむ。
「ヌァオー」
ボンバー来島も執念でキーロックを掛けられた状態のまま南を持ち上げ、そのままマットに叩きつける荒技を見せた。のた打ち回る南。それでも起き上がってキックを右腕めがけ打ってゆく。このへん実にえげつない。
「ウオオー」
しかしボンバー来島も普段はやらない左腕でのラリアット。右ほどの威力ではないが正面から一発、後ろから一発。南をたちまちのうちに追い込む。
追いつめられた南は空中胴絞め落としで打開を図ったが、なんとボンバー来島、空中胴絞めを踏みとどまってこらえ逆に押しつぶす破天荒な返し技を見せた。南はこれで腰を少し痛めたか苦悶の表情。ボンバー来島、チャンスと見てラストライドを狙ったが南も懸命に踏ん張ってこらえる。ボンバー来島、痛む腕でダブルハンマーを何発か入れてついにラストライド炸裂!しかし南ギリギリで返す。
ならばとボンバー来島ジャーマンを狙うが南は回転エビで切り返す。カウントは2、南は荒い息をつきながら起き上がり、ボンバー来島にエルボーを乱発。しかしボンバー来島、ここで背後にさっと回り、痛めているはずの右腕で延髄ナパームラリアット炸裂!これで目の前が真っ黒になってしまった南は無念の3カウントを聞いた・・・・
ボンバー来島、勝つには勝って決定戦進出を決めたが右腕を押さえて苦悶の表情。決勝戦に暗雲が漂った・・・

ボンバー来島は10勝1分け4敗の勝ち点21でリーグ戦を終えた。出場選手で唯一の10勝。馬力と体格に物を言わせたファイト、そして延髄ラリアットとベアハッグが猛威を振るい、リーグ戦堂々の1位通過。
南利美、8勝6敗1分けの勝ち点17でリーグ戦を終えた。とにかく関節技で隙を狙う闘いで勝ち星を積み上げたが、一方で攻め込まれたときにはあっさり負けるいつもの悪癖も出て、最終戦で優勝争いから脱落した。
「まあ、大きな怪我なくここまで来れて、良かったわ」(南)

2019年9月22日 (日)

WASオールスターリーグ戦(35)

(35)
第8日 8月19日(日)
8日間ぶっ通しの昼夜開催という超ハード日程で行われた女子プロレス・オールスターカップ戦も最終日を迎えた。実行委員長の小淵沢は都内のホテルで朝のコーヒーを飲んでいた。
・・・・難しいマッチメイクだった・・・
フォール負けはいやだとか丸め込みなら可とか、敗北の理由としての負傷アングルとか、やはり団体トップどころの選手はフォール負けを嫌う。かといってあからさまな反則決着や両リン決着も時流に即さないのでなるべく避けたい。また団体間の対戦成績はなるべくイーブンになるようにしてくれという強い要望もあった。そのすべてを調整するのは骨が折れたが、何とか最終日を迎えようとしている。

・・・これ飲んだらドーム行くか。
小淵沢は静かにコーヒーカップを傾けた。

午前9時過ぎから続々と選手たちが会場入り。決勝戦進出の可能性を残す7選手はいずれも厳しい表情をしていたが、すでに脱落が決まった7選手はどこかホッとした表情で会場入り。最終日はソウルジャーのリングが使用される。

正午、昼の部が開始。
まずは前座の4試合。

○M千秋(9分37秒、体固め)成瀬●
※雪崩式ブレーンバスター
リーグ公式戦が2試合流れたため、前座試合が4試合行われることになった。オープニングマッチはマーメイド千秋が持ち込んだ紐で首絞め攻撃などの悪事を働きペースをつかみ最後は成瀬がダイビング攻撃を狙ったところを雪崩式ブレーンバスターに切り返して勝利。

○沢崎、渡辺、保科、富沢(6分43秒、ジャーマンSH)中江、R北条、アナスタシア、ヴァイカー●
伊達遙負傷欠場ということで運営は、関東地区のローカル団体、埼玉ソウルプロレスに急きょ声をかけ、中堅選手のロシア人留学生レスラー、アナスタシアの2試合参戦にこぎつけた。ルックスがいいので会場人気がある。この日はグラウンドの堅実な攻防を保科と繰り広げて実力の片りんを見せる。しかし後半は沢崎が暴れまわり、中江、R北条を立て続けにジャーマンで戦闘不能にし、アナスタシアは渡辺保科と3人がかりの攻撃で場外に放り出し、孤立したヴァイカーもジャーマンで始末した。

吉原、○金森(9分20秒、片エビ固め)草薙、小川●
※ビッグブーツ
草薙みこと、公式リーグ戦最終戦は不戦勝となったため、前座の第3試合に回り、タッグパートナー小川ひかると組んでソウルジャーの吉原、金森と対戦。ハードなシングル連戦で体にガタがきており、試合の大部分を小川に任せていた。そして小川ひかるはいつも通り相手チームに捕まるぐだぐだっぷりを発揮し、最後は金森麗子のビッグブーツに沈んでしまった。草薙みこと、ほとんど汗をかかずに東京大会昼の部を終えて引き揚げた。

M祐希子、○菊池、藤島(10分47秒、回転エビ固め)石川、真壁、辻●
伊達遙がリタイアしたため、マイティ祐希子も最終戦は不戦勝となり、前座の第4試合に回り自団体の後輩である菊池、藤島と組んでWARSの若手中堅3人と対戦。ただマイティ祐希子はまだ決勝戦進出の可能性を残しているので、最初に出て石川とロックアップとチョップの攻防を少しだけやって、あとはコーナーに引っこんで菊池藤島に任せ、もっぱら檄を飛ばしていた。そして10分経過と同時に分断作戦を仕掛け、石川を場外に落としてコブラツイスト。その間に菊池がうまく辻を丸め込んだ。

(公式リーグ戦)
○草薙みこと(16点)(不戦勝)N白石(4点)●
草薙みこと、最終的に7勝2分け5敗1両リンの勝ち点16で全日程を終えた。SPZ世界王者として大きな怪我もなくリーグ戦を完走してホッと一息。
中盤でリタイアしたノエル白石は2勝12敗の勝ち点4で最下位となった。

○M祐希子(18点)(不戦勝)伊達遙(14点)●
マイティ祐希子、最終戦は不戦勝で、最終的に7勝4分け4敗の勝ち点18でリーグ戦全日程を終えた。一気に勝ちきれず時間切れドローを4つもやってしまうなど、本来の持ち味全開とはいえなかったか。それでも終盤に盛り返し勝ち点18でまとめ、最終戦まで決勝戦進出の可能性を残したのはさすが新女の世界チャンプ。
一方の伊達遙、7勝8敗の勝ち点14でリーグ戦を終えた。リーグ戦終盤に負傷してリタイヤを余儀なくされたが、SPZ元王者としての貫録は十分発揮した。

○R美冬(12点)(20分3秒、リングアウト)結城千種(12点)●
既に優勝争いからは脱落した両者の対戦。結城千種はとにかく投げようと組み付いてバックに回ろうとするがライジン美冬も足を絡めてグラウンドに持ち込もうとする膠着した展開になった。そして流れの中でライジン美冬がヘッドショットキックやニーリフトを入れ出して結城の動きを止める。そしてライジン美冬がストレッチプラムを繰り出し優位に立つ。しかし結城もバックドロップ3連発で手数を返す。しかし4発目は体を浴びせて阻止。ここで両者ダウン。試合は盛り上がった。
(リタイアした白石さんの分まで自分は闘わないといけない)
先に起き上がったライジン美冬、ロープ際の攻防でうまく結城を場外に叩き落とし、自らも場外に降りて場外DDTを炸裂。しかし結城も起き上がり、頭を打ってムッとしたのか怒りの表情を浮かべてライジン美冬に突進していったが、フェンス手前でさっとかわされてしまい、あわれリングサイド最前列に勢いよくダイブしてしまった。この隙にライジン美冬はリングに帰還。結城千種、起き上がったのだが右ひざに痛みを覚えたのか思わずうずくまり膝に手をやる。そこで20カウントが数えられライジン美冬のリングアウト勝ちが宣告された。
ライジン美冬、6勝9敗の勝ち点12でリーグ戦を終えた。ヘッドショットキックを積み重ねて相手の動きを止める作戦はそれなりに奏功したが、トップどころ相手にはもう一つ二つ勝つための引き出しが必要だったか。結城千種は5勝2分け7敗1両リンの勝ち点12でリーグ戦を終えた。負けたくないという気持ちが強いためか、また真正面から投げ技で相手を痛めつけて勝つスタイルのためか、思うように勝ち点を伸ばせなかった。
その試合が終わると休憩。

2019年9月15日 (日)

WASオールスターリーグ戦(34)

34)
○草薙みこと(14点)(10分33秒、首固め)L内田(10点)●
休憩明けの試合は優勝争いからすでに脱落した両者の対戦だが、草薙みこと、SPZ世界王者の意地があるので懸命のファイト。昼の部で市ヶ谷と30分やっていて相手は不戦勝なので不利は免れないが、それでも相手のグラウンド攻めを懸命にしのいで、10分過ぎに相手が勝負をかけてきたジャーマンを返し、すかさず組み付いて、危険な角度で草薙流兜落としを炸裂させた。頭から落ちたラッキー内田に場内どよめき。続くフォールは返した内田だが、目の前が真っ黒になったのか、足をバタバタさせてもがき苦しむ。受け身を取りきれなかったか。察した草薙がスモールパッケージで丸め込んで3カウント奪取。

○武藤めぐみ(16点)(11分37秒、エビ固め)C斉藤(10点)●
※フランケンシュタイナー
武藤めぐみ、相手の蹴りをかいくぐりながらエルボー、ネックブリーカーで反撃。そして相手の動きが鈍ったところをノーザンライトと、いつも通りのハイスパートプロレスでコンバット斉藤を追い込んでゆく。あせったコンバット斉藤が大振りの上段蹴りを繰り出すも武藤しっかり飛びのいてかわし、バランスを崩したところを一気に間合いを詰めてフランケンシュタイナーを決めて押さえ込み、鮮やかな3カウントが入った。武藤めぐみ、勝ち点を16まで伸ばし、わずかながら決勝戦進出の可能性を残したまま東京決戦へ。

○南利美(17点)(8分33秒、飛びつき腕ひしぎ逆十字)結城千種(12点)●
伊達遙がリタイアしてしまったため、SPZで決勝戦進出の可能性を残すのは南のみとなってしまった。そしてここで負けると脱落が決まってしまうので、確実に勝ちに来た南。

(最終日を待たずして、SPZの全選手脱落が決まってしまうのだけは避けないけないわね)
そのへんは実力派団体のプライド。わざと締まらないファイトをしながら結城の攻めをある程度受けるや、いきなり飛びつき腕ひしぎを繰り出して結城からギブアップを奪った。南利美、勝ち名乗りを受けても厳しい表情を崩さず引き揚げた。

○T龍子(18点)(12分36秒、エビ固め)ブレード上原(11点)●
※スプラッシュマウンテン
仙台大会夜の部セミ。優勝争いからは脱落してしまったものの、新女ベテランの意地でサンダー龍子から一発狙っていたブレード上原が果敢に攻める。フライングニールキック、ミサイルキック、そしてパワーボムまで繰り出した。サンダー龍子のガタイ相手に決めたので場内どよめき。しかしなんとか猛攻を受け切ったサンダー龍子、猛烈なラリアットを放つも、痛めた右腕で打ったので思わず痛みでへたり込んでしまう。チャンスと見たブレード上原が首固め、逆さ押さえ込み、ラ・マヒストラル、回転エビ固めと丸め技を乱発したが、ことごとく返したサンダー龍子がDDTで動きを止め、プラズマサンダーボムを炸裂。これは返されたが、間髪入れずサンダー龍子奥の手スプラッシュマウンテンを決めて3カウントを奪い。2位タイを死守した。

○M祐希子(16点)(7分3秒、ジャーマンSH)G山本(14点)
仙台大会夜の部メインイベント。勝ったほうが優勝争いに生き残れるサバイバルマッチなのだが、グリズリー山本、昼の部の伊達戦での死闘はやはりただでは済んでおらず、ヘッドギアを装着しての強行出場となった。真っ向勝負は厳しいと考えたのか、いきなり場外に突き落としてのイス攻撃、鉄柱攻撃、鉄柵振りとラフを仕掛けるが、マイティ祐希子も場外ボディスラムで応戦。ならばとG山本はセコンドのM千秋に指示し、ジュラルミンケースを持ってこようとするがセコンドの菊池がM千秋にタックルして阻止。ならばとG山本、毒霧を噴射しようとしたが間一髪M祐希子は両腕でガードして直撃を阻止。そしてG山本に蹴りを入れてから、リング内に押し入れる。そしてダウンした状態のG山本にギロチンドロップを5連発で入れてフォール。これは返されたものの、引きずり起こしてジャーマン!G山本のガタイを完璧に投げ切り、3カウント奪取。これでM祐希子も勝ち点を16に伸ばし、最終戦の東京大会に決勝戦進出の望みをつないだ。
「クソ・・・」
ここまで極悪の限りを尽くしてきたG山本だったが、さすがに伊達戦の後にM祐希子戦は厳しいものがあったか、終盤でついに優勝争いから脱落。

9時過ぎにメインが終わり、M祐希子は手早くシャワーと着替えを済ますや車に乗り込み、仙台から最終の新幹線で帰京。都内の自宅に戻り、最終戦に備えた。

ここまでの得点経過。
1位:ボンバー来島 19点
2位:氷室紫月、サンダー龍子 18点
4位:南利美、ビューティ市ヶ谷 17点
6位:武藤めぐみ、マイティ祐希子 16点
(ここまで優勝争い圏内)

8位:グリズリー山本、草薙みこと 14点
10位:結城千種 12点
11位:ブレード上原 11点
12位:ラッキー内田、コンバット斉藤、ライジン美冬 10点

リタイヤ:伊達遙(勝ち点14)、
     ノエル白石(勝ち点4)

リタイヤが2名。ボンバー来島がまさかの19点でここまでトップ。しかし勝ち点16までの間に7選手がひしめいており、勝ち点上位2名までに与えられる決勝戦争いは混沌。公式戦最終カードが行われる東京大会昼の部はボンバー来島VS南利美の直接対決が。

7日目が終わった。

2019年9月 8日 (日)

WASオールスターリーグ戦(33)

(33)
仙台大会昼の部が終了。客だし、清掃を経て夜の部までしばしの休憩。試合を裁く4人のレフェリーも控室でぐったりとしていた。

しかしSPZの控室では異常事態が起こっていた。昼の部でグリズリー山本と激闘を繰り広げた伊達遙がなかなか起き上がれない。セコンド陣の小川、保科、沢崎、渡辺が心配そうな表情。
「これはもう駄目でしょう」
小川ひかるが断言。こんな状態と氷室紫月とやって勝てるわけが、いや、試合が成立するわけがない。しかし伊達遙はここまで14点とまだ優勝戦進出の可能性を残している。SPZの社長、杉浦美月コーチがあわてて運営と対応策の協議に出た。

午後6時、夜の部が開始。まず前座の3試合。

○藤島(1分37秒、回転エビ固め)ヴァイカー●
途中参戦の事務員兼業レスラー・ヴァイカーが初めてシングルマッチに挑んだが、あっさりと藤島に丸め込まれてしまった。

M千秋、石川、○真壁、辻(5分10秒、片エビ固め)金森、吉原、富沢●、成瀬
※エレガントブロー
WARSとソウルジャーの8人タッグ対決はWRASに軍配。真壁那月がエレガントブローを炸裂させた。

○B市ヶ谷、中江、R北条、菊池(6分55秒、エビ固め)沢崎●、小川、渡辺、保科
※ビューティボム
SPZ軍が奇襲を仕掛けてその流れで沢崎光がB市ヶ谷に真っ向勝負を挑んだが、沢崎のジャーマンを受け切った市ヶ谷が猛反撃。鋭い延髄斬り、タイガードライバーで大ダメージを負わせて最後はビューティボム炸裂で沢崎を沈めた。あとの6人は場外戦以外の出番なし。

(公式リーグ戦)
○B市ヶ谷(17点)(不戦勝)N白石●(4点)
この時点で暫定ながらビューティ市ヶ谷がトップのB来島に並んだ。しかし来島はすぐ次の試合に出る。

○B来島(19点)(29分47秒、エビ固め)R美冬(10点)●
ここまで力押しファイトが奏功し、まさかのトップできているボンバー来島。仙台夜の部はもう負け越しが決まっているR美冬なので手堅くとっておきたいところ。しかしライジン美冬のヘッドショットキック、ハイキックに大苦戦のボンバー来島。そして弱ったところをストレッチプラムで追い込まれる。しかし腰投げで切り返し、ナパームラリアットで反撃。しかし美冬も執念で起き上がり延髄斬り。そして引きずり起こしてのバックドロップ。しかしボンバー来島ギリギリでフォールを返し、押さえつけにきたところをベアハッグにとらえた。これで形勢逆転。腰の痛みに悶絶するR美冬。定石通り耳そぎチョップで抜けようとしたが有効打が打てずもがき苦しむ。
「さあ気持ちよく眠らせてやるぜ」
このシリーズで猛威を振るっている延髄ナパームラリアット、しかしR美冬返して、スリーパーで反撃。残り時間が3分、2分、1分とこのまま時間切れ引き分けになってしまうかと思われたが、ボンバー来島やっとの思いでロープに逃れ、技が解かれるやコーナー2段目から体当たり気味のタックルでR美冬を弾き飛ばす。そして引きずり起こして奥の手、ラストライドで叩きつけてタイムアップ間際に3カウントを奪った。ボンバー来島逆転勝利で勝ち点を19に伸ばし暫定単独首位に立ったが、ダメージが深く座り込んだまま勝ち名乗りを受けた。

ボンバー来島、控室に戻るやぶっ倒れたが、10分ほど横になって息を整えるとシャワーを浴び着替えを済ませて、迎えの車に乗り仙台駅へ向かい、新幹線で帰京し明日の最終日に備えた。

○氷室紫月(18点)(不戦勝)伊達遙(14点)●
伊達遙、本人的には試合をやるつもりだったが昼の部のG山本戦で頭を強打しており、歩行もままならない状態。それでも出番が近づくや本能だけで起き上がり、セコンドの沢崎、保科に手を引いてもらいながら、普段の3倍以上の時間をかけて、青コーナー通路奥にたどり着いた。しかしここで運営が用意したメディカルチェックに引っかかった。

「伊達遙、だいぶ疲れているし首が据わっていないようだが・・・やれるのか」
「・・・・やり・・・ます」
リングドクター氏が運営と電話で協議。あんな状態で試合に出したら不測の事故につながりかねないので止めるべきだとリングドクターが力説。
リングドクター氏は花道奥のパイプいすに座る伊達に問いかけた。
「72引く27は?」
 「・・・・・うう、わからない・・・」
「それじゃあ質問を変える。関ヶ原の戦いが起こったのは西暦何年だ?」
 「たいやき・・・・」

「だめだこりゃ。脳がおかしくなっている。今すぐ病院にいってこい!」
リングドクター氏が伊達の入場を止めた。

リング上、まず氷室紫月がいつものように黒と銀を基調にしたロングガウンで入場したが、伊達遙のテーマ曲はかかったものの、なかなか入場しない。本部席と花道の間を関係者がバタバタと走って往復する。ざわめく場内。ほどなく伊達のテーマ曲が鳴りやみ、小淵沢実行委員長がリングに上がり説明。
「伊達遙、昼の部の試合で頭部を負傷し、リングドクターのメディカルチェックを行ったところ、試合出場不可能と判断されたため、伊達遙はリタイアとなります。従いまして本公式戦は氷室紫月の不戦勝となります」

ええええええええええええ?

不死鳥力尽きる。場内どよめき。SPZ世界王者のベルトを何度も巻いた伊達遙がここでリタイア。
しかしここでSPZの小川ひかるがリングコスチュームの上にTシャツを羽織った格好で走ってリングイン。そしてマイクを取った。
「氷室さん。伊達さんは・・・ああなってしまったけど・・・まったく試合しないで帰るのも氷室さん的に・・・本意ではないんじゃない?」
氷室紫月、首を縦に振ってマイク。
「汗をかかないと・・・ビールも旨くない・・・」
かくて、休憩前第5試合は「特別試合」として行われることとなった。この辺はSPZ、ソウルジャー、運営の3者が急きょ考え出した苦心のアングル。

※特別試合
○氷室紫月(8分17秒、片エビ固め)小川ひかる●
※ミリオンダラーバスター
両者のファイトスタイル通り、前半はクラシカルなグラウンドの攻防。しかしグラウンドでの技術は互角だが、氷室の方がパワーがある。ならばと小川、ミサイルキック、バックドロップと大技を繰り出していったが、氷室がスリーパーで捕獲。長々と締め上げてぐったりとさせた後フォール。これはギリギリで返した小川だったが、ならばと氷室は小川を立たせて背後からコブラクラッチに捕らえ、そのまま河津落としの要領で背後にバターンと倒れ、コブラクラッチを解かないまま小川に覆いかぶさって3カウントを奪った。その試合が終わると休憩。

氷室紫月、特別試合を制して一礼してポーカーフェースのまま花道を引き揚げ、着替えとシャワーを済ますや迎えの車に乗り、仙台駅へ向かった。新幹線やまびこ号グリーン車の中で、笹かまぼこと缶ビールでリラックスする氷室、明日の最終戦に備えた。
一方の伊達遙はドクターストップがかかり、仙台市内の病院に関係者の車で運ばれ、大事を取って一晩入院する仕儀となった・・・・

2019年9月 1日 (日)

SPZオールスターリーグ戦(32)

リーグ戦も佳境。7日目、仙台大会昼の部。

(32)
○伊達遙(14点)(16分56秒、体固め)G山本(14点)●
※顔面への膝蹴り
極悪反則のオンパレードのわりに大崩れせずここまで5位タイの14点で来ているG山本。毒霧や凶器攻撃を効果的に使っており、暴走しての両リン決着も市ヶ谷戦のみ。きょうはSPZの実力者伊達遙との一戦ののぞんだが、前半は悪いことをしないで力押しのパワーファイトでスタミナを奪う作戦に出て、10分経過とともにダークサイドを解禁。場外でのイス攻撃、場外フェンスへの押し込み攻撃、栓抜き攻撃とやりたい放題。何とかリング内に戻った伊達だが、G山本はまた場外に放り投げて痛めつけようとする。ボディへの膝蹴りで応戦した伊達だが、G山本はここで赤い毒霧噴射!伊達の顔面が真っ赤に染まる。
「げひゃひゃひゃひゃ、死ねおらあ」
視界を奪われた状態でG山本がDDTを炸裂。さっとリング内に戻ってリングアウト勝ちを狙ったが、カウント19で伊達、ふらつきながらも執念のリングイン。
「げひゃひゃひゃひゃ、じゃあ完全にぶっ潰してやる」
タックルか何かを狙って突っ込むG山本、そこへ伊達はカウンターのソバット。吹っ飛んだG山本、勢い余ってこの試合を裁く佐久間レフェリー(新女)に激突してしまった。
佐久間レフェリーダウン。場外に転げ落ちて悶絶してしまった。
「げひゃひゃひゃひゃこれで無法地帯だ、千秋、アレもってこい」
エプロンにセコンドのM千秋が上がった。手にはこのシリーズ猛威を振るっている撮影機材入れのジュラルミンケースが!ジュラルミンケースを受け取ったG山本、それを伊達に向けて投げつけた。一度目は頭を両手でガードして防いだが、G山本が蹴りを入れてボディスラム、そして起きあがろうとするところへジュラルミン攻撃命中!伊達悶絶。ダウンしたままのた打ち回る。
「じゃあ今度は意識ごと完全に奪ってやるよ」
G山本、こんどはコーナー最上段に登り、M千秋からジュラルミンケースを受け取る。そしてダウンしている伊達へ3度目のジュラルミン爆弾を投下、場内悲鳴とどよめき!
「がっ」
しかしジュラルミン爆弾をSPZ側セコンドの沢崎光が間一髪リングに上がり、身を挺してジュラルミンを代わりに受けて防いだ。しかし沢崎も頭で受けてしまったので場外でもだえ苦しむ。

「!」
これで伊達遙の頭で何かがはじけたのか、まずM千秋に蹴りを入れて場外に落としてから、グリズリー山本に組み付いて膝蹴り!顔面への膝蹴り!
グリズリー山本もハンマーブロー、裏拳で応戦するが伊達一歩も引かず顎を狙っての膝蹴りを連発でたたき込む。SPZではあまりに危険として自ら封印した打撃技だ。数年ぶりに発動したキレた伊達遙に場内どよめき。あわてたマーメイド千秋がリングに入ろうとするが、フェンス外からこの流れを見ていた小川ひかるが阻止、そのままフェンス際で押さえつける。伊達遙なおも顎を狙ってのヒザ!ヒザ!ヒザ!苛烈な打撃に場内凍りつく。ここでようやく佐久間レフェリーがリングに復帰。グリズリー山本がガクッときたのを見て、伊達に離れなさいと指示。前のめりに崩れ落ちるG山本、フォールしなさいと指示する佐久間レフェリー、体固めで覆いかぶさる伊達、若干高速気味に3カウントが入った。

静まり返った場内。勝ち名乗りを受けた後も険しい表情を崩さない伊達。しかしグリズリー山本、意識が戻るやむっくと起き上がり
「やりやがったなテメー!」
リングを降りようとしていた伊達に背後から突然ラリアット!そして場外パワーボム!なおも本部席の机を持ち出し伊達を痛めつけようとしたがセコンドの小川ひかる、保科優希、渡辺智美の3人が鎮圧。SPZの若手中堅3人がかりでグリズリー山本を押さえつける。マーメイド千秋が殴りかかろうとしたが、ここで息を吹き返した沢崎がM千秋に場外ジャーマン!そのあと数分、SPZの4人とG山本のもみあいが続いたが、グリズリー山本も疲弊したのか、けっ覚えてろよ!と捨て台詞を吐いて引き揚げた。
伊達遙、勝ったもののその後に不意打ちを許し、場外でダウンしたまま起き上がれない。沢崎と小川ひかるが両脇から肩を支えて引き揚げた。リーグ戦最大のバイオレンスに場内は惜しみない拍手を送った。

○B来島(17点)(6分53秒、片エビ固め)結城千種(12点)●
※スライディング式延髄ナパームラリアット
休憩明けの試合で場内がヒートし過ぎたため、両者どこかやりにくそう。ひとまず体格にものを言わせた殴る蹴るでペースをつかもうとしたB来島だったが、結城もなりふり構わず勝ちに行こうとしたのか、開始3分の時点で早くもバックドロップへ。バックドロップ乱れ打ちで昨日のB上原戦同様、勝ちを狙ったが、2発までは受けたボンバー来島、3発目でうまく体を載せて上から押しつぶした。
「新女には一度使った手は通じねえんだよ」
フォールは2で返したが、結城なかなか起き上がれない。荒い息をつきながら上半身を起こした結城だったが、背後からボンバー来島がドタドタと走り込み、そのまま野球のスライディングの要領で倒れ込みつつ右腕で結城の後頭部へ延髄ラリアット!
「がはっ」
不意の一撃に崩れ落ちる結城、すかさず押さえ込むB来島。これで3カウントが入った。「まあ、野球の試合は良く見ていたからね。ここまで来るとひらめきや思い付きも大事っちゅうことで」(B来島)
スライディング式ラリアットというアレンジを見せたB来島が勝ち点を17に伸ばし、とうとう暫定トップに立った。敗れた結城は残り2戦でトップと5差がついてしまい、優勝戦線から脱落した。

○M祐希子(14点)(7分26秒、片エビ固め)氷室紫月(16点)●
※DDT
昨日の市ヶ谷戦フルタイムドローが尾を引いているのか、氷室の動きがいま一つ。
(この試合は無理をしないで捨てて、夜の部の伊達さんから2点を取る)
休憩後の試合で伊達が深手を負ったのを見た氷室、この試合は捨てても良いと判断したのか、祐希子相手にも対してあまり反撃せず、せいぜいボディスラムとキーロックを見せた程度。マイティ祐希子はこの試合を落とすと優勝争いから脱落してしまうので果敢な攻め。ブレーンバスターを狙ったマイティ祐希子、踏ん張る氷室、この力比べがやや長く続いたところでM祐希子が差し手を変えてDDTを炸裂させた。これで3カウントが入ってしまった。
「うう・・・」
頭を押さえて横たわる氷室だったがこれは演技。マイティ祐希子が花道を引き揚げたのを確認すると起き上がり、一礼してからリングを降りて引き揚げた。
(氷室さんずるいねー・・・・)
控室モニタで見ていたラッキー内田がぼそりと。

△B市ヶ谷(15点)(時間切れ引き分け)草薙みこと(12点)△
前半は好調だったのだが福岡大阪で悪夢の4連敗を喫し、優勝争いから大きく後退してしまったSPZ世界王者・草薙みこと、仙台大会昼の部でもセミで新女の狂乱女王・B市ヶ谷様と激突。
(投げまくってフォール勝ちできる相手じゃない。まず足攻めで崩さないと)
なんとこの試合、草薙が執拗な足攻めに出て、ビューティ市ヶ谷の動きを止めようとする。膝関節への蹴り、カニバサミ、グラウンドでのデスロック攻め・・・・まるで小川ひかるのようなねちっこいファイトスタイルで市ヶ谷の動きを止めにかかる。この辺の流れは今日の新幹線移動の中で小川ひかると考えた作戦らしい。
(伊達さんも、南さんも・・・・あなたに負けてます。SPZが4人ともあなたに負けたという結果だけは避けたい)
まず負けないことを考えて、終盤隙あらば勝ちに行くという戦法を取った草薙。
「しつこいと嫌われますよ!」
B市ヶ谷、態勢を立て直すとボディスラム、そして早くもビューティボムの態勢、しかしダメージの蓄積がないのでリバースで返されてしまう。そして草薙はすっと場外にエスケープ。セコンドの小川ひかると言葉を交わす。

けっきょく20分経過まで草薙は全く大技を出さず、市ヶ谷の左足に照準を絞って市ヶ谷の爆発力を止めた。しかしB市ヶ谷もタイガードライバーで反撃。しかし市ヶ谷、次の技に行こうとしたところで左ひざを押さえてうずくまってしまった。足攻めが相当効いているのか。両者ダウンが続く。これで試合のテンポがさらに遅くなり、市ヶ谷は息を整えてから草薙にDDTを決めたが草薙、2で返して今度はサソリ固めで反撃。ここで25分経過。何とかロープへ逃れたB市ヶ谷、うおおーと叫んでラリアットを繰り出したが下半身がついてこず腕だけで打っており草薙倒れず。逆にノーザンライトスープレックスでお返し。2で返す市ヶ谷、またも両者ダウン。残り時間3分。
ここで草薙は逆片エビ固め。しかし市ヶ谷も
「こんな技でこのわたくしがマイッタするとでも思っているのかしら?」
力ずくでロープへ。残り時間2分。
焦れた市ヶ谷は蹴りを何発か叩き込むとビューティボムの態勢に。しかしこれは読んでいた草薙、足をばたつかせて不発に!逆にバックに回ってジャーマンを狙う!しかし市ヶ谷も投げられまいと踏ん張る。踏ん張る。
「くきぃーっ!」
B市ヶ谷、力ずくでクラッチを切って体を反転させDDTに切り返す!
しかしフォールはロープに近い!残り時間1分。両者ふらつきながら起き上がる。
「けええーっ」
裂帛の気合を込めてラリアットをねらったB市ヶ谷だが、うまくかがめてかわした草薙、素早く組みついて草薙流兜落としをついに炸裂!市ヶ谷頭からマットへ!場内悲鳴!
しかし草薙もダメージが深く、這うようにして体固めのカバーへ。
ワン、トゥ・・・・・ドドドドド
残り時間30秒、両者ダウンしたまま荒い息をつく。
「ウァオー」
市ヶ谷が今度は組み付いてタイガードライバーの態勢。しかし草薙も懸命に踏ん張る。残り時間20秒、ならばと市ヶ谷、ダブルハンマーを入れてから今度はビューティボムの態勢、高く担ぎ上げてたたきつけた!残り時間10秒。
ワン、トゥ・・・・
「草薙さん返せホラ!」
ドドドドドド。
ビューティボムでも試合は終わらず。両者ダウンしたまま30分時間切れ引き分けのドローとなった。
草薙みこと、勝ち点を12に伸ばしたがトップと5点差がついてしまい優勝争いから脱落。ビューティボムの衝撃が大きいのかぐったりとした状態で小川の肩を借りながら引き揚げた。
「くっ・・・」
B市ヶ谷も優勝争いから一歩後退。悔しさをあらわにしたまま引き揚げた。

○武藤めぐみ(14点)(20分3秒、リングアウト)T龍子(16点)●
メインに組まれたのはソウルジャーとWARSのトップ対決。
優勝争いに踏みとどまるためには勝つしかない武藤めぐみ。最低でも引き分け以上で勝ち点を積み増し、1位をキープしたいサンダー龍子。しかしサンダー龍子、昨日痛めた右腕に分厚いサポーターをつけており万全の状態ではない。ラリアットもいつもの威力ではない。武藤はいつも通りドロップキック、ミサイルキック、ネックブリーカーと躍動感あふれる攻め。サンダー龍子が手数をあまり返せないまま15分経過。あせったサンダー龍子は場外乱闘で流れを変えようとしたが、鉄柵ホイップは成功したもののその後のタックルはかわされ客席最前列に派手にダイブする。
「このやろう」
すかさず起き上がり、武藤を鉄柱攻撃。そして場外パイルドライバーを狙うが、武藤もリバースで返す。コンクリート床に全身を強打したサンダー龍子ピンチ!
なんとかエプロンまで戻ったサンダー龍子だったが、リングに戻ろうとしたところを待っていたのは武藤のニーアタックだった。顔面に命中、派手に吹っ飛ぶサンダー龍子、本部席に全身を強打。そのまま起き上がれずリングアウト負けとなってしまった。
サンダー龍子。ここで痛すぎる敗北。勝ち点トップもついにボンバー来島に明け渡してしまった・・・

2019年8月25日 (日)

WASオールスターリーグ戦(31)

(31)
第7日 8月18日(土)
朝6時少し前、新大阪の新幹線ホーム、始発ののぞみ号をSPZの南利美、草薙みこと、セコンドの小川ひかる、保科優希の4人が待っていた。6時の新幹線グリーン車で東京へ向かい、そこで仙台行の新幹線に乗継ぎ昼前に会場入り。草薙みことが飛行機嫌いのため新幹線での移動となった。

仙台北アリーナは9千人収容の比較的小さな会場で、チケットも初戦横浜の次にソールドアウトした。リーグ戦の終盤2試合。勝ち点10以上の選手はまだ可能性が残っているので、生き残りをかけた闘いとなる。この日はSPZのリングが使用される。

午前11時頃、会場入りしたSPZの4人。前座試合に出る小川と保科は手早くリングコスチュームに着替えてアップを始めた。

まず前座の3試合

○菊池、藤島(5分58秒、片エビ固め)富沢、成瀬●
※ダイビングボディプレス
前座の第1試合、仙台出身の菊池理宇に大歓声が飛んだ。

M千秋、○石川、真壁、辻(3分37秒、片エビ固め)沢崎、小川、保科、渡辺●
※ラリアット
出来る範囲でアップをして昼の部のリングに上がった小川ひかるだったが、開始早々マーメイド千秋に場外乱闘に連れ出され、アリーナの壁に頭を打ちつけられて悶絶し、その流れのまま試合は終わってしまった・・・

○L内田、金森、吉原(7分27秒、ラッキーキャプチャー)中江、R北条、ヴァイカー●
昼の部は公式戦が不戦勝となったラッキー内田は前座の6人タッグに回り、ヴァイカーから必殺のラッキーキャプチャーでギブアップを奪った。

(公式リーグ戦)
○L内田(10点)(不戦勝)N白石(4点)●

○B上原(11点)(8分38秒 ラ・マヒストラル)C斉藤(10点)●
夜の部でサンダー龍子と対戦を控えているブレード上原が短時間決着を狙ってきて、ドロップキック、ミサイルキック、レッグラリアートと躍動して攻め込み、コンバット斉藤にさして反撃させぬままルチャの妙技・ラ・マヒストラルを繰り出して3カウントを奪った。敗れたコンバット斉藤、カウントは2だとソウルジャーの上坂レフェリーにアピールするも判定が覆るはずもない。決定戦進出の可能性が消え、がっくりと肩を落として引き揚げた。

○R美冬(10点)(9分36秒、片エビ固め)南利美(15点)●
※ヘッドショットキック
昨日夜のサンダー龍子戦の疲れが残っているのか、南利美の動きがいま一つ。グラウンド地獄に引きずり込む前にライジン美冬のヘッドショットキックを貰ってしまい、頭を押さえてもだえ苦しむ南。そのままズルズルと攻め込まれてしまい、ライジン美冬がストレッチプラム、バックドロップの猛攻。何とか返し続けた南だったが、バックドロップで弱ったところへ何度目かのヘッドショットキックをもらってしまい、続くフォールを返すことができなかった。ここへきて南利美、痛い敗戦。その試合が終わると休憩。

2019年8月18日 (日)

WASオールスターリーグ戦(30)

(30)
○武藤めぐみ(12点)(19分47秒、片エビ固め)R美冬(8点)●

※ランニングネックブリーカードロップ
相手の蹴りを警戒したのか、走り込んでからの攻撃を多用した武藤が優位に試合を運ぶ。美冬はとにかくヘッドショットキックが当たらないと上位の選手相手にはまだまだ試合が作れない。ドロップキック、ラリアット、ミサイルキックと遠距離から一気に間合いを詰めて攻めるスタイルで崩していく。美冬もカウンターで蹴りを当てていくがなかなか有効打が入らない。そのままズルズル武藤ペースで試合が進み、最後はネックブリーカー2連発で武藤が押し切って星を6勝6敗の五分に戻した。ライジン美冬は8敗となりリーグ戦の負け越しが決まった。

○結城千種(12点)(11分15秒、片エビ固め)B上原(9点)●
※バックドロップ
前半はブレード上原がミサイルキック、ドロップキックなどの飛び技を軸に優位に立ったが、結城も試合内容を度外視して勝ちに来て、バックドロップを7連発で繰り出しブレード上原を完全に沈黙させた。
「うう・・・」
一発でも厳しい結城のえぐいバックドロップを7連発で食らったブレード上原、試合が終わってからもなかなか起き上がれず、大事を取って担架で搬送された。
「しんどいので・・・ここまでくると試合内容も結果もというわけにはいきません」(結城)
勝ち点上積みへの執念を見せた結城千種が6勝6敗の五分に戻した。ブレード上原はトップとの差が7点となり、優勝決定戦進出の可能性が消えた。

△氷室紫月(16点)(時間切れ引き分け)B市ヶ谷△(14点)
大阪大会夜の部セミ前は今大会屈指の好カード。
昼の部でまさかの無得点試合をやってしまったB市ヶ谷。この試合は勝ち点2を取らないとと考えたのか出だしから猛攻を仕掛けるが、どこか焦りの色があり、氷室もディフェンスを固めており返し技で返されたりかわされたり、どこか空回り。一方の氷室はここまでトップとは1差の勝ち点15で2位につけているので、凶悪なB市ヶ谷相手に力押しで張り合うよりは時間切れ引き分け狙いのほうがやりやすいと考えたのか、立ち技打撃一切なしのグラウンド地獄に引きずり込む。しかも繰り出す技はどれも取りあえず出しておく感じで、引き分け狙いなのがありあり。
「くっこの」
B市ヶ谷も少し冷静さを欠いており、強引に大技を仕掛けようとするが、上半身の動きに下半身がついていっていない。あっという間に15分が経過。ここで氷室がスリーパーホールドを出してきた。L内田を失神に追い込んだスリーパー、市ヶ谷も懸命にもがいて振りほどこうとするが3分ほど絞められ続けてぐったり。あわててレフェリーが確認に入る。弱った市ヶ谷へ向けて氷室が繰り出したのは普段は見せない足4の字固め。うああーと悲鳴を上げる市ヶ谷、しかし氷室はこんな技で市ヶ谷がギブアップするとは思っておらず、あくまで時間稼ぎ狙い。そうこうしているうちに25分経過。焦りの色の濃い市ヶ谷はラリアットで動きを止めるやタイガードライバーを炸裂。しかし氷室も2で返して、ダウンしたままごろごろ転がり場外エスケープ。市ヶ谷追撃を加えんと降りたが、氷室も場外を逃げて間合いを取る。
「くきぃーっ!」
追いかけるB市ヶ谷、逃げる氷室、リング外周での追いかけっこに場内笑い。しかし氷室、いきなりクイックターンして市ヶ谷の腹に強烈なひじ打ち。そしてリングへ。この時点で残り時間3分を切った。
カウント18でリングに戻った市ヶ谷だったが、待っていたのは氷室の低空ドロップキック。テーピングで固めている太ももに命中。負傷箇所への一撃に苦悶の表情のB市ヶ谷。残り時間2分、焦りまくった市ヶ谷は強引にビューティボムを狙ったが踏ん張りが利かず持ち上げられず、逆にリバースで返される。両者ダウン。ここで氷室また場外エスケープ。残り時間1分。息を整えながらセコンドの金森と二言三言言葉を交わす氷室。カウント19でゆっくりリングに戻る。

「いいかげんにしなさい!」
怒り心頭のB市ヶ谷、延髄斬りを狙うも前に倒れて氷室かわしたので空を切る。残り時間30秒、B市ヶ谷、憤怒の表情で氷室を捕まえ頭突きを3発叩き込んでからえぐい角度のDDT。しかし続くフォール、氷室2.9で返す。ドドドドドド。残り時間20秒、ここで氷室またしてもゴロンと転がって場外エスケープ。市ヶ谷、リング下に降り強引に捕まえてリング内に戻そうとするが氷室もサードロープをつかんで抵抗。時間切れ直前にエプロン上で妙な攻防。残り時間10秒、ここでリング内に氷室を押し込んだ市ヶ谷、そのまま上に乗ったが氷室の右足がサードロープにかかっている。その足をすくってエビ固めの要領で力ずくで押さえ込んだ市ヶ谷、ワン、ここで時間切れのゴングが鳴ってしまった。

「氷室紫月!勝つ気がないのなら試合に出てこないで!」
試合後マイクで叫んだ市ヶ谷、氷室はどこ吹く風で、セコンドの金森から渡されたペットボトルの水を一口飲んでから、表情を変えずに引き揚げた。
負けなかった氷室、勝てなかった市ヶ谷。大阪2連戦で1点しか勝ち点を積めなかったのは今後の優勝争いを考えると痛い。

氷室紫月、控室に入ってから1分ほどぶっ倒れていたが、そのあとむくっと起き上がり、手早くシャワーを浴び着替えを済ませ、金森と一緒に迎えのハイヤーに乗り込み新大阪へ向かい、東京行の最終の新幹線に乗り込んだ。都内にはソウルジャーが懇意にしている腕のいいマッサージ師が待機している。そこでメンテナンスを行い最終盤の闘いに備える予定である。

○M祐希子(12点)(3分21秒、キャメルクラッチ)草薙みこと(11点)●

万全の状態の両者だったらどんな凄い攻防が展開されただろうと思わせたカード。昼の部では不戦勝でほとんど運動しておらず休養十分のM祐希子と、昼の部で伊達の膝蹴り攻勢にこっぴどくやられた草薙。はっきりいってやる前から結果は見えていた。それでも試合を捨てていないのか、草薙みことはテーピングをぐるぐる巻きにしてリングに上がり、いきなり草薙流兜落としを2連発で仕掛けたが、3発目は食わず首固めで切り返したM祐希子、ネックブリーカー、ジャーマン、ムーンサルトの大技攻勢で猛反撃。草薙も最後の力を振り絞ってフォールを返し続けたが、動けなくなってしまったところをM祐希子のラクダ固めにつかまってしまう。
「う、がーっ」
あまりの苦しさに悶絶する草薙。それでもギブアップの言葉だけは吐かない。この試合を裁くWARSのレフェリーもどうしたものかという表情。草薙の上体がぐぐぐっと反ってゆく。ここで草薙のセコンドについていた小川ひかるが動いた。青コーナー側エプロンに上がり、持っていたタオルをリングに投げ入れた。カンカンカンカン。

セコンドのタオル投入によりマイティ祐希子が勝利。試合終了のゴングが打ち鳴らされる。複雑な表情で勝ち名乗りを受けるM祐希子。座り込んだ状態で、まだやれたのになぜ止めたのですかと小川を問い詰める草薙。小川ひかるがここで草薙の頬をペチと張った。場内えええのどよめき。

「あなたはSPZの看板です。次のシリーズの事も考えてください」と涙ながらに言い返す小川。

先輩のタッグパートナーにこう言われては草薙、わかりましたという他なく、涙をこらえながら腰に手をやりつつ引き揚げた。

「草薙選手ね、前の試合まじめにやり過ぎましたね。この手のリーグ戦は15試合を見据えた闘い方をしないと・・・なかなか厳しいですよ」(解説の杉浦美月)

○南利美(15点)(21分18秒、腕固め)T龍子(16点)●
大阪大会夜の部メインイベントも垂涎もののカード。
昼の部で重量級のボンバー来島と30分フルタイム闘って疲労困憊しているT龍子。一方の南は昼の部でC斉藤を1分半で下しておりコンディションはまずまず。それでもいきなり関節を持って行かれない限り負けることはないと判断したサンダー龍子、じっくりと重量感のある攻めを見せる。ただのダブルハンマーもものすごい威力。南はやられながら死んだふりをしてワンチャンスに賭けるつもりか、ほとんど反撃しない。しかしサンダー龍子も30分以内に痛めつけて3カウントを取ればいいんでしょと割り切っており、攻め急がず序盤は殴る蹴るで南のスタミナをはぎ取ってゆく。
サンダー龍子が10分過ぎに初めて大技を見せ、ボディスラムで投げ、そのあと起き上がってきたところをパイルドライバー。しかし南もフォールを2で返し、急場しのぎに足を取って逆片エビに捕らえて反撃。

15分経過、サンダー龍子も落ち着いてロープに逃れ、逆片エビから脱出。起き上がってロープに振るや重爆ドロップキック、そしてブレーンバスターの猛攻。そしてついにプラズマサンダーボムの態勢に、南も懸命に踏ん張って抵抗したが、上からダブルハンマーを落としてからプラズマサンダーボムを炸裂させた、が、南も2で返す。
このままなんとか力押しで行けそうだと考えたサンダー龍子、いくぞおらあと叫んでから2度目のプラスマサンダーボムにいこうとしたが、南も2発目は食えないと判断したのかしっかりと腰を落として防ぐ。20分経過。焦れたサンダー龍子、じゃあもう少し弱らせてやると考えたのか、ロープに振ってラリアットを狙ったが南利美、瞬間身をかがめてかわしてその勢いのままロープまで走り、反動を利してジャンプして空中胴絞め落とし!
思わぬ大技に面食らうサンダー龍子、そのまま南は上に乗ってフォールしたが2で返される、だが次の瞬間南は上に乗った態勢のまま変形のアームロックに移行!
「うがああ」
不意の腕関節攻めに悶絶するサンダー龍子。
ーまずいこのままこらえたのでは折られてしまう
残りの公式戦の日程を終えた翌々日、火曜日からは自団体の北陸遠征がある。そこで自分が欠場してしまうと自団体の客入りにも影響しかねないと一瞬考えたサンダー龍子は無念のタップ。場内ええええ。

南利美、SPZきっての技巧派としての面目を保ち、勝ち点を15に伸ばし優勝争いにも食い込んできたが、サンダー龍子相手に20分以上闘ったダメージは大きく、しばらく倒れ込んでいた。敗れたサンダー龍子の方がむくっと先に起き上がり、腕をアイシングしながら悔しい表情で引き揚げた。
「はー、はー・・・伊達さんや草薙さんでも勝てなかった相手からギブアップを取ることができて・・・まあ悪くないわね。残り3試合?せいぜい怪我しないように頑張るわ」(南)
「なんか、やられた気がしないんだよね。ダメージで行ったら昼にやった来島さんの方がずっと大きいし・・・まあ南さんの技術は想定以上だった。でもまだ勝ち点ではトップなんで、あと3つ全部勝って決勝戦に行くよ!」(T龍子)

翌日の興行予定地は仙台。セミ前までに出た選手はいったん東京まで出て東京に宿泊し、翌朝の新幹線で仙台へ向かうが、セミメインに出た4選手は大阪に泊まり、明日朝一の新幹線を乗り継いでか、飛行機で仙台入りとなる強行日程。しかしサンダー龍子はゲン直しのつもりなのか、大阪でスポンサー筋と飲食。

ここまでの順位は以下の通り
1位:サンダー龍子、氷室紫月 16点
3位:ボンバー来島、南利美  15点
5位:グリズリー山本、ビューティ市ヶ谷 14点
7位:マイティ祐希子、伊達遙、結城千種、武藤めぐみ 12点
11位:草薙みこと 11点
12位:コンバット斉藤 10点
13位:ブレード上原 9点
14位:ライジン美冬、ラッキー内田 8点
リタイヤが1名。

6日目が終わった。

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